社会デザイン研究

静岡市長が描くスマートタウンの姿~次世代エネルギー“水素”を軸にした未来都市~

2017.05.15

神保 重紀=日経BP総研 クリーンテック研究所

化石燃料に依存する日本のエネルギーが大きな転換期を迎え、CO2削減とエネルギー自給率向上を実現可能にする新たなクリーンエネルギーとして、水素の可能性が注目されている。静岡市は水素エネルギーの活用を始め、環境負荷の少ないやさしい街づくりを目指し、さまざまな施策に取り組んでいる。次世代スマートタウンのフロンティアランナーとしての思いを、静岡市の田辺信宏市長に聞いた。

環境にやさしく、誰もが輝ける街づくりを目指す

2011年の東日本大震災以降、大きな課題となっているのが持続可能なエネルギーをどう生み出していくか。特に、災害に強く環境にやさしいエネルギーを活用する街づくりに対する取り組みが、さまざまな自治体で行われている。「静岡型水素タウン」を掲げる静岡市もその一例だ。

水素エネルギーは、CO2の排出量の削減で環境負荷を軽減し、エネルギー自給率向上を一挙に実現する次世代のクリーンエネルギーとして注目を浴びている。静岡市では都市部、山間部、港湾部を有する同市の地域特性を背景とした水素エネルギーの利活用を促進することを目指している。

富士山や南アルプス、駿河湾をはじめ、豊富や自然景観を持つ静岡市(画像提供:静岡市)

この取り組みを「静岡型」と名付けた理由について、静岡市の田辺信宏市長はこう話す。 「水素エネルギーの利活用に関して、国土縮小型の都市である静岡市が先駆的に取り組むことで、他都市へ水平展開可能なモデルを作り出し、日本のフロンティアランナーを果たそうという決意とともに、本市政のキーワードである『官民連携』による新たな公共経営のモデルとして、世界水準を見据えた街づくりを進めていくという強い思いを込めています」

具体的な取り組みとしては、静岡ガス、パナソニックとの連携で3月に開業した水素ステーションを核として、燃料電池車(FCV)の普及、エネルギー需要の多い都市部において水素供給体制を確立していくことを目指す。

「まずは行政が燃料電池車を導入することから始める。加えて、水素ステーションを核にした情報発信などを通じて、水素エネルギーに対する市民の皆さんの理解を促進して、防災機能に優れ、環境と地域経済の活性化が両立する持続可能な脱炭素化都市を目指したい」と田辺市長は話す。

静岡市、パナソニック、静岡ガスは、2016年11月2日、「静岡型水素タウン」の実現に向け、三者による包括連携協定を締結した(画像提供:静岡市)