社会デザイン研究

ローカルスーパー生き残りの鍵は生産者の想いを届ける仕組みにあり

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2017.03.14

酒井 洋和=ライター

安全安心の提供、人材不足…ローカルスーパーが抱える課題

コープみらいの取り組みについて見てきたが、同じ業態のローカルスーパー各社も、多様化する顧客ニーズに対応できる環境づくりに取り組んでいる状況に変わりはない。しかも、これまで食の安全が問われる事件が相次いで発生し、これまで以上に安全安心にこだわる消費者も増えているのが実態だ。そんな顧客ニーズに対応するために、卸を介在させることなく自分たちで契約農家と取引し、自社農場を構えて自社工場を運営、安全安心な商品を消費者に届けるための仕組みづくりに取り組んでいるスーパーも少なくない。

しかし、そもそもスーパー業界は人材不足が大きな課題となっており、柔軟な雇用形態で雇用を維持するなど、人材確保に苦労している面もあるのは事実だ。大きな社会課題となっている食の安全安心を確保するためには、生産者から店舗まで鮮度を保つためのコールドチェーンの考え方が重要になってくるのは間違いない。しかし、そこに多くの人手をかけるだけの余裕はスーパーにはない。だからこそ、鮮度を保つために温度管理を厳格に行うためのソリューションが必要であり、その仕組みはできる限り省力化、効率化につながるものであるべきなのだ。

パナソニック産機システムズ株式会社
コールドチェーン営業本部
CCマーケティング統括部 企画1部 部長
村瀬 進治氏

また店舗におけるコールドチェーンには、産地やメーカーから届いた食材や日配品を適切な温度で管理するための冷凍空調機器などの仕組みが必要になるが、これまでは温室効果の高いHCFCやHFCが使用されてきたものが、世界的な規制の動きの中でR22冷媒は2020年に製造が全廃される予定であり、新たな冷媒による機器への転換が必要になっている。

「省エネ性能の高い自然冷媒を利用した機器を普及させることで、冷凍空調業界全体で低炭素化、脱フロン化を進めていくことが求められているのです」と語るのはコールドチェーン営業本部 CCマーケティング統括部 企画1部 部長 村瀬 進治氏だ。モントリオール議定書のキガリ改正以降、自然冷媒がより脚光を浴びてきている。アンモニアや空気、二酸化炭素、水、炭化水素などが自然冷媒として存在しているが、中でも注目されているのが二酸化炭素を利用したCO2冷媒だ。

人材不足のスーパー業界にも優しい冷媒

このCO2冷媒を利用したノンフロン冷凍機システムを提供しているのがパナソニック産機システムズだ。そもそもCO2冷媒に着目したのは、パナソニック株式会社の子会社となった三洋電機株式会社が50年にわたってショーケース・冷凍機事業を展開してきた実績による。その経験を活かし、さらに高効率な2段圧縮コンプレッサーを備えたCO2冷媒を使ったヒートポンプ給湯機を商品展開していたことがきっかけだ。「このCO2冷媒の技術を冷凍機に応用しようと考えました。CO2冷媒は究極の冷媒と呼ばれており、オゾン破壊係数がゼロ、そして地球温暖化係数1の究極冷媒なのです」と環境に大きく貢献できる冷媒だと村瀬氏は力説する。また同社の製品はユニットで設置できるなど省スペース化が大きな強みとなっており、スーパーマーケットをはじめコンビニエンスストアなどにも導入が進んでいる。

冷媒としての評価もさることながら、人材不足のスーパー業界にも優しい冷媒といえる。2015年4月に「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」、略称「フロン排出抑制法」が施行されたが、フロン類を冷媒に利用している機器を使う場合は、簡易点検や定期点検の実施、機器整備時に点検内容や整備内容の記録などが求められる。しかしCO2冷媒であればフロン類に該当しないため、この点検業務や記録義務は免除され、冷媒について特別意識することなく日々の業務に集中できるようになる。人的リソースを売り場に集中できることは大きなメリットの1つといえるだろう。

CO2冷媒採用ノンフロン冷凍機の新モデル「搬送圧力コントロールタイプ」は、自然冷媒を採用することで環境配慮と省エネを同時に実現可能だ。

また、コープみらいが導入しているのが、パナソニック産機システムズが提供する遠隔データサービス「S-cubo/エスクーボ」であり、温度管理を可能にするのが遠隔運用サービス「ERMOS/エレモス」だ。ERMOSは、冷設機器などの温度を計測してクラウド上で「見える化」する仕組みとなっており、設備から得られた情報を活用することで現場の省力化に大きく貢献するソリューションだ。例えば障害時にはアラートが通知されるだけでなく、データから故障の予知につなげることで機器の早期発見、早期治療が可能になる。

パナソニック産機システムズ株式会社
販売促進部 部長
阿久澤 光明氏

「故障予知ができれば店長が夜中に駆け付けることもなく、お店の運営に注力できます。現在使っているHCFC冷媒の冷凍空調機が何台あって、どのタイミングで変えていくべきなのかの計画も立てやすい」と販売促進部 部長 阿久澤 光明氏。フロン排出抑制法に求められる管理や設備台帳のソリューションなども備えており、冷凍空調機器の運用管理を負担なく行うことができるのだ。「冷凍空調機器というモノを売るよりもコト、サービスを販売していくというところに発展させていくことで、お客様のビジネスに貢献したい」と阿久澤氏は力強く語る。

「S-cubo(エスクーボ)」を活用することで、店舗づくりから、 保守・メンテナンスなどに有効な設備管理と、情報連携による効果的な資産活用が実践可能となる。

モノとコトを組み合わせる新たなサービスの形

さまざまなメリットがあるCO2冷媒だが、現状ではHCFCなどの特定フロンや代替フロンとしてのHFCなどが広く冷媒として利用されており、CO2冷媒が普及している状況にはない。それでも、環境配慮型の仕組みとして注目されており、自然冷媒の中でも中心的な役割を担っていくことが期待されている。「CO2冷媒をさらに広げていきながら、モノとコトを組み合わせるなど、サービス一括でお客様のお役に立てるソリューションを提供していきたい」と村瀬氏。食品に付けたRFID内にトレーサビリティの記録を入れて、コールドチェーン全体の管理をS-cuboで行うような仕組みについても期待を寄せる。いずれにせよ、顧客が安心して店舗運営できるような仕掛けを今後も継続的に提供していきたいと阿久澤氏は意気込みを語る。

また、いまだに店舗に冷凍空調機器を設置する際には配管工事が必要で、その際には溶接など大掛かりな工事が発生する。「いつかは溶接配管の不要な仕組みや商品・季節によってフレキシブルにケースの高さや奥行きなど自動調整できるショーケースの開発など、AI・IoTを駆使したインテリジェントショーケースにより、お客様のお役に立てる仕組みを開発したい」。将来的には地域冷暖房の仕組みと連携して食材の鮮度が維持できる、地域全体でのエネルギー効率を高めていくような世界の実現にも村瀬氏は期待していると語った。

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