ロボティクス社会

生活の中で家事を手伝ってくれるロボット

2017.03.14

元田 光一=テクニカルライター

さまざまな家事を手伝ってくれる家政婦ロボット

商品化はまだだいぶ先のことになりそうだが、家の中を動き回って様々な家事を手伝ってくれる家政婦ロボットの研究も進んでいる。

米Willow Garageが開発を続けている「PR2」は、洗濯物を1枚1枚手で畳んでくれるだけでなく、脱ぎ捨ててある衣類を洗濯かごに入れ、洗濯機のドアを開けて衣類を放り込むことまで人の代わりにやってくれる(写真3)。洗濯物を手で畳む作業には結構な時間がかかるため、今のところ、衣類折り畳みとして考えると、ランドロイドなど専用ロボットに比べて実用性は低い。

(写真3)Willow Garageが開発中の家事支援ロボット
衣類を拾い上げてかごに入れて運び、洗濯機に入れて蓋を閉めてくれる。(Willow Garageのホームページより引用)

ただ、PR2に搭載されているOSはオープンソースのROS(Robot Operating System)。当然、サードパーティがROSや周辺ソフトウエアを開発・強化する。洗濯だけでなく料理や荷物運びなど、手を使うさまざまな家事機能の開発も、サードパーティの活用によって進んでいくとみていいだろう。

一風変わったところでは、Google傘下の米Boston Dynamicsが開発中の家庭用小型4足走行ロボットがある。同社は、米国防高等研究計画局(DARPA)の支援によって開発した軍用4足歩行ロボット「ビッグドッグ」で話題になった。YouTubeで公開された動画を見ると、大型犬ほどの大きさのロボット「SpotMini」が家の中を歩き回り、ソファに座る人にビールを渡したり、テーブルの下をくぐったり階段を登ったりしている。キッチンではコップをつかんで食洗器に入れたり、空き缶をゴミ箱に捨てている。

現時点では、これらの動きはロボットが自律的に行っているのではなく、人間が操作している様子。キッチンでの片付け以外になにができるのかもまだ公開されていない。最大の特徴は、動物らしい軽快なフットワーク。屋外に連れて出れば、買い物の荷物持ちなどにも役立ちそうだ。

(写真4)Boston Dynamicsが開発した小型4足走行ロボット
家の中を自由に歩き回り、ビールを持ってきてくれたりキッチンでの片付けを手伝ってくれる。

このように家事を手伝ってくれるロボットは、日本でも以前から研究されている。東京大学IRT研究機構の「ホームアシスタントロボット」がそれ。トヨタ自動車がハードウエア機構の製作を担当した車輪移動型ロボットである。2本の腕を使ってトレイに食器を乗せたり、それを運搬したり、洗濯機に衣類を投入したり、ほうきを使って床掃除したりと、多様な作業に携われるよう設計されている。

画像認識とAI技術を使うことで、モノの特徴を学習し、「脱ぎ捨てられた衣類なら掴み上げて洗濯機に入れる、それ以外のゴミならほうきで掃き出す」といった判断も可能にする。実はこのホームアシスタントロボット、公開されたのは2008年で、東京大学では新たなロボットの研究を進めている。

現在のAI技術やハードウエア技術は、当時よりも大幅に進歩している。特にAI技術ではディープラーニングの手法が大きく進化していることから、今後は運搬や掃除以外にもこういったロボットができる家事の範囲は増えていくのではないだろうか。

(写真5)東京大学IRT研究機構が公開した「ホームアシスタントロボット」
食器の片づけから洗濯、掃除までを行うことができる。(東京大学IRT研究機構の資料より引用)