i-Construction活用セミナー 2017.5.24 開催レビュー

NIPPO ICT活用で舗装現場はこう変わる! 生産性はもちろん、安全性向上にもつながる取り組み

NIPPO 総合技術部 生産機械センター機械開発課長 相田 尚 氏

人々の暮らしや社会を支える重要なインフラである道路。その舗装工事には危険が伴い、労働環境にも課題は少なくない。i-ConstructionによるICT舗装は、そのイメージや労働環境をどう変えていくのか。ICTと最新の安全技術の導入に取り組むNIPPOが実践するN-PNextとは。

 近年、道路に求められる役割は、災害復旧、防災、環境への配慮など、より高度なものへと変化を遂げている。しかし舗装工事の現状は、夜間作業が多い過酷な現場で、一般車両から邪魔者扱いされるなど、多くの課題が残されたままだ。i-Constructionは、こうしたイメージを払拭し、自分たちの労働環境を変えるチャンスになると私たちは考えている。

 まず、日本の道路の情報化施工の流れを確認したい。日本で初めて高速道路建設が行われたのは、1957年の名神高速道路山科工事からで、道路舗装はミリ単位の精度が求められるため1960年代からアスファルトフィニッシャーでセンサーが活用されていた。

 こうした機器活用が2Dから3Dマシンコントロール(MC)へ進化するのは2000年代からだ。GNSSとトータルステーション(TS)でグレーダーやブルドーザーの高さを制御するシステムは、10年代にはさらに多様な機械の3DMCへと進化してきた。一方、国土交通省は16年にi-Construction施策を開始し、15の新基準導入実施に動き、今年度から直轄の新設舗装工事でICT舗装工をスタートさせている。

舗装工へのICT普及の課題は何か

 日本道路建設業協会の調査によると、ICT施工導入例は89%が新設工事だ。しかし、今日の舗装工事の中心は切削オーバーレイの補修工事であり、この現場にどうICT・IoTを活用するかが、生産性向上を推進するための課題と言っていいだろう。

 切削オーバーレイのプロセスは、事前作業後、古い舗装の切削、路面清掃、下がり計測、乳剤散布、As混合物敷きならし、転圧、出来形計測の順で展開する。すぐ脇を一般車が走行する非常に危険な現場でもある。ここにどうICT・IoTを活用していくか。

 切削オーバーレイでICT導入が進まないのは、規制解除までの時間が短く、事前準備の時間が少ないことに加え現場には障害物が多く、TSの設置場所も限定されるためだ。また、現場では、ICTはコスト増やデータ作成の作業増につながると考えられ、本来は有益な技術が、身近に感じられていないことも課題といえよう。

 当社では今、ICTとIoTで舗装現場をつなぐ「N-PNext(NIPPO-Paving Next)」に取り組んでいる。コンセプトは、生産性向上と安全性向上の両立、ICTやIoTを現場で身近なものとすること、クラウド活用で検査や書類提出を簡素化すること。

 その具現化に向け、最初に進めているのは、現場におけるインターネット環境の整備だ。施工機械にルーターを搭載し周囲約100mをWi-Fiエリアとし、エリア内のさまざまなデータをクラウドサーバーに集める。トンネル工事では、指向性アンテナを使い対応している。

N-PNext(NIPPO-Paving Next)の概念
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NIPPOのN-PNextに導入されているシステム

●測定/補修工事前の現況測定には、次世代MCシステムの導入が進んでいる。道路や車線規制をすることなく、測定機が道路を走行しながら道路情報を収集。その情報をMC用データに変換することで、施工前・施行中の作業を大幅に軽減できる。

●合材の温度管理/これまではダンプトラックの荷台に上がり、手作業で温度測定し管理していたが、N-PNextでは、ダンプトラックがWi-Fiエリア内に入ると、荷台上のセンサーの温度情報が、自動的にクラウドに集められる。

●工事車両の到着予想/車両の到着予想にはN-ロケ(Nippo Location System)を導入。Webの地図の設定ポイントをダンプトラックが通過すると、現場に到着時間が伝えられる。

●舗装温度記録管理/舗装温度記録管理システムは、カメラで捉えた路面のサーモグラフィ画像がリアルタイムに表示され、温度ムラや異物の早期発見により、ポットホールなどの抑制に役立つ。また、気象計とGNSSセンサーも備わり、施工時の気温、湿度、風速気圧と位置情報なども舗装工事の属性データとして収集される。当社では新名神高速道路の工事に舗装温度記録管理システムを試行導入した。

●転圧/舗装温度のデータは次世代型転圧管理システム・Smart Rollerでも共有。ここでは転圧管理データがクラウドに集められる。

 こうして収集されたデータは、他の現場への応用や、道路の維持管理に有効活用される。今後の舗装維持工事では、現場のデータを即座にクラウドで共有する意識が重要といえる。

現場の安全性をどう確保するかも課題

 ICT・IoTを活用することで、人と重機の協調による安全を創り出すことができる。これは、日経BP社が提唱するこれからの安全の概念「Safety 2.0」の概念にも適うものだ。

 舗装の現場では重機の後進時に重篤災害が起こりやすい。N-PNextでは、それを未然に防ぐ技術を積極的に導入し、建設機械自動停止システム Worker Safety Systemで安全確保を実践している。

 タイヤローラーは、後進時、センサーエリア内にいる人のICタグに反応し自動停止する。ホイールローダーはステレオカメラを搭載し、人や障害物を検知すると自動停止する。

 このほか、バイタルセンシングで1人ひとりの疲労度を見える化して過労を防いだり、一般車両が工事エリアに誤進入しないよう、工事車両が後続車にLED表示で注意喚起を行う誤進入防止システムなど、さまざまな安全確保に取り組んでいる。

 N-PNextは、本来の目的の「働きやすく魅力ある現場」の実現に不可欠な概念であり、これを追求することは、豊かな社会の実現に貢献する当社の責務と考えている。施工者だけではなく、業界全体への広がりを期待したい。

安全機能搭載道路工事用重機
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