【日経デジタルヘルス Online Special】MeLL+(メルタス)による病院・介護施設・在宅の情報一元化 富家病院の重度慢性期対応の医療・介護サービスを支援

埼玉県ふじみ野市で重度先進慢性期医療の提供を中心として、医療・介護サービスを一体的に提供する医療法人社団富家会 富家病院。病院・介護施設・在宅における患者・利用者情報を一元化、多職種情報連携の実現に向け、ワイズマンの医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)」を導入した。シームレスな医療・介護連携サービスを提供するためにはシステムの密な情報連携が欠かせないとし、MeLL+(メルタス)とともに同社の電子カルテシステムと介護ソフトを同時に導入、運用を開始した。

慢性期医療のあるべき姿を追究

 富家病院グループは、「されたい医療、されたい看護、されたい介護」を理念に掲げ、医療法人社団富家会 富家病院を中核に、特別養護老人ホーム、医療対応強化型のサービス付き高齢者向け住宅、訪問介護や訪問リハビリ・通所介護・通所リハビリなどの居宅介護サービスを幅広く展開、医療と介護を一体的に提供している。

 富家病院が20年ほど前から取り組むテーマが、「重度先進慢性期医療」の提供だ。気管切開のある患者や人工呼吸器を装着する患者など重度者を積極的に受け入れ、病院に留まらず介護施設や在宅ケアにおいても手厚い療養対応が評価されている。かつて慢性期病院は“老人病院”と揶揄され、社会的入院が問題になっていた。「病院である以上、医療介入が必要な患者さんを診ていくことが本分。介護施設や在宅でも重度者への対応ができる療養環境をつくり、患者・利用者に安心・安全な生活をしてもらえることを目指してきました」。医療法人社団富家会 富家病院の理事長・院長を務める富家隆樹氏は、重度先進慢性期医療の提供に取り組んできた背景をこう述べる。

医療法人社団富家会 富家病院 理事長・院長 富家 隆樹 氏
医療法人社団富家会
富家病院
理事長・院長
富家 隆樹 氏

 重度者が多いにもかかわらず、「離床100%」「人工呼吸器の離脱率3割」「身体抑制ゼロ」などの実績を上げていることが同院の際だった特徴でもある。なかでも「身体抑制ゼロ」への取り組みは大きなチャレンジだったという。「されたい医療、されたい看護、されたい介護を理念としている以上、身体抑制は患者さん本人も家族も望まない。“されたい”ことは何か?を職員一人ひとりが考え、徹底することで実現してきました」(富家氏)といい、長年にわたる意識改革や文化醸成の積み上げで実現してきたと説明する。

院内にある「物語の階段」イメージ
院内にある「物語の階段」。壁一面に笑顔の患者の写真が飾られている。

 「されたい医療、されたい看護、されたい介護」の実践と重度先進慢性期医療に取り組む中で富家病院が目指したのが、「ナラティブホスピタル」だった。「寄り添った医療・介護サービスを提供していく上で、まず患者さんや家族のナラティブ(物語)を知ることにより、治療やケアにかかわる医療・介護従事者がしなければいけないことが見えてきます」(富家氏)。取り組みのきっかけは、「ナラティブホーム」構想の提唱者・佐藤伸彦氏の著書に触れたことだったと振り返る。入院患者に1冊のノートを渡し、患者や家族、スタッフが自由に日頃の想いを書き留め、相互理解を深める「ナラティブノート」、病院の階段の壁一面に入院中の様子、笑顔を撮影した写真を掲示する「物語の階段」、患者が亡くなった後に生前の写真や入院中のビデオ映像を家族に手渡す「ナラティブムービー」などが、実際の取り組みである。

富家病院 事務長 福田 英明 氏
富家病院
事務長
福田 英明 氏

 富家病院グループの強みは、富家理事長の医療・介護に対する強い想いを全スタッフが一丸となって同じ想いを実践しているところにあるという。「1000人近い職員が目指す医療・介護を理解し、理念の実践に向けて何をすべきか自ら考え業務にあたっています」(事務長の福田英明氏)と強調する。

 こうした患者・利用者のナラティブを各施設の全スタッフで共有し、理解を深めるとともに、重度者への医療・介護を提供していく上での情報共有を効率的に実施し、強化するために富家氏が着目したのが、ワイズマンの医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)」だった。

“MeLL+ありき”で採用されたワイズマン

 富家病院は、グループ内の全医療機関と介護事業所の情報共有・連携を目的にMeLL+を導入するとともに、富家病院、富家在宅リハビリテーションケアセンター内に開設しているクリニック、富家千葉病院の3施設にワイズマンの電子カルテシステムERを、介護事業所の全サービスにおいて同社の介護ソフトも同時に導入・運用を開始している。最大の目的は患者・利用者情報の一元化だ。病院・クリニック、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援事業所における患者・利用者の経過情報や生活情報をどこからでも共有でき、緊急入院などに迅速かつ的確に対応したり、多職種連携を強化する情報環境を構築することだった。ワイズマンのシステムを採用した理由を富家氏は、次のように述べている。

 「唯一無二の動機は、MeLL+があったからです。電子カルテと在宅も含めた介護システムの情報を一気通貫でシームレスに共有し、多職種間でコミュニケーションできるツールは、MeLL+以外にないと考えました。そのためにはすべてワイズマンのシステムに統一しなければ、密な情報共有・連携を可能にする理想的な環境を構築できない思ったので、導入に踏み切りました」。

富家病院 医事課課長 大野 竜也 氏
富家病院
医事課 課長
大野 竜也 氏

 電子カルテは未導入だったが、MeLL+による医療・介護連携を実現するため、全介護事業所で運用してきた他の介護ソフトメーカーのシステムをすべてワイズマンの介護ソフトサービスにリプレースしたシステム環境の大刷新だった。多くの医療機関・介護事業所は、病院情報システム、介護業務支援システム、多職種連携支援システムなど、それぞれの長所を持つシステムによるマルチベンダー化しているケースが多い。連携可能と言いながらも、相互運用性の確保は難しく、妥協せざるを得ない点も多い。「医療、介護、多職種連携それぞれのシステムを擁するワイズマンに統一した最大のメリットは、情報連携部分で機能拡張しようとしたとき、インターフェース開発などで各社間の調整を図る必要もなく、迅速かつスムーズな連携を実現できることだと実感しています」。電子カルテ導入の担当責任者を任された医事課課長の大野竜也氏は、そう話す。

 電子カルテシステムの3施設への新規導入、既存の医事会計システムと介護支援システムの総入れ替えを同時に行ったプロジェクトは、施設数が多いだけに容易ではない。「導入にあたっては、10人ほどのワイズマンのスタッフが長期間にわたって駐在して作業を行いました。当院の強い要望に対応してもらえたことは、とても感謝しています」(福田氏)と振り返る。

緊急入院時の利用者情報や透析中の情報を相互に共有

 従来のシステム環境における課題は、情報が各部門や施設に散在して管理されていたため、1人の患者・利用者の情報を収集するために多くの時間と手間がかかっていたこと。各施設のサービスを複合的に利用する患者・利用者の情報を把握するためには、基本的にはそれぞれの施設に出向くか、担当者から電話等で入手するしかなかった。担当者会議などで情報共有を図ってはいたが、情報の鮮度にも問題があり、伝わっていないことも多かったという。例えば、在宅看取りに関しても、訪問診療クリニックのカルテには本人や家族の要望が記載されているが、関係スタッフへの周知は徹底されていないこともあった。「夜中に容体の急変があったときなど、即座にその情報を確認できないこともあります。MeLL+による情報共有により基本情報の最も目立つ箇所に明記されるので、周知徹底ができます」(富家氏)。

MeLL+の総合記録表示画面
MeLL+の総合記録表示画面。関係する各部門のスタッフが、バイタルデータを時系列で即座に把握できる。(画面はサンプルです)

富家病院 副看護部長 井上 恵美 氏
富家病院
副看護部長
井上 恵美子 氏

「慌ただしい緊急入院時に、施設や在宅の利用者の経過情報を事前に参照でき、事前準備が可能です」

 また、富家氏にとってカルテ情報を院外からでも参照できるようになったメリットは大きいという。院外から電子カルテに直接アクセスする環境は容易に構築できないが、電子カルテシステムERの情報はMeLL+に共有されているため、クラウド上のMeLL+を介してカルテ情報の参照が可能になる。「介護施設の利用者や在宅患者が緊急入院になったとき、例え院外にいても病院に向かう途中でカルテ情報や入院前の経過を事前に情報入手できるため、迅速な対応が可能です」(富家氏)と説明する。

 緊急入院を受け入れる病棟看護師側にもMeLL+の情報共有効果は大きい。介護施設からの入院には施設スタッフが利用者サマリーを作成・持参していたが、その作成に30分以上費やされていた。「MeLL+によって介護施設での経過記録や前回入院時の医師や家族とのやり取りなどを事前に参照できるため、受入準備がスムーズにできるようになりました」(富家病院副看護部長の井上恵美子氏)という。また、利用者の情報を最も把握している担当者が付き添ってくるとは限らず、慌ただしい状況下で必要な情報が得られずにスタッフどうしがギスギスした関係になることも間々あったというが、MeLL+を利用するようになって、日常的に利用者の情報をアップするようになり、グループスタッフの協働意識が高まってきたと運用成果を挙げた。

特別養護老人ホーム大井苑 生活相談員 霜鳥 明子 氏
特別養護老人ホーム 大井苑
生活相談員
霜鳥 明子 氏

「ケアプランに反映する上で、利用者の透析中の情報参照は非常に役立ちます」

 一方、介護施設側のスタッフが医療情報を参照する際にもMeLL+は非常に役立っている。富家病院近隣の特別養護老人ホーム 大井苑は、定員100人(ショートステイ定員5人含む)の入所者のうち、半数以上が透析患者だ。大井苑の生活相談員(ケアマネジャー)の霜鳥明子氏は、富家病院または富家在宅リハビリテーションケアセンターの透析クリニックで透析治療を受ける患者のカルテ情報を参照することは、ケアプランに反映する上で大切だという。「看護師との電話だけで得られない透析中の利用者さんの様子をMeLL+で知ることができるため、ケアプラン更新の際に役立ち安心につながります」(霜鳥氏)。

  また、入院した施設入所者が退院してくる時期の把握や入院中の様子を知るため、あるいはショートステイ利用者が普段利用しているデイサービス時の過ごした方などの情報をMeLL+で容易に入手できるようになり、非常に役立っていると話す。

在宅の限界を拡大、その一翼を担うMeLL+

富家在宅リハビリテーションケアセンター 居宅介護支援室 室長 池田 康子 氏
富家在宅リハビリテーションケアセンター
居宅介護支援室 室長
池田 康子 氏

「新規利用者のフェイスシート作成し、MeLL+アップすることで情報周知がその場で可能です」

 居宅介護支援事業所のケアマネジャーにとってもMeLL+による情報共有は、ケアプランを作成する上で利用者の生活情報の効率的な把握に有効だという。ケアマネジャーにとって、利用者宅に出向いてモニタリングする以外に、デイサービスやデイケアの際の情報を収集するために、それぞれの担当者にヒヤリングする作業は時間と手間がかかる。「MeLL+に各スタッフが情報をアップしてあれば、それぞれの事業所に出向かなくても、サービス利用時の利用者さんの過ごし方や様子を知ることができます。また、入院後の経過によって区分変更すべきか、退院後のケアプランをどうすべきかといったとき、逐一先生に時間を割いてもらい聞き取る必要もなく、MeLL+で情報入手できます」(富家在宅リハビリテーションケアセンター居宅介護支援室室長の池田康子氏)とし、MeLL+による情報共有がケアプラン作成において効率性とともに、質の向上につながるのではと話す。

富家病院 医療相談連携室 平野 渚 氏
富家病院
医療相談連携室
平野 渚 氏

「入院中に先生から家族に対して病状説明があったとき、入所施設の担当者やケアマネに即座に情報提供できます」

 一方、病院内およびグループ内の多職種の中心的立ち位置で、サービスや利用者全体を把握して業務を行うことが求められている医療ソーシャルワーカー(MSW)は、迅速で正確な情報収集という点でMeLL+が欠かせないツールになりつつあるという。「地域で医療と介護を一体的に提供しているため、一般的なMSWの業務だけでなく、グループのサービスを利用している利用者さんの普段の情報を把握した上で、退院援助や受診・療養調整等の業務を行うことが求められています」と富家病院医療相談連携室の平野渚氏。入院時の情報は電子カルテシステムERから、グループ内のサービスの利用時の情報はMeLL+で収集している。「施設入所者や在宅患者さんの食事状況、デイサービス利用時の経過など、従来は担当ケアマネやデイサービスの担当者に連絡をとって入手していた情報が、MeLL+によって正確で迅速に収集できるようになりました」(平野氏)という。

メディカルホームふじみ野 看護師長 尾花 陽子 氏
メディカルホームふじみ野
看護師長
尾花 陽子 氏

「MeLL+の利点は、直接閲覧できないカルテ情報、デイケアでのバイタルや生活状況などがいつでも参照できることです」
富家病院 リハビリテーション室 室長 冨張 修平 氏
富家病院
リハビリテーション室 室長
冨張 修平 氏

「生活を意識したリハビリを実施するために、利用者さんの生活情報は必須。MeLL+による情報共有は非常に役立ちます」

 「高齢独居の患者さんが介護度4、5になっても在宅療養できるよう、在宅の限界を広げようとチャレンジしています」という富家理事長。そのベースにはかかわる多職種における情報共有が必須であり、ICTを駆使することが求められると強調し、MeLL+がその役割を担ってくれることを期待している。



病院概要

医療法人社団 富家会
富家病院
■医療法人社団 富家会
所在地
〒356-0051
埼玉県ふじみ野市亀久保2197
TEL
049-264-8811(代表)
Webサイト
http://www.fukekai.com/
事業概要
富家病院(202床=療養病棟89床、特殊疾患病棟29床、回復期病棟28床、障害者病棟56床)、関連施設としてメディカルホームふじみ野(サービス付き高齢者向け住宅)、富家在宅リハビリテーションケアセンター(透析クリニック、訪問リハビリ、デイケア、居宅介護支援)、特別養護老人ホーム大井苑(社会福祉法人樹会)、富家千葉病院(医療法人社団ふけ会)を運営。

■お問い合わせ■

株式会社ワイズマン

〒020-0045
岩手県盛岡市盛岡駅西通2丁目11番1号

TEL:019-604-0750
FAX:019-604-0770
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:0120-442-993