IoTやデジタル化で続々採用、AI予測サービスも新投入 シスコの革新的“サービス事業”の魅力とは?

 ネットワーク機器のトップベンダーとして知られるシスコシステムズだが、実は今注目を集めているのが同社のコンサルティングサービスだ。IoT、クラウド、サイバーセキュリティをはじめ、計画、構築、運用といった顧客システムのライフサイクル全般に関わり、あらゆる場面を網羅するサービスを提供。2018年には、新たに2つのサービスも登場し、ネットワークなどのインフラをAIで自動解析しトラブル予測を行うサービスを提供する。なぜ、シスコのサービスが今、企業に求められているのだろうか。

シスコシステムズ合同会社 サービス営業統括 専務執行役員 中島・シハブ・ドゥグラ 氏
シスコシステムズ合同会社
サービス営業統括
専務執行役員
中島・シハブ・ドゥグラ 氏

 AIやIoTなどの技術を活用した新たなビジネス価値の創出が、企業にとって今や喫緊のテーマとなっている。一方で、デジタル化の進展は、企業システムをめぐる様々な課題を、これまで以上に複雑なものにしている。デジタル化の波は、ビジネスチャンスをもたらすと同時に、エコシステムの範囲をドラスティックに変革している。当然企業システムの影響範囲も広がり、安全性を確保するためのセキュリティ対策もより一層重要な課題になる。

 また、新たなソリューションが次々に導入される中で、複雑さが増すシステムをいかに効率的に運用管理していくかが問題である。シスコシステムズの中島・シハブ・ドゥグラ氏は「そもそも、そうしたセキュリティ対策やシステムの運用管理を支える人材をいかに確保するかといったことも、今日の企業にとって切実な課題となっています」と指摘する。

シスコシステムズ合同会社 サービス営業 公共・法人営業部 営業部長 納谷 大輔 氏
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サービス営業
公共・法人営業部
営業部長
納谷 大輔 氏

ネットワーク機器ベンダーとしての枠組みを超えて

 シスコでは、顧客が抱えるこうした課題を解消するとともに、デジタル変革の実現をサポートしている。もともと同社は、ネットワーク機器のトップベンダーとして、グローバル市場を牽引してきたが、ハードウエアだけではなくソフトウエアやクラウド製品の提供も加速。その適用領域についても、ネットワーク制御にとどまらずサイバーセキュリティをはじめとする広範な分野へと拡大し、ソリューションのポートフォリオを順次拡げながら、時代の要請に応えてきた経緯がある。

 「30年以上にわたるネットワーク領域の資産やナレッジに加え、あらゆるお客様のIT活用を色々な側面から支援してきた経験やノウハウ、人材を有しているのがシスコならではの強み。製造や金融、流通など各産業分野はもちろんのこと、政府や自治体など官公庁におけるIT活用も広くサポートしてまいりました。そのため、これらの世界各国の先進導入実績から学んだノウハウを、業種を超えてお客様に還元することが可能です。これにより、お客様をデジタル変革の成功へと導くことが、当社のミッションであると捉えています」とシスコシステムズの納谷大輔氏は強調する。

 一例を挙げれば、現在2020年に向けて、様々な業界でインフラの変革が推進されている。シスコでは、ロンドンやリオなどの過去大会におけるノウハウの活用やグローバルリソースとの緊密な連携により、ユーザー企業のチャレンジを支援しているという。

シスコシステムズ合同会社 サービス営業 エンタープライズサービス営業部 営業部長 黒木 仁士 氏
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エンタープライズサービス営業部
営業部長
黒木 仁士 氏

 これまでシスコのサービスでは、最適なシステムアーキテクチャの立案と設計を行う「アドバイザリサービス」、迅速かつ確実なシステム構築を支援する「導入サービス」、運用後のITインフラ効率化や性能、可用性の向上を支援する「最適化サービス」、メーカーの専任技術者により高度なITインフラ管理やサイバーセキュリティ監視体制を実現する「マネージドサービス」、さらにはビジネス変革を実現するIT人材の育成を支援する「ラーニングサービス」など、多岐にわたるサービスを提供してきた。

 「システムのライフサイクル全般を網羅するメニューを用意しています。それら一連のサービスの利用により、お客様はビジネスニーズに応じた最適なシステムを俊敏に構築し、運用することが可能になります。システムの価値を最大化して享受頂けるようになっています」とシスコシステムズの黒木仁士氏は語る。

シスコサービスでは、顧客のシステムのライフサイクルに関するトータルなフェーズを網羅するメニューを用意する
シスコサービスでは、顧客のシステムのライフサイクルに関するトータルなフェーズを網羅するメニューを用意する

IoTファクトリーでもシスコサービスを採用

 国内企業でもシスコのサービスを利用する事例は多い。例えば、グローバル市場に対しファクトリーオートメーションを提供するリーディングカンパニーであるファナックでは、IoTプラットフォーム「FIELD system」の開発とサービス提供にあたり、シスコのセキュリティコンサルティングサービスを活用している。これによりシステム自体の安全性、堅牢性を高めること、そしてもう一つは顧客が安全に「FIELD system」を導入するためのセキュリティガイドライン策定を実現している。
「ファナック様のケースは、当社のグローバルで培ったセキュリティ対策の高度な知見を高く評価し、サービスを幅広くご採用頂いている事例です」と黒木氏は紹介する。

 また、官公庁の事例として広島県庁での取り組みが挙げられる。各都道府県では、マイナンバー制度の運用開始を背景にサイバーセキュリティ監視体制の高度化に向けて自治体情報セキュリティクラウドを導入したが、同県では本施策の実現に際してシスコのマネージドセキュリティサービス「Active Threat Analytics(ATA)」を採用した。これに関し納谷氏は「広島県庁様は、全国の自治体の中でもICTの積極活用を推進していることで知られています。ATAについては、グローバル規模で蓄積する膨大なセキュリティインテリジェンス、グローバルクラスの高度人材、シスコならではのネットワークのビッグデータ解析手法の有用性を高く評価頂きました。また、セキュリティのみならず、シスコがネットワークや働き方改革などのソリューションもトータルで提供できる点もご評価頂いたポイントです」と説明する。

AIを生かした新サービスをラインアップ

 こうしたシスコのサービスを利用して、世界中の多くの企業、公共団体がデジタル化による成果を享受している訳だが、最近シスコでは新たに2つのサービスを追加した。

 その1つが「シスコビジネスクリティカルサービス」だ。これは、顧客環境に導入されたネットワークから、ログ情報の収集とAIによる機械解析をリアルタイム化することで、ネットワークの健全性やトラブルの予兆を可視化する。さらに、コンサルティング・エンジニアが解析結果に基づき、顧客に対して最適なシステム改善やトラブル回避のアドバイス、デジタル変革に向けたコンサルティングを実現する。複雑化したシステム環境への対応、人員不足の問題の解消に大きく寄与するサービスとなる。

 「単にAIを活用しても適正なアドバイスができる訳ではありません。シスコにはインターネットの黎明期から世界中の様々なお客様を支援することで培った膨大な運用データとノウハウ、業界をリードしてきた人材があります。長年にわたり蓄積した資産とAIなどのテクノロジーを組み合わせることで、初めて最適解を導き出し、的確なアドバイスができます。IDCの「Business Value Study 2017」によれば、シスコビジネスクリティカルサービスの効果として、ダウンタイムの74%削減、問題解決時間の41%短縮、オペレーションコストの21%削減が可能になるというデータも出ています」と中島氏は説明する。

 もう1つの新サービスは「シスコハイバリューサービス」だ。システムは年々複雑化の一途をたどっている。そのため、従来型の機器個別のメーカーサポートでは運用負荷が高まるとともに、障害への迅速な対応が困難になっている。シスコのハイバリューサービスの最大の特徴は、メーカーサポートを機器単位ではなくシステムレベルでサポートすることだ。これによって顧客による障害切り分け負荷が軽減され、迅速な障害回復の実現が可能となる。「両サービスにおいては、お客様と合意したKPIを通じてシステム運用の成熟度を可視化し、明確な目標をもって最適化することが可能になります」と中島氏は言う。

 デジタル技術がビジネスを駆動する時代を迎え、ネットワークシステムの範疇はこれまでと比較できないほど広がっている。当然ながらシステムがビジネスに与える影響というのはかつてないほど重大なものへと変化した。複雑さを増したシステムを構築し、安全に運用していくという課題に対し、シスコの提供するサービス群は、まさにそうした要請に応え得るものである。

シスコが新たに導入したビジネスクリティカルサービスとハイバリューサービス
シスコが新たに導入したビジネスクリティカルサービスとハイバリューサービス
高付加価値プロフェッショナルサービスでは、IoTファクトリーをスマートに構築できる支援サービスや、マネージドセキュリティサービスの「ATA」を展開する
高付加価値プロフェッショナルサービスでは、IoTファクトリーをスマートに構築できる支援サービスや、マネージドセキュリティサービスの「ATA」を展開する