生徒1人1台のiPadをクラウドで一元管理 時間・空間に縛られない自由な教育環境を実現

2020年度から実施される新学習指導要領には、プログラミング教育の義務化やアクティブラーニングの導入が明記され、教育現場におけるICT化は待ったなしの状況になった。そんな中、早くからICT導入に取り組んでいるのが、玉川聖学院だ。同校の取り組みを追うとともに、そのポイントをICT活用事例として動画にまとめた。

まず教師の側からICT導入の意義を認める

理科主任・情報科主任 教諭 大沼 祐太

 ここ数年、ICTを積極的に導入する学校が増えている。その背景として考えられるのが、2020年度から新たな学習指導要領の運用が始まり、小学校〜高校でプログラミング教育が義務化されることだ。今やICTそのものが、学ぶべき「教科」となりつつある。

 また、アクティブラーニングの推進も、ICT環境整備への追い風になっている。自ら調べ、考える力を養うための学習法であるアクティブラーニングにはさまざまな定義があるが、一般的には、従来のような教師による一方通行型の授業ではなく、生徒が積極的・主体的に参加できる双方向型の授業を指す。この「主体的参加」「双方向性」という点で、アクティブラーニングはICTと極めて親和性が高いのである。

 東京都世田谷区にある中高一貫の女子ミッションスクール玉川聖学院も、授業改革などを契機にICT導入に先駆的に取り組んできた学校の一つだ。理科・情報科主任を務める教諭の大沼祐太氏は、ICT導入の意義を次のように語っている。

学校紹介

玉川聖学院中等部・高等部

1950年に創立された、キリスト教系女子中高一貫校。聖書の教えをベースに「人はなぜ生まれてきたのか」を探る総合科・人間学など、独自のカリキュラムによる実践的体験学習を重視。これからのクラウド環境を生き抜くためのICT教育にも力を入れている。

〒158-0083 東京都世田谷区奥沢7-11-22

 「本校ではアクティブラーニングが注目される以前から、グループ作業やプレゼンテーションを柱とする体験型授業を数多く行ってきました。各生徒が調べた内容をお互いに共有し、かつ自由に意見を発信し合える環境を作るには、ICTの活用が不可欠だったといえます」

 そこで同校では、2000年の校舎改築に合わせて全教室に有線LANを整備。2007年にはプロジェクターも配置し、生徒自身がパワーポイントを使ってプレゼンテーションできる態勢を整えた。

 さらに2014年、ICTプロジェクトを立ち上げ、その翌年、全教職員が自費(一部補助)でiPadを所有するようになると、それまで資料印刷が必要だった会議が一気にペーパーレス化し、教師の印刷の負担が激減。同じ教科で資料を共有するなど、教師自身がICTの意義を実感したことで、ICT化が加速したという。

Cisco Merakiの導入で全iPadの一元管理が可能に

 同校が次に目指したのは、生徒1人に1台iPadを所有させることだった。その狙いについて、大沼氏はこう語る。

 「教師が1人1台iPadを所有したことで、ICT環境の利便性は飛躍的に高まりました。そこで本校では、生徒にもBYOD(Bring Your Own Device)の形で個人所有のiPadを校内に持ち込み、使わせることにしました。自費で購入すれば学習ツールとして愛着と責任が持てますし、個人でiPadを所有すれば、学習記録の蓄積をポートフォリオとして残せるため、入試や高大接続にも活用できると判断したのです」

 だが、目標を実現するには、いくつかのハードルがあった。

 まず、試験的に構築したWi-Fi環境が極めて不安定だったこと。1クラス40人が一斉に動画再生しただけで画面が固まった。このままでは、全生徒によるiPadの同時接続など、とても望めない。また、生徒のiPadをどう管理するかも課題だった。同校では携帯電話やSNSの使用、アプリやゲームのダウンロードが禁止されている。全生徒のiPadを教師が常時監視することは、はたして可能なのか。

 「これらの問題を一気に解決してくれたのが、2016年1月に導入したシスコのCisco Merakiでした」(大沼氏)

MDM管理画面とiPadの違反アプリ警告画面

 同校はシスコ担当者のアドバイスで回線契約から見直し、アクセスポイント41台、スイッチ6台を校内の適所に設置。Wi-Fi環境を劇的に改善させた。

 また、このシステムでは、帯域制御などのMDM(Mobile Device Management)が簡単に設定できるため、生徒のiPadの一元管理が可能。アプリをダウンロードしても即座に無効化でき、23時〜5時の時間帯にYouTubeを視聴できなくするなど、教師自らがきめ細かく制御できる。

 さらに、ネットワークがクラウド型のため、サーバのメンテナンスが不要。クラウド上でセキュリティが常時更新されるため、接続の安全性も担保されている。そうした利点を生かした結果、2016年4月には高等部で念願だった「生徒1人iPad1台」体制を確立することができた。

Cisco Spark Boardの活用で双方向コミュニケーションを実現

数学科主任 教諭 藤井 伸樹

 同校のICT活用は今、新たな段階に入りつつある。その象徴的存在がCisco Spark Boardだ。ワイヤレスプレゼン機能、ホワイトボード機能、ビデオ会議機能を1台に備えたこのデバイスを使えば、通常の授業も、教師と複数の生徒間で双方向コミュニケーションが可能になる。例えば、数学科の教諭・藤井伸樹氏が担当する「数学A」では、次のような授業が展開されている。

 Cisco Spark Boardに映し出されたのは、三角形の内接円の図形。藤井氏のPC上のファイルを、簡単に大画面で表示できる。この図形は各生徒のiPadでも共有されるので、藤井氏は1人の生徒を指名し、図にある線分と同じ長さの線分がどこにあるのか、自らのiPad上に書き込んでもらう。その書き込みはすぐにCisco Spark Boardに反映され、生徒全員でその正否を検証できる仕組みだ。

 授業の後、藤井氏はCisco Spark Boardを使う手応えを次のように語ってくれた。

Cisco Spark Boardに映した図形に書き込んで解説

生徒のiPadからも書き込みができる

 「Cisco Spark Boardの良さは、事前に用意した図面やタイピング文字を表示するだけでなく、生徒がその場で自由に書き込んだ数式や図形を全員で共有できること。数学では、この双方向のやりとりこそが重要になります。生徒にとっても、自分の考えがクラス全員で検討され、さまざまなアイディアで深化していく様子がリアルに体験できるため、学習意欲も自ずと高まると期待しています」

 またこの日は、Cisco Spark Boardのビデオ会議機能を使い、福岡県在住のバーナード・バートン理事長に、校外の英語暗唱大会出場の生徒が英語スピーチの指導を受けた。映像と音声のタイムラグもなく、相手の細かな表情まで映し出すことができるので、いきいきとした臨場感があり、生徒も感激していた。

ビデオ会議機能を使って英会話を指導

 Cisco Spark Boardを活用すれば、インフルエンザやその他の事情で休みがちになる生徒も、まるで教室にいるかのように他の生徒と同時に授業を受けられる。その様子を音声と共に保存しておけば、いつでもどこでも復習が可能だ。そんな空間や時間に縛られない学びによって、生徒たちの可能性は大きく広がっていくに違いない。最後に、前出の大沼氏は今後の展望についてこう述べる。

 「生徒のICT利活用能力を育てるために重要なのは、教師が一方的に知識を与えることではありません。構築されたWi-Fi・クラウド環境の中で、生徒たちは自由にICTを使いこなし、主体的に学んでいく。私たち教師に求められるのは、まずそのための最適な環境を整えることではないでしょうか」

玉川聖学院
Cisco Meraki & Cisco Spark Boardの活用事例動画をご覧ください

学びの場のインフラをより安全、安心なものにする Cisco Start 文教セレクション

「安全性の高い情報インフラを教育機関向けに最適化し、手頃な価格でお届けする」というコンセプトのもと、シスコが提供するソリューション。

教育機関限定のCisco Spark BoardとCisco Sparkの割引キャンペーンを実施中!

詳細はこちらをご覧ください

また、2018年5月16日(水)〜18日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第9回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)では、ICT機器ゾーン シスコ出展ブース(小間番号:22-24)にて、Cisco MerakiとCisco Spark Boardも出展されます。

お問い合わせ先

シスコシステムズ合同会社 http://www.cisco.com/jp/go/edu

TEL.0120-092-255 受付時間:平日9:00〜17:00