ITモダナイゼーションSummit 2018 どうする?最後のレガシー

次世代に向けたCOBOL資産の活用には
国の「文字情報基盤」への対応がカギ

株式会社 日立製作所
公共システム事業部
全国公共システム第一本部
主任技師
河合 孝志

「Society5.0」に資する「デジタル・ガバメント」の実現に向けた取り組みの一環として政府では、「IMI(共通語彙基盤)」共通データ標準としたデータ連携基盤の構築を加速。その中で「文字情報基盤」の整備にかかわる取り組みとして、約58,000の漢字の文字セットを国際規格として成立させた。そこで浮上しているのが、既存のCOBOL資産をそれにどう対応させていくかという課題だ。日立では、そうした要請に応えるソリューションを提供している。

COBOL資産の継続活用に不可欠な
社会動向に合わせた“モダナイズ”

株式会社 日立製作所
公共システム事業部
全国公共システム第一本部
主任技師
河合 孝志

長きにわたり企業システムを支えてきたCOBOL資産。今日も保守・改修が加えられながら広範な分野のビジネス活動を担うシステムとして稼働している。「そうした意味でCOBOLは、決して“過去の遺産”ではなく、まさに“現役”として今も活躍を続けているわけです」と日立製作所の河合孝志氏は語る。

そうしたCOBOL資産をめぐって、今日とられているアプローチは大きく3つある。1つめは最新の技術との連携などを考慮して完全にCOBOLを廃し、C/C++やJavaなどの言語でアプリケーションを再構築するというもの。2つめは、オンライン処理の部分をそうした新しい言語で置き換えて、COBOLが得意とするバッチ処理の領域でのみ存続させるという方法。そして3つめが、COBOLならではの保守性の高さなどのメリットを生かすべく、継続利用するというものだ。

特に3つめのアプローチは、COBOL資産において確立されているビジネスロジックや機能を確実に継承していくという観点から有効であり、現在、多くの企業において採用されている。ただし、COBOLを継続利用するにせよ、その資産を新たな技術動向などに対応させていく、いわゆる“モダナイズ”が不可欠だろう。

「ここで強調しておかなければならないのは、モダナイズの必要性は新技術への対応ばかりではないということです。例えば、法制度など社会動向の変化といったものにもモダナイズによって、システムをしっかりと追随させていく必要があるわけです」と河合氏は強調する。

デジタル・ガバメント実現を支える
IMI(共通語彙基盤)共通データ標準とした
データ連携基盤の構築が加速

そうした社会動向の変化の中でも、とりわけ大きなものとしてあげられるのが、現在、政府が進める「Society5.0」実現に向けた取り組みだ。IoTやAI、ビッグデータなどの技術を活用して、国内に抱える人口減少や高齢化、環境・エネルギー、防災といった様々な課題を解消し、社会そのもののあり方を変革していこうとするものである。

「それに関連した一連の施策の中でも、既存システムへのインパクトという観点で、とりわけ注目すべきは、Society5.0実現に向けたインフラ整備として、データの標準化と連携基盤の整備が推進されていること。これは、政府が日欧米10億人規模のグローバルネットワークを想定し、そこでのデータのやりとりにかかわる相互運用性を確保するために展開しているものです」と河合氏は語る。

そうした流れの中、国ではSociety5.0に資する「デジタル・ガバメント」に向けた取り組みにおいて、「IMI(Infrastructure for Multilayer Interoperability:共通語彙基盤)共通データ標準としたデータ連携基盤」の構築を加速させている。これは、電子行政分野におけるオープンな利用環境の整備や、官民データ活用の推進の中核を担うもので、データに用いる文字や用語を共通化し、情報の共有や活用を円滑に行うための基盤となるものだ。

IMI自体は、大きく「共通語彙基盤」と「文字情報基盤」という2つのプロジェクトから成り、前者がデータとして用いられる様々な用語の表記や意味、構造を統一して、分野横断的なデータの参照性を高めるためのものであるのに対し、後者は行政で用いられる人名漢字などを整備し、国際標準化を推進するものだ。

「特に文字情報基盤については、戸籍に用いられてきた55,270文字の漢字と、住民基本台帳ネットワークの19,563文字の漢字を58,842文字に同定・整理して、国際規格に対応付けるというもので、外字を用いることなく、標準の文字セットのみで、誰もがそれらすべての文字を同一のコードで扱える世界が目指されています」と河合氏は説明する。

そのため、国内の標準化委員会をとおして、現行のUnicodeの国際規格(ISO/IEC 10646)に登録されていなかった文字を新たに登録し、さらに、字形差が小さくて統合して登録された文字の元の形を区別する一連のIVS(Ideographic Variation Sequence/Selector)を、Unicodeコンソーシアムに対し提案。国際規格が2017年12月に成立して、文字情報基盤の文字が使えるようになった。

国際規格に対応した文字処理が
COBOL資産の活用における課題に

こうした動きを受けて問題となるのが、現在、Shift-JISをベースに8,000程度の文字を扱っているCOBOLプログラムを、いかに国際規格となった文字情報基盤で扱われる58,842文字を扱えるようにしていくかということだ。「新しい国際規格では、UTF-8/16のベース文字コードに4バイトのIVSが指定されることになり、現行の2バイトを前提としたプログラムでは、文字のカウントや文字列の比較、コピーといった処理、あるいは文字データ領域の定義などについての全面的な見直しが必要になります」と河合氏は指摘する。そのインパクトは、ほぼスクラッチからの開発に近い改修が必要となるほど大きなものだという。

これに対し日立では、そうした問題を解消するためのソリューションを提供。具体的には、COBOLの資産に手を入れることなく、「動的マッピング」と呼ばれる方法で実行時に文字データを適切にコード変換する仕組みを用意している。すでに行政分野をはじめとするユーザーが、このソリューションを活用して、国際規格への対応、ひいては国が進める文字情報基盤に対応し、官公庁間、さらには官民を横断したデータ活用の推進に向けた準備を完了している。

「Society5.0実現に向けた取り組みが加速する中、今後、企業が新たなビジネス価値を創出していくには、オープンデータの活用など、外部とのデータ連携が不可欠。日立が提供する、既存の資産を最大限に活用しながら、そうした社会の動向に対応していくためのモダナイズソリューションに、ぜひご注目いただければと思います」と河合氏は語り、セッションを閉じた。

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