ITインフラ再考企画 クラウドでも従来型オンプレミスでもない「ビジネスファースト」な選択肢とは

第1回 Recognized Need/市場ニーズをとらえる 小さな兆しに垣間見る大きな可能性 デジタルトランスフォーメーションの新しいインフラ第2回 Search For Solutions/最適なソリューション像 オンプレミスなのに従量課金で利用 安全性の懸念なく、投資リスクを抑止第3回 Solution commentary/ソリューション解説 クラウドとはどこが違うのか ユーザーがHPE GreenLakeを選ぶ理由第4回 Case Study 1/導入事例 チャレンジの新しい活力 激しい変化と競争に立ち向かう第5回 Case Study 2/導入事例 独自要件も調達・利用効率も重視 サービスだからできる柔軟な活用法

第1回 Recognized Need/市場ニーズをとらえる 小さな兆しに垣間見る大きな可能性 デジタルトランスフォーメーションの新しいインフラ

デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業が増え、情報システム部門には、事業部門の要求に応えながら素早くITリソースを提供することが求められている。では企業は、そのためのスピードや柔軟性を実現するために、どんな取り組みを進めているのか。IT専門調査会社であるIDC Japanの森山 正秋氏に市場動向とユーザーニーズについて解説してもらった。

デジタルトランスフォーメーションを支える第3のプラットフォーム

IDC Japan株式会社 エンタープライズインフラストラクチャー/PCsグループディレクター 森山 正秋氏
IDC Japan株式会社 エンタープライズインフラストラクチャー/PCsグループディレクター 森山 正秋氏

企業のIT活用において、現在、最も注目しているトレンドはなんでしょうか。

森山デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業が増えていることです。デジタルトランスフォーメーションには様々な定義がありますが、IDCでは、「クラウド」「モビリティ」「ビッグデータ/アナリティクス」「ソーシャル技術」という第3のプラットフォームを基盤にした取り組みと位置付けています。

当社の調査では、2016年の時点でメインフレームやクライアント&サーバー型のシステムなどを含む第2のプラットフォームと、第3のプラットフォームに対する投資額はほぼ同じでしたが、2017年に第3のプラットフォームのほうが上回りました。今後、デジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みが加速するにつれて、第3のプラットフォームへの投資がさらに増えていくと予測しています。

デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業には、投資額の増加以外にどんな動きが見られますか。

森山情報システム部門とは別に、チャレンジに重きを置いた新しいICT関連部門を新設する企業が増えています。情報システム部門は、既存システムの運用管理で手一杯のケースが多いことから、全く別のミッションを持つ新部門を通じて、ICTを戦略的に活用していこうと考えているようです。中には、この新部門のキーパーソンとして、ITベンダーから人材を引き抜くケースも見受けられます。この動きが示しているのは、これまで外部に委ねていたICTに関する知見を、社内に蓄えたいということでしょう。

競争力にかかわるデータなどはオンプレミスで保存

具体的に、企業はどんな知見を必要としているのでしょうか。

森山AIやIoTなど、様々な技術に対する知見を必要としていますが、どの企業にも共通しているのが「ビジネスに必要なICTインフラを選択できる能力を高めたい」という意識です。

従来、ICTインフラといえば、安定稼働していれば問題ないと考えるのが一般的で、普段はあまり手を加えることもないため、構築から運用までをベンダーに一任する企業も少なくありませんでした。

しかし、デジタルトランスフォーメーションを目指す環境下では状況が変わります。社内では、様々なプロジェクトが立ち上がり、そのたびに情報システム部門は、各プロジェクトや事業部門のニーズをくみ取りながら、あたかもサービスプロバイダーのように迅速に最適なICTインフラを提供していかなければなりません。

もし、それができない場合は、デジタルトランスフォーメーションが頓挫してしまったり、事業部門が勝手にクラウドサービスを利用するようになったり、ガバナンスやセキュリティ面の問題にも発展します。

最適なICTインフラを選択するにはどうすればいいのでしょうか。

森山まず、どんなニーズと選択肢があるのかを知ることです。

デジタルトランスフォーメーションを支えるICTインフラとして、代表的なのがクラウドです。デジタルトランスフォーメーションにおいてICTインフラに求められるスピードや柔軟性、拡張性を実現していくには、従来のようなCAPEX(資本支出)モデルでは対応するのが難しい。そのため、OPEX(運用支出)、つまりサービスとしてICTリソースを利用するのが最適だからです。

その一方で、企業内にはオンプレミスのニーズも根強くあります。保存するデータの選定基準で見た場合、製造業の製品開発データなど「自社の競争力にかかわるデータ」や「コンプライアンス対応のデータ」「高いセキュリティが必要なデータ」などはオンプレミスで保存すると答える企業が多く存在します。ゲーム配信会社などは、開発期間中はクラウドを利用しても、自分たちのポリシーでサービスレベルを維持したい本番環境はオンプレミスで運用するというように使い分けを行っている企業もあります。

大きくICTインフラに対するニーズと選択肢は、この2つに大別できます。ただ、最近になって、もう1つ別の選択肢が浮上してきています。


利用拡大が見込まれる「オンプレミスでの従量課金サービス」

もう1つの選択肢とはどんなICTインフラでしょうか。

森山ICTインフラをオンプレミスに設置して、リソースの使用量に応じて従量課金で利用するモデルです。調査では、既に約14%の企業が「オンプレミスでの従量課金サービス」を現在利用中と答えています(図1)。

図1 ICTインフラ(ストレージ)の利用実態と計画

図1 ICTインフラ(ストレージ)の利用実態と計画

OPEXモデルの中に、クラウドサービス以外に新たに「オンプレミスでの従量課金サービス」という選択が浮上している
※出典:IDC Japan 「2018年 国内ストレージ需要動向調査(IDC#JPJ42921918)」

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このオンプレミスでの従量課金サービスの最大のメリットは、柔軟性や拡張性を高めたいというニーズと、自社のポリシーで運用したいといったニーズを両立できることです。実際、企業に「従量課金サービスを利用する理由」を尋ねると、「使用量に応じた支払いができる」「多額な初期投資を回避できる」「オーバープロビジョニングを防げる」といったクラウド的なメリットと、「セキュリティ対策」や「コンプライアンス対応」など自社運用によるメリットの両方が評価されています(図2)。

図2 ICTインフラ(ストレージ)で従量課金サービスを利用する理由

図2 ICTインフラ(ストレージ)で従量課金サービスを利用する理由

オンプレミスでの従量課金サービスは、クラウド的なメリットと自社運用によるメリットを両立できることが評価されていることが分かる
※出典:IDC Japan 「2018年 国内ストレージ需要動向調査(IDC#JPJ42921918)」(従量課金サービスを利用中、または利用を計画/検討している355社を対象に調査。複数回答)

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非常に魅力的なサービスです。なぜ利用企業が約14%にとどまっているのでしょうか。

森山このサービスがあまり浸透していないからでしょう。また、ベンダーの提供形態も標準化、メニュー化されているものは少なく、ベンダーと企業との個別契約で成り立っているケースも多いようです。

とはいえ、利用率で、この新しい選択肢を評価してしまうと本質を見誤ることにもつながりかねません。オンプレミスでの従量課金サービスは、これからのサービス。今後、必ず市場が急拡大すると見ています。

ITベンダーやシステムインテグレーターのビジネスにも変化が起こるということでしょうか。

森山おそらくそうなるでしょう。ベンダーやシステムインテグレーターも、ハードウエアの販売を軸にした従来のビジネスモデルに固執せず、より最適な提案を顧客に提示できなければ生き残っていくことは難しいかもしれません。

デジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みの加速、オンプレミスでの従量課金サービスという新しい選択肢の登場など、企業のICTインフラは大きな変化を迎えているのですね。最後にユーザー企業に向けてアドバイスをお願いします。

森山自社の事業戦略やICT活用ポリシーに合ったICTインフラを適切に選択して運用することは、ビジネス競争力の大きな源泉となります。従来のようにベンダーに任せきりにしたり、新しい選択肢の登場に目を向けずに既存のICTインフラを使い続けたりすることは、その競争力を得る可能性を放棄していることと同じ。非常にもったいないことです。適切なICTインフラの選択を通じて、ぜひデジタルトランスフォーメーションを成功させてほしいですね。

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