移動のための空間から「おもてなしの場所」へ 中小規模ビルの差別化はエレベーターの品質が鍵に

多くの訪日外国人旅行者が訪れる東京2020オリンピック・パラリンピックと、超高齢社会を見据えたこれからのビル・マンション開発で、「エレベーター」に求められる特性とは何か。三菱電機は、エレベーターを移動空間から「おもてなしの場所」と捉え直すことで、標準形エレベーター『AXIEZ(アクシーズ)』のモデルチェンジに取り組んだ。

 建物の設計に不可欠な設備である「エレベーター」は、どのような視点で選ばれるのか。エレベーターを、縦移動の「公共交通」と捉えると、その視線の焦点が絞られていく。例えば、内閣府の「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース」における 「Mobility Innovation 2020」では、すべての人に優しく使いやすい移動手段の提供と、安全・安心/ストレスフリーを目指すこと、などがプロジェクトの訴求ポイントに挙げられている。

 三菱電機が中小規模ビル向けに展開する標準形エレベーター『AXIEZ(アクシーズ)』の新モデルは、こうした視点をビルの縦移動システムに体現した製品といえる。その具現化のための技術や同社の取り組みについて、開発担当者に話を聞いた。コンセプトは「おもてなし」の実現だ。

ビル内公共交通としての機能と「おもてなし」をどう実現したか

■高齢者・身障者も使いやすい

 『AXIEZ』では、誰もが分かりやすく使いやすいエレベーターを目指し、公共インフラの計画と同様に、ユニバーサルデザインを重視した設計が行われた。

 「利用者を選ばず、誰もが安全・安心に移動できる。その実現のため、手が触れるボタンの形状、色、インジケーターのサイズ、コントラストなど、ユニバーサルデザインの観点から検証を重ねた。こうしたきめ細かなデザイン施策の結果、色覚の個人差を問わず視認しやすい表示が評価され、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の認証も取得できた」(山崎剛氏)。

山崎 剛 氏 三菱電機株式会社 稲沢製作所 開発部 インタフェース開発課
網谷 明奈 氏 三菱電機株式会社 ビルシステム事業本部 ビル事業部 ビル計画部 昇降機マーケティング課

■多言語化による外国人への配慮

 安全・安心への配慮の眼差しは、言語表示やアナウンスにも向けられた。言語のバリアフリーへの取り組みだ。

 「観光庁は2020年の訪日外国人旅行者4000万人を目指し、近年は交通機関も日英中韓の4ヵ国語表記を採用している。『AXIEZ』でも、通常時はアナウンスとインジケーター表示に英語を加え、緊急時には中国語、韓国語を含めた「4ヵ国語ガイド」をエレベーターとしていち早く標準装備した。これにより、約8割の訪日外国人が使用する言語をカバーし、外国人利用者の安全・安心の向上に貢献できるはずだ」(網谷明奈氏)。

■ストレスフリーな移動の実現

 エレベーター利用者が感じがちな「スピードが遅い」「待ち時間が長い」というストレスについては、「スーパー可変速システム(デュアル高速運転)」(有償付加仕様)の採用で解決を図った。

 「今回は、輸送能力を高めるため、エレベーターの駆動機器であるインバータやモーターの能力を最大限に活用できるよう、エレベーターシステムの最適化を狙った。ポイントは輸送効率の向上。最高速度までの加速度を上げ、乗車率に応じた最高速度を提供することで、乗車時間を短縮した。また、当社独自機能として、エレベーターが無人の時でも通常運行より高速化。待ち時間の短縮も実現している」(馬場俊行氏)。

馬場 俊行 氏 三菱電機株式会社 稲沢製作所 開発部 制御システム開発課 専任

 その結果、平均速度は最大47%向上、待ち時間は最大22%短縮、乗車時間で最大33%の短縮を実現*した。

 このほか、有償付加仕様の「行先階予約システム」を搭載すると、エレベーターホールの操作ボタンで行き先階を入力するだけで、かご内で階数ボタンを押す必要がなくなり、ベビーカーや荷物で手がふさがっている時でも、スムーズな移動が可能になる。

*スーパー可変速システムを適用しない場合との比較。三菱電機による計算値。

建築デザインと省エネのニーズに応えるエレベーターとは

 『AXIEZ』には、前述のユニバーサルデザインによる使い勝手の良さはもちろん、来訪者を迎え入れる上質で多様なインテリアが用意されている。

 「エレベーターを建築の一部として捉え直し、かごのインテリアのあり方を調査。日本では特に要望が多いシンプルかつ上質な質感を表現するため、『AXIEZ』には、国際的な化粧シートメーカーと協働で、これまでの標準形エレベーターにはない、多様な素材感、質感の床・壁を組み合わせた6パターンの「アクセントウォールデザイン」を提案している。

 製品としては、設計・製造面での精度を高め、余分なスペースなどの視覚的なノイズを極力消すことでデザイン品質を高めている」(山崎氏)。

 省エネ性能に関しては、待機電力カット、照明のLED化、かごとおもりのバランスを最適化することで、従来モデルと比較して基本仕様で最大20%の省エネを実現。さらに回生コンバーター(有償付加仕様)の採用により、エレベーターの回生電力をビル内で有効利用し、ビル全体のランニングコストの軽減も可能にした。環境への配慮も「おもてなし」の大切な視点だ。三菱電機のエレベーターは、東京2020に向けて進化を続ける。

リーズナブルに実現するかごのインテリア「アクセントウォールデザイン」
Page Top
MITSUBISHI ELECTRIC 東京2020オリンピックオフィシャルパートナー(エレベーター・エスカレーター・ムービングウォーク)
お問い合わせ
三菱電機株式会社
〒100-8310 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル  ビル事業部 Tel:03-3218-4544(代表)
http://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/