EV活用による工事変革事例|日本コムシス e-NV200が拓く騒音ゼロの革新的な工事スタイル 夜間工事も近隣に受け入れられ、現場の生産性向上へ

夜間工事に付きもののエンジン発電機の騒音。現場では作業員のやり取りにも支障が生じ、大きな声という二次騒音も発生する。それらの問題を現場から一掃したのが、日産自動車の電気自動車(EV)、e-NV200である。「動く電源」として現場の生産性向上に貢献している。

了承を得られなかった工事。EVの導入で無事に終了へ

 近隣住民の理解が得られず、工事に入れない――。現場が抱えるそんなリスクを、日産自動車の電気自動車(EV)であるe-NV200は低減してくれる。

 その効用を説くのは、電気・通信設備の構築・保守に携わる日本コムシスアクセスシステム部首都圏アクセス事業部の樋口恵司氏だ。同社では東京都世田谷区の世田谷TSで2015年8月にe-NV200を1台導入した。

 「夜間、エンジン発電機を使いながらマンホール内で作業するのを、近隣にお住まいの方にご了承いただけなかった通信設備の保守工事がありました。その後、EVの導入で発電機を使わずに済むようになったことをお伝えしたところ、夜間作業をご快諾いただき、工事を無事に終えることができました」

 日本コムシスが手掛ける通信設備の保守工事とは、地下通信ケーブルの補修工事など。作業員はマンホールの中で作業を進めていく。

使用機材の電源に発電機。大きな音に近隣から苦情も

 マンホール内では作業を円滑・安全に進めるための機材が欠かせない。マンホールの底に溜まっている雨水をくみ出すポンプ、マンホール内部を照らし出す照明器具、内部の空気を循環させる送風機、その酸素濃度を測定する検知器の4つだ。いずれも、電気を用いる。

 電源にはこれまで、エンジン発電機を用いてきた。発電機はエンジンの動きで電気を起こすため、大きな音を発する。世田谷TSで受け持つ現場は住宅地が多いため、それは騒音になって、現場に多くの課題をもたらしていた。

 樋口氏は「ポンプ、照明器具、送風機、検知器という4つの機材を同時に使用すると、発電機の発する音はどうしても大きくなりがちです。そのため、近隣にお住まいの方から苦情をいただくことがしばしばありました」と明かす。

 発電機の音がうるさいと、現場のコミュニケーションにも支障が生じる。そのため、作業員同士のやり取りもつい大声になってしまう。

苦情受けると工事を中断。仕事を予定通り終えられず

 「発電機の使用時は、近くにいる作業員同士でも声が聞こえないことが多く、発電機の音に負けないように大きな声で話すことを強いられます。発電機の音とは別に、その話し声の大きさが苦情につながることも少なくありません」(樋口氏)。

 近隣住民から苦情を受ければ、工事は一時中断。作業員は割り当てられていた作業をこなすことが困難になる。相手によっては事務員が謝罪に出向くこともあり、作業員も事務員も、自身の仕事を予定通り終えられなくなる。

 日本コムシスではエンジン発電機をe-NV200に切り替えることで、これらの課題の解消を図った。

 現場にはあくまで工事車両として乗り付け、作業を始める。作業に必要な4つの機材の電源は、助手席シートの背面下部に設けられた「パワープラグ」と呼ぶ100Vコンセントから確保する。樋口氏は「現場では最低5時間の稼働を確認済みです」という。

現場では騒音の苦情なしに。排気ガス出さない安全性も

 設定したバッテリー残量を確保する仕組みが組み込まれているため、電気の使い過ぎで世田谷TSに戻れなくなる心配はない。世田谷TSには太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせた充電スポットが設置されており、世田谷TSに戻ってきたらすぐそこで、次の出動に備えて充電できる。

 作業員や近隣住民からの評判は上々だ。「作業員からは、エンジン発電機の大きな音がなくなり、騒音による苦情がなくなったうえ、大きな声でコミュニケーションを取る必要がなくなったと聞いています。近隣にお住まいの方からは、『このくらい静かなら、これからも作業してもらって大丈夫』と、ありがたいお言葉も頂戴しています」(樋口氏)。

 エンジン発電機との違いは音だけではない。排気ガスにもある。発電機からの排気ガスには一酸化炭素が含まれているのに対し、EVからはガスそのものが排出されない。樋口氏も「エンジン発電機は一酸化炭素が排出されるため、常に換気できる場所に設置しなければなりません。これに対してEVは、一酸化炭素中毒のリスクがないため、作業に安全に取り組めます」と指摘する。

災害時は非常用電源として。携帯電話の充電スポットに

 「動く電源」として現場の課題を解消し、生産性や安全性を高めてくれるe-NV200。災害時には電気の供給が途絶えたとしても、緊急性の高い復旧工事を進めるのに役立ったり地域住民の被災生活を支えたりするなど、非常用電源として活躍する。

 実際、世田谷TSでは2016年11月と12月に区内で行われた防災訓練に参加し、e-NV200を用いた携帯電話の充電体験の機会を提供した。「災害時には区と連携を取って、e-NV200を充電スポットとして用いる想定です」(樋口氏)。世田谷TSはe-NV200の導入によって、これまで以上に地域社会に受け入れられる存在になっていきそうだ。

問い合わせ先
日産自動車株式会社
お客さま相談室
0120-315-232 受付時間:9:00〜17:00
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/env200.html
樋口 恵司 氏 日本コムシス株式会社 東京事業所世田谷TS
電力供給の仕組み:日本コムシスの世田谷TSには太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせた充電スポットが設置されている。非常時には、e-NV200からそこに電力を蓄えることも、そこから世田谷TSに電力を供給することもできる
世田谷TSに戻ってきたe-NV200には、世田谷TS内に設置された充電スポットで充電する。太陽光発電の出力は9.8kW。発電した電力はいったんリチウムイオン蓄電池に蓄えたうえで、そこから中速充電器でe-NV200に充電する仕組み
助手席シート背面下部の「パワープラグ」(100Vコンセント)にコードリールをつなぎ、マンホール内での工事に必要な機材の電源を確保する。左から、マンホール内の酸素濃度を測定する検知器、その空気を循環させる送風機。その奥はマンホール内を照らし出す照明器具
マンホール内での工事に必要な機材の電源はe-NV200の給電機能(100Vコンセント)を用いて確保するため、大きな音を発するエンジン発電機を使用せずに済む。作業員が大声でコミュニケーションを取ることもないため、地域住民は夜間工事でも受け入れやすくなる
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