eスポーツから生まれる新しいエンタメ体験で
誰もが楽しめるコミュニティづくりの場を目指す

NTTドコモは近年大きな盛り上がりを見せる「eスポーツ」に着目し、新しいエンターテインメント体験の実現を目指している。eスポーツイベントでの画期的な取り組みや未来像を担当者・関係者に聞くとともに、イベントでのアプリ体験などをレポートする。
 豊富なアセットを用いてスポーツ産業の市場拡大に貢献する――こうしたビジョンのもと、NTTドコモは2017年7月に「スポーツ&ライブビジネス推進室」を新設し、次々とユニークな取り組みを展開している。今回紹介するのは北欧のIT大国、ラトビアが誇るベンチャーとの協業。そこには、スポーツの未来を切り拓こうとする力強い思いがあった。

“NTTドコモらしい”eスポーツイベントを提供したい

 近年、対戦型のコンピュータゲームやTVゲームで競技を行う「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」が、大きなムーブメントとして世界中に拡大している。その動きは日本でも加速しており、2018年2月1日には複数あったeスポーツ団体を1つに統合して「日本eスポーツ連合(JeSU)」を設立。賞金付き大会の開催やプロライセンスの発行などが進められており、業界の普及や発展とともにプロゲーマーの社会的な地位向上などにも取り組む。

 2018年3月31日には東京・豊洲でeスポーツイベント「DIG INTO GOOD GAMES(DIGG)」が開催された。会場となった豊洲PITでは、一般参加者によるスマートフォンやパソコン、PlayStation®4のゲーム大会に加えて、メインステージでのプロゲーマーによるエキシビジョンマッチや人気タレントほかスペシャルゲストが登場したイベントなどを実施。ゲーム大会の参加者とともに、eスポーツに興味を持つ多くの人たちが来場し、ステージや会場を賑わせていた。

盛況となったDIGGの様子

 そんな中、NTTドコモは中期戦略2020「beyond宣言」で掲げた「スタイル革新宣言」の実現に向けた取り組みの1つとして、DIGGに特別協力の立場で参画。eスポーツの事業化に向けた検討をスタートさせ、当日はeスポーツ観戦に向けた新体感映像を演出するアプリの提供に関する実証実験も行った。

 今回、このイベントにモデル/タレントの宮越愛恵さんに同行してもらい、NTTドコモのデジタルコンテンツサービス担当 瀬崎隆明氏、イベントの運営をサポートしたビットキャッシュ 事業開発部部長の管野辰彦氏、アプリ開発を担当したzero 代表取締役の近藤貴幸氏にインタビューを実施。さらに、NTTドコモの視聴体験アプリや注目ゲームを宮越さんに体験してもらった。まずは、インタビューの様子を紹介しよう。

イベントに同行してもらったモデル/タレントの宮越愛恵さん。PlayStation 4のレースゲーム「グランツーリスモ SPORT」の対戦会では見事に1位を獲得し、賞金のビットキャッシュ(500円分)をゲット!

――最初に、NTTドコモがDIGGに参画した狙いを教えてください。

瀬崎氏 「beyond宣言」の「スタイル革新宣言」に盛り込んだ「新エンタメ体験」の実現に向け、新しいチャレンジをしたかったのが発端です。その一方、すでにさまざまな企業がeスポーツを推進しています。そこでまず考えたのは「NTTドコモらしいeスポーツイベントとは何か」ということ。その答えの1つとして、今回は競技ゲームにスマートフォン向けのタイトルを採用しました。さらにeスポーツの新しい見せ方にチャレンジした視聴体験アプリ「DIG GAMES」をzeroの近藤さんに開発してもらい、会場で提供しています。

 もう1つ、今回のイベントはアスリート向けの企画だけでなく地域に根差した親子大会を盛り込んだり、出演タレントと一緒にプレイできるような場を作ったりと、エンターテインメント性を持たせた点が特徴です。これらを通してeスポーツに対する知見やノウハウを蓄積していきたいと考えています。

取材に答えていただいたメンバー。左からNTTドコモの瀬崎氏、ビットキャッシュの管野氏、zeroの近藤氏

 今日のようなイベントを目の当たりにすると、コミュニティの環境整備は大切だなと感じています。とりわけNTTドコモとして重要なポイントとなるのは、やはり「通信インフラ」です。今回も会場内に無料で利用できるWi-Fiアクセスポイントを設置し、自由にゲームをしたりダウンロードしたりできる場を作りました。こうしたプラットフォームづくりは、今後も必要不可欠になるはずです。

――視聴体験アプリ「DIG GAMES」はどんな点を重視して開発したのでしょうか。

近藤氏 おもな機能として、ステージにスマートフォンをかざすとリアルタイムに情報を表示する「Live ARモード」と、会場のストリーミング配信の映像を自由に切り替えながら視聴できる「Multi Viewモード」の2つがあります。AR(拡張現実)とマルチ視聴で新しい体験を提供するのですが、このアプリを開発した理由はeスポーツに限らずどんなイベントでも、“会場に来てくれた参加者が「目の前の1つの視点」ではなく、会場にいてもさまざまな視点からイベントを楽しむことができる。それが最も重要”だと考えました。

 「Live ARモード」では、初めて行く競技やイベントであっても、スマートフォンを通して知らない選手のプロフィールや大会の詳細など、今まで知ることのできなかった情報をリアルタイムで知ることができます。「Multi Viewモード」は、自分の視界とは違うさまざまな映像を同時に見られることと、「自分の見たいものをずっと見ていられる」のが魅力です。これらの機能をきっかけに初めて参加するスポーツ観戦やイベントでも、より理解ができ楽しく観戦することができたり、今まで見られなかった視点での観戦ができたことで新たな部分に興味を持ってもらえるようになる。今回はこのような新たな発見のきっかけになる「新体感」に1つでも多く触れていただくことを目指しました。これからもたくさんの人たちに楽しんでいただけるようなプラットフォーム開発に挑戦していきたいと思います。

――このアプリによってeスポーツにどんな変化が起きると考えますか。

近藤氏 eスポーツがこれから広がっていく中で、「DIG GAMES」のようなアプリがあれば、日本各地での同時開催イベントでも、1つのプラットフォームで、全大会同時視聴が可能になります。日本だけではなく世界中どこからでも視聴することができ、さまざまな情報も共有することが可能になります。観ているだけではなく、ARによる新たな拡張現実空間での空間演出や、得ることのできなかった情報や体験ができるようになることになり、さらに新たな機能を充実させることができれば、観戦者や参加者の増加も見込め、大規模なマーケットへと変化していくのではないかと感じています。

――ビットキャッシュとeスポーツの関わりは深いですよね。

管野氏 はい。eスポーツのプロチーム運営に関わったり、さまざまな大会に協賛したりなどeスポーツのトップレベルの部分に関わっています。しかし最近はeスポーツの裾野を広げるため、初心者も含めた多くの人が集まってゲームを楽しむような場所を作ることも重要だと感じています。裾野が広がってこそ、eスポーツのピラミッドはより高く、大きくなるわけですから。

――では、eスポーツは将来的にどう成長すべきだとお考えですか。

管野氏 2つの方向性があると思います。1つはやはり、多くの選手が世界を股にかけて戦っていくこと。もう1つは、繰り返しになりますが裾野の拡大です。世界中のプレーヤーと戦うためには、10代半ばぐらいからキャリアを始めないと難しい状況にあります。だからこそ、幅広く普及させることで未来への足場を作っていくとともに、育成のコミュニティを作っていくことも重要だと考えます。

 そのほかに考えているのは「観戦体験の進化」です。なぜなら最近の動画サイトを見ると、プレイする側・視聴する側、どちらの環境も没入感がどんどん高まっていると感じているからです。

eスポーツの未来について語るビットキャッシュの管野氏

 この傾向がもっと進化すれば、いずれは自宅にいながらもスタジアムにいるような感覚で、本当に選手を間近に見ながら応援できるテクノロジーが生まれるかもしれません。そうなれば、ゲームといえども本当のスポーツと何ら変わらない観戦体験になるでしょう。結果として、チケットやグッズの販売といったeスポーツマーケティングも広がってくるのではないかと期待しています。

ARとマルチ視聴が楽しめるアプリの使い心地は?

「DIG GAMES」は、スマートフォンで気軽に利用できる視聴体験アプリ。ARとマルチ視聴でイベントの新しい観戦スタイルを提供する

 各ゲームの大会や体験会が行われる会場の一角に、視聴体験アプリ「DIG GAMES」のAR視聴体験ブースが設けられた。このアプリは、その場に用意されたスマートフォンで利用できたほか、自分のスマートフォンにアプリをダウンロードして楽しむことも可能。当日は、ステージ上で行われるゲームの試合を「Live ARモード」と「Multi Viewモード」で観戦できた。

 「Live ARモード」では、スマートフォンのカメラをステージに向けると、ステージや会場の空間にさまざまなオブジェクトを表示する。試合が始まると会場の盛り上がりを示す演出などが追加され、会場の熱気や歓声の高まりをビジュアル的に認識できるようになっていた。実際に試合が始まると、ステージ上のスクリーンから次々とオブジェクトが飛び出し、歓声が高まるとその数も増加。歓声とシンクロするダイナミックな映像に、宮越さんも「これはすごい!」と興奮気味だった。

ステージでイベントや試合が始まると、大きな歓声と驚きの声が上がっていた

 「Multi Viewモード」では、ゲームのプレイ画面はもちろん、それぞれの対戦プレーヤーの表情をチェックできる映像や、事務局が会場の様子や豆知識などをつぶやくツイッターの画面、試合の実況中継の映像などを自分で選んで視聴することが可能。「Mix View」を選ぶと複数の画面を同時に開いて視聴することができた。

 実際の試合中は5種類以上の画面を選択でき、例えばゲームのプレイ画面は目の前の大型スクリーンで楽しみながら、アプリで各プレーヤーの表情やツイッターの画面をチェックできるなど、近藤氏の狙い通りの「新体験」が凝縮されていた。使い勝手も良好で、画面の切り替えもスムーズ。3つの画面を同時に表示してもまったく問題なく、宮越さんも何度も画面を切り替えながら、新しい視聴のあり方や快適さを楽しみながら実感していた。

スマホ向けのカードゲーム「ドラゴンクエストライバルズ」の予選に宮越さんも参戦。隣でレクチャーを受けながら、熱いバトルに一喜一憂していた

 そのほか、宮越さんはスマートフォンで気軽に楽しめるカードゲーム「ドラゴンクエストライバルズ」のトーナメント大会予選に緊急参戦。初挑戦ということで遊び方をレクチャーしてもらいながらのプレイとなったが、いざ始めてみるとゲームに集中。真剣なまなざしで楽しんでいた。

 このように、eスポーツは初心者でも引き込まれてしまう魅力がある。今後、5Gによる超高速・低遅延・多接続の回線環境が整えば、さらに場所に縛られることなくeスポーツイベントが普及するはずだ。5年後、10年後には今とはまったく違う“eスポーツの風景”が広がっていることだろう。

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