変わる。変える。パブリックトイレ。TOTO PUBLIC STYLE

製造者視点 インタビュー:空間発想によるデザインの進化形(岩谷 剛 氏 TOTO デザイン本部デザイン第二部 第二デザイングループ)
TOTOは2018年2月、パブリック市場に向けた新しい商品群として「PUBLIC RESTROOM ITEMS(パブリックレストルームアイテムズ)」の販売を開始した。より幅広いニーズに対応できるように、同市場で目指してきた「デザインと機能の高度な融合」をさらに進化させたものだ。建築家とのコラボレーションで2008年に生まれたパブリックデザイン商品群「レストルームアイテム01」の思想を受け継ぐデザインポリシーを定め、既存のラインアップを基に空間発想でディテールにまで手を加えた。デザインの考え方を、TOTOデザイン本部デザイン第二部 第二デザイングループ・岩谷剛氏に聞いた。

――2018年2月発売の「PUBLIC RESTROOM ITEMS」はどのような商品群ですか。

岩谷 TOTOではパブリック市場で「デザインと機能の高度な融合」を目指してきました。例えば洗面ボウルでは、手を洗うときに水はねがしにくい、清掃がしやすいという機能性を追求するとともに、造形的な審美性の観点からも検討を加え、その両立を図ってきました。ボウルの内側はなめらかな曲面で、しかし空間に美しくおさめるために外側はシンプルな直線のラインで。その造形に至るまでには、さまざまな寸法条件で水はね検証を行い、水栓金具の位置やボウルの深さのバランスを考慮しながらの作業を繰り返し行ってきました。

 また、パブリックトイレは、かつては用を足すためだけの空間でしたが、現在では快適性と美しさに対する要求が非常に高まってきました。多機能トイレもただ機能を集約する空間ではなく、多様なアレンジを求められるように変化してきています。空間イメージの要求も、シャープでモダンな空間から、やさしく温かみのあるナチュラルな空間まで、非常に幅が広くなったため、従来の限定されたデザインバリエーションでは対応が困難になってきました。

幅広い空間イメージ実現のために

岩谷 そうした幅広い空間ニーズに対応できるように、既存のラインアップを見直す形で形状やサイズのデザインバリエーションを増やしました。お客様が思い描くトイレ空間に調和するように、洗面ボウルのデザインは同一サイズの中でも角型と丸型から選べるようにしています。

 さらに、設計の方々が器具を変更する場合でも最小限の手間で済むよう基本モジュールを見直し、これまで製品によって異なっていた水栓金具や排水金具の寸法モジュールを整理しました。

 操作表示の表現にも工夫をしています。ウォシュレット操作部のピクトグラムは、2017年に日本レストルーム工業会で制定された標準化デザインを採用しました。海外の方が日本のパブリックトイレを利用する機会が急速に増え、正しい使い方の徹底が課題になってきたことから、メーカーによって異なっていたピクトグラムを統一したものです。この先は国際標準化機構(ISO)での規格化をベースに、世界中のトイレのピクトグラム統一を働きかけていく予定です。

岩谷 剛(いわや つよし) 氏
TOTO デザイン本部デザイン第二部 
第二デザイングループ グループリーダー
1997年入社。これまでに数多くの住宅/パブリック商品デザインを担当。グッドデザイン賞受賞6回。2012年キッチン向け水栓金具「水ほうき水栓」全国発明表彰受賞。2013年エコシングル水栓GGシリーズ環境・設備デザイン賞優秀賞受賞。

――この商品群の発売までは、どのような思想や体制でデザインに臨んできたのですか。

岩谷 かつてのパブリック商品は開発時期がバラバラで、担当デザイナーもそれぞれに異なっていたために、どちらかといえば器具単体での完結型デザインを行っていましたし、私たちの中で建築設計の知識が薄く、また設計施工に関わるお客様のニーズを十分に理解できていませんでした。

 そのような背景から社外の建築設計のプロの意見を反映し、空間発想でのデザイン価値向上に取り組んで完成したのが、2008年発売のパブリックデザイン商品群「レストルームアイテム01」でした。

 この取り組み以降、パブリック商品のデザインに対する社内の意識が高まり、ボリュームゾーンの価格帯でもデザイン品質を向上させる活動が急速に加速してきました。そこで、どの商品でも一定のデザインクオリティーを確保できるように、「レストルームアイテム01」の思想を基に「パブリックデザインポリシー」を定めました。

モジュール統一 器具同志でサイズを共通化。空間に合わせた器具選定が可能です。

「あらゆる空間に美しく調和」へ

――「PUBLIC RESTROOM ITEMS」は、そのデザインポリシーに従って開発されてきたわけですね。

岩谷 そうです。このデザインポリシーでは、「パブリックデザイン製品が、あらゆる空間において、破たんなく美しく調和している状態が普遍的に続いていること」を目指しています。そのデザインポリシーの下に、「建築空間との調和」「製品相互のデザイン調和」「使用者への配慮」「施設運営側への配慮」という4つの視点と、「基本フォルム」「R処理」「サイズ」などのデザイン基準項目を定めています。

――「PUBLIC RESTROOM ITEMS」は、どのように開発されてきたのですか。

岩谷 「パブリックデザインポリシー」をはじめとする考え方やデザイン基準項目などを踏まえたうえで、空間全体での見え方を前提とした商品デザインに取り組みました。その中では、先にお話したような洗面ボウルのように清掃性の良い形状と造形の両立など造形上の工夫を計画的に進めてきましたが、併せてパブリックトイレに関わるさまざまな人にとっていつも快適であることを目指してきました。

 パブリック商品はさまざまな人の意向を反映しなくてはなりません。実際に使用する不特定多数の人たちと、器具を選ぶ人は違いますし、清掃や管理する人、空間の設計をする人、建物のオーナー等、多くの人が関わる空間です。ですので、そのような人のニーズを幅広く捕らえることが、住宅商品と比べてとても難しいところです。長く美しさが保たれ、誰もが快適に使えるパブリック空間のためには、まだまだ進化を止めてはいけないと考えています。

UD研究所

世界のトイレを美しく、快適に

――TOTOでは会社のデザインポリシーとして「静かなる存在感」を掲げ、「空間の中で主張しすぎない」という姿勢を打ち出しています。それも当然、踏まえているわけですね。

岩谷 そうです。パブリックトイレではまず空間全体の調和から考えるようにし、その品位を前提に個々のデザインに取り組むようにしています。

 近年では「ノイズレスデザイン」という言葉をよく用いるようになりました。空間の中に置かれているプロダクトが、空間の品位を下げないようにするには、極力無駄な造形や凹凸、隙間や段差などを排除していくべきであり、その考え方が結果として空間全体を長く美しく保つことにつながると考えています。そのような発想はパブリックのみならずTOTOの住宅商品の中でも強く意識をしているところです。ノイズを消すことは容易ではありませんが、日々こだわり続けています。

――パブリック市場に向けた商品づくりの今後を、どのように展望していますか。

岩谷 今後はグローバル市場に目を向けた活動を推進していきたいと考えています。日本のパブリックトイレは恐らく世界で一番最先端の、日本が誇るべき文化です。その日本で培ってきたノウハウを生かし、グローバル市場にマッチしたトイレ空間を提案していくことが求められていると思います。日本でパブリックトイレの質の底上げに貢献してきたように、世界のパブリックトイレを美しく、快適なものにしていくことは、TOTOの使命ではないかと考えています。

 それにはまず、日本を訪れる多くの国の方々に最新のパブリックトイレを体験していただき、その心地良さやおもてなし文化の素晴らしさを感じてもらえる様、商品提案を続けて参ります。

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