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配管腐食の予測精度を高めてプラントの事故を未然に防ぐ

プラントの設計や建設、保全診断などを手掛ける日揮プラントイノベーションは、ビッグデータを用いた予防保守を大きな価値創造の機会ととらえている。2014年に資源エネルギー庁の実証実験に加わり、同社は製油所の配管腐食に関する解析に取り組み、このプロジェクトを通じて腐食予測について今後の可能性が確認できた。今後はビッグデータを活用した問題箇所の抽出が大きなテーマとなる。この大きな目標に向けて同社は一層の精度向上を目指している。

日揮プラントイノベーション株式会社 第2事業本部 情報技術部 システムサポートグループ アシスタントグループリーダー 折茂 史教氏

日揮プラントイノベーション株式会社
第2事業本部 情報技術部
システムサポートグループ
アシスタントグループリーダー
折茂 史教氏

 製油所や化学プラントの事故は人命に関わるケースも多く、大規模な火災などにつながることもある。重大事故の撲滅は関係業界のみならず、社会的な要請だ。しかし、プラントの保守については課題も少なくない。日揮プラントイノベーションの折茂史教氏は次のように指摘する。

「ベテラン技術者が徐々に退職を迎える中で、技術継承が十分に行われていないのではないかとの懸念があります。また、国内のプラントについては設備の経年化が進行中。プラントを健全に維持するための対策が求められています」

 1つのアプローチとして注目されているのがビッグデータの活用だ。プラントの各所に設置したセンサーからデータを収集し分析を施すことで、設備の保全や検査を効率的かつ確実に行うことができる。プラントにおけるプレディクティブ・メンテナンスは、安定操業や事故などのリスクの最小化につながる。

 2014年に資源エネルギー庁の主導で1つの実証実験が行われた。同庁から委託を受けたのは石油エネルギー技術センター(JPEC)。JPECが実施する「ビッグデータ解析手法による製油所安定操業対策に関する調査」に日本IBMが参画した。日本IBMを支援する形で日揮プラントイノベーションもこのプロジェクトに加わった。

「当社が担当したのは配管の腐食についての解析。製油装置の配管については、内面腐食の解析を行いました。具体的にいうと、内面腐食の状況を予測し、内面腐食や漏洩などの異常発生場所の特定を目指す。石油会社(A社)から提供された膨大なデータをもとに、解析準備作業、つまりデータクレンジングを行い、そのうえで解析作業を行いました」(折茂氏)

 7カ月のプロジェクトだったが、今回は初めての試みということもあり最初の準備作業に3カ月を要した。たとえば、A社が管理している配管の肉厚に関するデータは100項目以上に上るが、その中には腐食とは関係のない項目もある。そこで配管を流れる流体名称や温度、材質など必要と思われる20項目を抽出して解析対象とした。

「データクレンジングには苦労しました。解析の精度を高めるためには、ここが一番のポイントだと思います。言い換えると、普段からデータをきちんと整理しておけば、今後ビッグデータ解析に取り組む際に大きなアドバンテージになります」と折茂氏は語る。

 配管肉厚を含めたさまざまな検査データを、A社は検査診断支援システム「A-MIS」で管理している。このA-MISを提供したのが日揮プラントイノベーションだ。折茂氏らのチームはA-MISからデータを抽出して準備作業を進め、実際の解析作業に入った。解析フェーズで活用されたのはIBMのデータマイニングツール「SPSS Modeler」である。

「データ傾向を確認したうえで解析ロジックを決定し、解析を実行します。これらのプロセスをサポートするのがSPSS Modelerです。得られた解析結果を検討・可視化した後、より解析の精度を高めるために準備作業の最終段階にあたるデータの選り分けに戻る。選り分けというのは、いらないデータを除いたりデータの組み合わせを変えたりすること。このような一連のサイクルを繰り返しました」(折茂氏)

 解析結果の1例を図3に示した。左は使用年数5年以下の配管、右は10年以上の配管である。縦軸は予測腐食率、横軸は実測腐食率だ。一見してわかるように、10年以上の配管では予測と実測のギャップは小さく、ほとんどが誤差0.1㎜/年に収まっている。

図3 2014年度 解析概要の紹介

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「10年以上の配管では、解析の有効性が確認できました。今回の実証実験では時間の関係で加えられなかったデータ項目もあるのですが、こうした項目も入れることでさらなる精度向上が期待できます」と折茂氏。今後は問題箇所の特定精度の向上が大きなテーマとなる。今回のプロジェクトにより、その可能性が見えてきたと折茂氏は考えている。

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TEL:0120-300-426(平日9時30分〜17時30分)

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