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vol.2-2 知と現場の最先端が語る、ロボット市場の未来

ロボットアプリケーションは「動詞」の数だけある

動詞の数だけアプリケーションがある

――よりロボットが身近になっていく社会の中で、YuMiをはじめとするロボットには、どのような発展の可能性があるとお考えでしょうか?

佐藤 子どもは生まれてからモノを握れるようになるまで、何年も時間がかかりますよね。あれは決して知能が未発達なわけではなく、人はモノを握るのにもそれだけ複雑なことを行っているんだと思うんです。ロボットも、単純に動かすだけなら簡単なんです。しかしこれがコップを「持つ」「置く」という話になると途端に難しくなる。コップを置くだけでも、高さが1mm低ければテーブルにめり込んでしまいます。

 この資料(下写真)は、辞書にある言葉から、ロボットの作業に関する動詞の一部を難易度別に並べた一覧表です。私の先輩が作りました。たとえば、レベル1の「組み立てる」「手術する」などは、ロボットのジャンル、つまり「組み立て作業ロボット」や「手術ロボット」を意味します。現在急速に進歩していますね。その下のレベルの「研ぐ」や「研磨する」といった動詞は、高度化すれば企業を支えるコア・コンピタンスになりえるものです。このように辞書に書いてあるすべての動詞は、ロボットやロボットと人の協働で実施できるようになると考えています。私はそれを「プロセスイノベーション」と呼んでいます。

難易度別ロボットの作業に関する動詞

 これまでは、たとえばスマートフォンの登場といった「プロダクトイノベーション」によって社会変革(イノベーション)がなされてきました。対してロボットは、プロセスに貢献するんですね。人がロボットと一緒に作業する。あるいは、作業の一部分をロボットが担当する。このようなきめ細かなプロセスイノベーションが日本の得意分野であり、ロボット発展の重要な方向性であると考えています。そういった意味でも、まだまだ大きな可能性が広がっていますね。

中島 しかし人は実に複雑な作業をするのだな、とつくづく思います。これらの動詞の下にはさらに数十個の動詞がありますよね。さらに人は、見て、認識して、選んで、測定もするように、同時並行で動詞を組み合わせることができます。

ロボット工学的アプローチでは、ハードウエアごとに機能を分断します。見るのはカメラ、掴むのはハンド、といった具合です。当然、ロボットはそこに限界があり、そのギャップをどう埋めていくのかが、すなわち先生がおっしゃられるプロセスをどう変えるかなんだと思います。

佐藤氏とYuMi

――工場を抜け出した、ファクトリーオートメーションからプロセスオートメーションへの遷移ともいえそうですね。しかし我々の場合どうしても、限定的な用途でロボットを捉えてしまいがちです。どのような変革の方法があるのでしょうか?

佐藤 たとえば人の場合は作業したらそれでおしまいですが、ロボットの場合、作業するだけでなく、すべてを記録できるセンサーでもあります。インダストリー4.0やIoTの時代において、ロボットが注目される必然性はここにもあるわけです。人とうまく入れ替わりながら作業をし、記録する。その記録をビッグデータとして活用しながら、さらに高度な作業をこなしていく。それが協働ロボットの働き方なのではないかと私は思っています。

中島 ロボットが機械の中に組み込まれて、ロボットを意識せず設備を購入されるケースも最近増えていますね。さまざまなニーズに応えていきたいと考えています。

アイデアコンテストが次の革新を生む

YuMi

――ABBの協働ロボット活用アイデアコンテスト「YuMi Cup 2017」が開催されます。佐藤先生が審査委員長を務められることになりましたが、コンテストの意義、期待することをお聞かせください。

佐藤 コンテストは、新たな技術革新を生み出すことができます。たとえば、1927年のチャールズ・リンドバーグによる単独無着陸大西洋横断飛行の成功を思い出してください。この時は賞金と衆目というインセンティブがあって、それがリンドバーグの偉業に、そして大衆の飛行機旅行を花開かせ、航空機産業の勃興につながりました。参加者からすればキャリアアップとそのアピールのきっかけに、企業にとってもすぐれた人材や技術と出会える絶好の機会になるのがコンテストです。こうした観点から見ると、ロボット技術がある程度成熟しており、その組み合わせで新しい価値が次々と生み出されていることを考えると、今回のコンテストは時宜を得た試みであると思いますよ。

中島 YuMi Cup 2017は、オープンイノベーションへの期待から始まりました。ロボットのさらなる飛躍、普及にはブレークスルーが求められます。それにはお金や時間だけでなく、新しい視点を持ったアイデアの創出が必要です。既成概念にとらわれない革新的な意見を覗いてみたいですね。

佐藤 ロボットには3つの役割があると思っています。①人の役に立つ役割、②人を知る役割、③人を感動させる役割。このうちコンテストに最も関わる部分は、③人を感動させる役割。パネルで説明文や図表を見る時の人の目と、実物のロボットとその動きを見る時の人の目では輝きが違います。ロボットとその動きは、単にインスパイアするだけでなく、人がどれだけ大変な作業をしているのかを知ってもらえるはずですし、人の役に立つことも実感してもらえるのではないかと。ぜひ、たくさんの人に参加してほしいですね。

中島 技術は基本的に人の生活をよくするためにあると考えていて、その一端を担いたいという気持ちで働いています。ロボットがこれだけ勃興してくると、作るより、使うほうに無限の可能性を感じますし、このコンテストによって、可能性の面白さを少しでも感じてくれたらうれしいです。人の生活をよくする、そのよろこびを味わうきっかけになればと思います。

ABB YuMi Cup 2017 挑め、チャレンジャー YuMi®とともに、未来を描け/協働ロボット活用アイデアコンテスト、開催!!

YuMi と実現する活用アイデアコンテスト「YuMi Cup 2017」の開催が決定。新しさやユニークさに関する「革新性」、市場の潜在ニーズに合致する「市場性」、将来的な製品化を期待できる「実現性」といった観点から、これからの未来を切り拓くことができる創造力を募集します。

詳しくはこちら
※2017年8月18日をもちまして、コンテストへのご参加は締め切らせていただきました。
 公式サイトでは、引き続きコンテンストの内容を公開しておりますので、ぜひご覧ください。