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vol.1-2 ABBのロボティクス事業をレポート

ロボットが隣で働くとき

ロボットが共に働く時代がやってきた

 IDCが発表したロボット産業に関する調査結果(2017年)によると、ロボット関連市場の世界支出は、2016年の915億ドル規模から2020年には1880億ドルへと2倍以上に拡大する見込みだという。一方、ロボットの導入効果は事業によって大きく異なるため、予測することが難しい。データは複雑で多様だが、そんな中でABBでは世界各地の生産現場で培ったあらゆる業界の豊富な実績に基づいてシミュレーションツールを開発し、検証・試験施設を持つことで、導入効果データを可視化。それが一目瞭然となったことで、顧客のロボット導入へのハードルを一気に押し下げている。

 そして、ロボットをより身近な存在にするのが、協働ロボットのYuMiだ。YuMiは、人との協働を前提に開発された。ボディ重量は38kg。サイズは399×496㎜、リーチは500㎜。可動領域を考慮しても、人と同程度の作業面積しか占有しない。マグネシウム製のアームは各腕7軸で計14軸を自在に動かすことができる。

YuMi

 特筆すべきは、「安全」に対する設計思想だ。人と協働する以上、作業者の安全確保は最優先事項でなくてはならない。

 「YuMiは、業界で一番人に近いロボットの一つです。人間の上半身をイメージしてデザインされた外見的特徴だけでなく、肩幅や腕の長さも人に似せて設計され、フットプリント(設置面積)も同様です。協働型ロボットの場合、同じライン上で1人がロボットにそのまま置き換わっても違和感がないことが理想です。また、フローティングプラスチック製の外装が緩衝パッドで覆われていて衝撃を吸収でき、可動部に指などを挟まれないよう空間を設けるなど、安全性に配慮した外装設計になっています。さらに、環境の負荷を瞬時に解析し、作業者の損傷事故を防ぐべく、必要に応じて動作を数ミリ秒以内に強制終了することも可能です。出力がご家庭や研究室の100V電源でも利用できる80W以下のモータのみで構成されており、質量自体も軽いので、エネルギー量が少なく、万が一人にぶつかっても安全なのです」(高橋氏)

 双腕ロボットは従来のアーム型6軸ロボットに比べて可動箇所が多く、モータも計14個で制御も複雑になる。これまでのロボットの常識から考えると使いこなすことが難しそうなものだが、使いやすさという点でもYuMiは革新的だという。

 「YuMiの場合、直接触って姿勢を変えて動作を覚えさせることができるダイレクトティーチングが可能なのが大きな特徴の一つです。またパソコン上で仮想のシミュレーションとプログラミングができる、独自ソフトウェア『RobotStudio®』に対応するなど、扱いやすいように工夫がされています。ロボットとしては新型ですが、ソフトウェア自体は従来型と共通なので、プログラミングの中身は変わりません。ロボット初心者だから、と構えることなく、かなり気軽に取り入れられます」(高橋氏)

プログラミング&シミュレーションソフトウェア
RobotStudio®
RobotStudio画面

 安全性に加えて、YuMiは当初スマートフォンの普及を背景に精密機械部品の組み立て作業を想定して開発されたため、高精度かつ高速だ。同クラス最高水準の動作スピードと精度を誇り、最速1500㎜/秒の速度で動き、繰返精度は0.02㎜と誤差がほとんどないといえるレベルだ。

 さらにユーザーにとっての使いやすさも魅力。作業時は、専用アプリをダウンロードした汎用タブレットをYuMiと無線接続して使用できるため、誰もが直感的に操作できる。さらに、付属のコントローラーにあたるティーチングペンダントとの組み合わせによって精密な位置調整なども手軽に行える。レンタルでの導入も可能なので、コスト面でのハードルは一気に下がる。大規模工場ではなく、中小企業の小規模な生産工場でもYuMiが活躍できる舞台が大いにありそうだ。

※ Source: IDC PressRelease Jan 10, 2017
”Worldwide Spending on Robotics Will Reach $188 Billion in 2020 Fueled by New Use Cases and Expanding Market Acceptance, According to IDC”

YuMiと描く未来はすぐそこに

 これからYuMiが生産現場や社会にどのような変革と希望をもたらしてくれるのか、高橋氏に聞いてみた。

高橋氏

 「ロボットが人の仕事を奪ってしまう、という議論もありますが、実際の現場では現在人手不足が深刻化し、労働力の確保がどんどん大きな課題となっています。また、人の嫌がる仕事があるのも現実です。ならば、そんな作業をロボットに負担させることで、人がやりがいを持って働けると思います。ストレスを抱えて我慢しなければならないような作業をロボットに肩代わりさせられるのです。

 現在、YuMiは電気電子部品を中心に、貴金属、食品、医薬品、化粧品の製造など幅広い用途で使われています。ハンドのバリエーションで、インテグレーテッドビジョン(内蔵カメラ)を組み合わせることも可能です。お客様と共同開発をする中で、カメラとの組み合わせが、さまざまな用途に有効だとわかりました。たとえば、外観検査装置です。従来は大規模なラインでしか自動化できず、人が肉眼でチェックして1万個の化粧品ボトルの中から1個の不良品を見つけていたという世界。人は1時間ごとに休憩しないと疲れてしまう。そんな現場で休憩がなくても集中の途切れないYuMiを活用して自動化が実現しました。YuMi開発時には想定していなかった使い方が、他の技術との組み合わせで、まだまだ広がっていきそうです。

 私の個人的な希望としては、生産工場だけでなく、もっと日常生活の中でも活躍するといいな、と思っています。たとえば売場でレジを打ったり、チケットを渡してくれたり。食事の配膳をしてくれたら親しみが持てるし、子供たちが喜びそうです。一緒に働くことが楽しくなる、そんな光景が現実になったらうれしいですね」(高橋氏)

 ロボットの導入は、ロボットメーカーだけでは解決しない。お客様や協力会社とのコラボレーション、自分のアイデア次第でプロジェクトが動いていく。それが技術者としての醍醐味だと高橋氏は語る。

 最後に、YuMiの新しい活用アイデアを広く募集するコンテスト「YuMi Cup 2017」の応募者にも期待を込めてエールを送っている。

 「今回のアイデアコンテストでは、自由な発想で『こんなのがあったら面白そう』という純粋なアイデアを形にしてほしいと思います。我々は、実務やニーズといった現実的な壁に跳ね返されることもありますが、産業用や協働という言葉にとらわれず、応募者の方には是非オープンな視野で考えてもらいたい。そんな意味でも、YuMiはアイデアを想起してくれる最適なツールになると思っています」(高橋氏)

ABB YuMi Cup 2017 挑め、チャレンジャー YuMi®とともに、未来を描け/協働ロボット活用アイデアコンテスト、開催!!

YuMi と実現する活用アイデアコンテスト「YuMi Cup 2017」の開催が決定。新しさやユニークさに関する「革新性」、市場の潜在ニーズに合致する「市場性」、将来的な製品化を期待できる「実現性」といった観点から、これからの未来を切り拓くことができる創造力を募集します。

詳しくはこちら
※2017年8月18日をもちまして、コンテストへのご参加は締め切らせていただきました。
 公式サイトでは、引き続きコンテンストの内容を公開しておりますので、ぜひご覧ください。