世の中の変化に対応する
ジオマテックの薄膜と加工技術

ジオマテックの薄膜センサー 薄膜の潜在能力を解き放ちIoTを一歩先に進めるセンサーを提案

IoTの応用拡大に向けて、思い通りの場所から、ありのままのデータを取得できるIoT用に特化したセンサーの登場が待ち望まれている。ジオマテックは、金属や金属酸化膜・窒化膜の薄膜形成技術を駆使して、一歩進んだセンサーを生み出していく。

薄膜センサーで実現する一歩進んだIoT

菅原浩幸 氏
ジオマテック株式会社
取締役 執行役員 兼 CTO
菅原 浩幸

IoTを活用して、生活や社会活動、ビジネスに新しい価値を生み出す時代が到来した。そして、あらゆる場所の多種多様な装置・設備にセンサーを組み込み、現場の状態を映す・データを収集・活用する動きが活発化している。ところが、既存のセンサーの多くは、必ずしも思い通りの場所に組み込めるわけではない。データを収集したい場所に組み込めない大きさや厚さだったり、耐久性が足りなかったりする場合が多々あるからだ。

ジオマテックは、こうした既存センサーが入り込めないところにこそ、価値あるデータが埋まっていると考えている。「より多くの場所に組み込み、ありのままの状態を把握できるIoT時代の要請に応えるセンサーを、長年蓄積してきた薄膜形成技術とパターニング技術を駆使して生み出していきます」とジオマテック株式会社 取締役 執行役員 兼 CTOの菅原浩幸氏はいう。

薄膜のプロが創る唯一無二のセンサー

これまでジオマテックは、他社の追随を許さない高度な薄膜形成技術とパターニング技術を生かして、電子機器のイノベーションに貢献してきた。「例えば、スマートフォンの革新的なユーザーインタフェースは、ジオマテックが他社に先駆けて手掛けた薄膜形成のプロフェッショナルにしか作れないタッチセンサーがあるからこそ実現できたと自負しています。そして今、舞台をIoT向けセンサーの分野に変え、再び劇的な技術革新を支えようとしているのです」(菅原氏)。

熱電対や近接センサーといった、ありふれたセンサーも、ジオマテックの手に掛かれば、唯一無二の価値を持つIoTセンサーへと生まれ変わるはずだ。

薄膜の有用性を活用しセンサーデバイスを提案

測定できなかった場所の温度データをその分布や伝搬の様子とともに取得を可能にする 薄膜熱電対

厚さ約10μmの極薄フレキシブルな熱電対

ジオマテックは薄膜形成技術の粋を尽くし、極薄でフレキシブルな熱電対を提供している。厚さ55μm、幅4mmもしくは7mmの標準品を用意しているほか、厚さ約10μmや幅1mmといった極薄・極細、さらには自由な形状のカスタム品の開発・提供にも対応。

ジオマテックの薄膜熱電対はカスタム生産が基本だが、汎用性の高い品種を標準品として用意している。

熱電対 画像

提供する薄膜熱電対は、ガラスやポリイミドフィルムを基材とし、その上に3元系もしくは4元系の2種類のニッケル合金の薄膜を重ね合わせて形成し、パターニングしたK型熱電対。測定可能な温度範囲は、-40〜200℃と幅広い測定ができる。

薄膜熱電対の拡大写真

薄く精密に金属薄膜を形成。金属端子が交差した部分で温度を測定する

温度計測に革新をもたらす

薄膜熱電対を活用すれば、これまでの熱電対では対応できなかった新たな利用シーンが広がる。

まず、極薄であるため、わずかなスペースがあれば温度測定が可能に。柔らかい基材上に熱電対を形成すれば、さまざまな形状の対象物にピタリと貼り付けて組み込むこともできるのだ。熱電対自体の段差による隙間が発生しないため、正確な温度を測定できる。こうした薄膜熱電対固有の特長を活かせば、例えば迷路のように入り組んだエンジン各所や、プレスや射出成形の際の金型など、これまで測定が困難だった場所の温度を正確に検知できるようになる。また、熱電対自体の厚さは約1μmと薄く、熱容量が小さいことから、数ミリ秒の応答速度となり、急激な昇温・降温に追随した高感度の計測が可能なのだ。

さらに、基材上に複数の熱電対を一括で形成するため、多点を同時測定する温度センサーシステムを作ることができ、これによって、対象物の温度分布や熱が伝搬していく様子などを把握することも可能になる。こうした、1点の温度測定だけでは得られなかったデータは、技術開発や生産管理の高度化に大いに貢献することだろう。

9ポイントの多点測定品
幅1mmの先端形状カスタム品 1円玉との比較
9ポイントの多点測定品(左)、幅1mmの先端形状カスタム品(右)

薄膜を扱う知見とノウハウを駆使してカスタマイズ

ものづくりや日々の生活、そして医療など、温度測定によって得たデータを活用するシーンは多岐にわたり、温度を測定するセンサーを組み込む機器や設備もまた多様だ。温度データを取得する際には、測定対象と目的に最適化したセンサーの活用が理想である。ジオマテックは、形状・素材・特性・測定点の数や配置などをカスタマイズし、思い通りの温度測定を可能にする薄膜熱電対を開発し、提供している。他にも測定対象を加熱する薄膜ヒーターのような、付加機能を追加することもできるという。

薄膜熱電対のカスタム開発・生産には、高度な生産技術が要求される。ミクロンオーダーの厚さの基材を扱い、そこに高品質なナノオーダーの薄膜を高い密着性を確保しながら形成できないと、求める薄膜熱電対を作ることができない。真空プロセスを駆使した高度な薄膜形成技術と、それを自在にパターニングする技術を保有するジオマテックだからこそ実現できるのだ。温度測定で抱える課題の解決策、温度測定の新しいアイデアをジオマテックが形にしている。http://www.geomatec.co.jp/

より高温の測定、より高精度の測定を目指して

ジオマテックが開発した薄膜熱電対は上で紹介したようにさまざまなメリットを有しているが、薄膜であるが故の制約事項もあり、それを改善したセンサー(プラチナ測温抵抗体)も開発してきている。薄膜温度センサーが受ける制約の1つが表面の影響である。薄膜は体積に比べ表面積が広く、高温において酸化の影響を受けやすい。そこで酸化しづらい金属であるプラチナを用い、その電気抵抗の温度変化を温度測定に利用する測温抵抗体ならば薄膜熱電対より高温での使用にも耐え、高精度な測定の可能性があるため、開発を進めている。

200℃を超える温度の場合は、電気機器生産ラインのリフロー工程の管理などに400〜500℃での測定が可能になれば、半導体の生産ラインの管理にも利用できるようになるのだ。また、測温抵抗体は、熱電対よりも公差が小さいため、精度の高い測定が求められる医療用の体温測定などへの応用も想定した技術開発も進められている。

薄膜熱電対 画像

ジオマテックが開発している測温抵抗体の画像。お客様のニーズにあわせ作り込まれていく

タッチセンサーの原理を応用して組み込み容易な静電容量型 近接センサーを実現
薄膜近接センサー

スマホのタッチセンサーの機能をあらゆる場所に付加

人感センサー 画像

ジオマテックは、スマートフォンなどに活用されているタッチパネルの原理を応用した、静電容量型の近接センサーを提供。赤外線を利用した従来の近接センサーのような大掛かりな仕掛けなしで、人やモノの接近を敏感に検知できる。あらゆる機器や設備、場所の表面に、人やモノの近接や接触を検知する機能を簡単に組み込むことが可能となるのだ。接触から10~20cm程度の距離を検知でき、スイッチや見守りセンサー、ユーザーインタフェースとして、使い方次第でさまざまな応用が広がる。

静電容量型 近接センサーは、計測対象とセンサーの間の距離が縮まることによる静電容量の増大から、近接を検知。センサー自体は基板の上に導体薄膜を形成しパターンニングしただけの構造であるが、透明な基板と透明な導電膜ITO(酸化インジウム・スズ)を用いれば透明なセンサーを実現できる。計測対象とセンサーの間の容量変動は、外付けする電気回路で検知する。単純な構造でありながら、敏感なセンサーとして機能できるのは、高品質なITO薄膜を均一に形成できるジオマテックの技術があればこそだ。

静電容量タッチスイッチの仕組み

静電容量タッチスイッチの仕組み:人体(導体)と電極の間が静電容量になることで容量が増加する

静電容量式タッチパネルの知見を生かして新しいデバイスを創り上げる

	人知れず寄り添い、確実に見守る

ジオマテックの静電容量型 近接センサーは、人やモノを見守るセンサーとして、得がたい特徴を備えている。

まず、静電容量の変化を検知する電極に透明電極を使う場合には、モノの表面に見えない電極パターンを形成し検知機能を組み込むことができる。さらに静電容量型 近接センサーは、計測対象とセンサーの間に木材などがあっても近接を検知するため、壁紙のなかなどに埋め込んで活用することも可能である。

また、人体検知センサーとして機能させることができ、椅子に組み込めば人が座っているのか、検知することが可能になり、IoTを活用し新しいサービスに貢献できるのではと期待している。

水位の自動検知にも応用可能

ジオマテックでは、静電容量型 近接センサーの応用例として、水位センサーを開発。水は大きな誘電性を持っており、その有無を静電容量の変化として検知できるというもの。例えば、点滴のパックの側面にセンサーを付加すれば、輸液の水位を自動検知できるようになるなど、オイルや血液などを検知対象にすることも可能だ。

水の量を検知し正確に表す
パソコンでの画面
静電容量型 近接センサーを応用して水位を検知

検知距離や見栄えを自在にカスタマイズ

他にも用途に応じた静電容量型 近接センサーのカスタム開発を受託しているジオマテック。タッチセンサーの開発・生産を通じて蓄積した豊富な知見とノウハウをもとに、求められる電気特性・光学特性・信頼性をクリアするとともに、ガラス板やプラスチックの棒など、基材の素材や形状は問わないセンサーを提案している。

センサー部の抵抗や面積、計測用電源のパワーなどを調整し、用途に応じて検知する距離を自在に設定する。さらにはITO膜の屈折率や色味の調整、光学層の挿入などによって、見栄えのカスタマイズにも応じるのだ。こうしたセンサーの作り込みはセンサーメーカーと共同で進め、最終製品は検知用の電子回路と共にユニット化して提供している。

近接センサーの効果を気軽に試せるキットを用意

BLE静電容量式センサIoT開発キット

ジオマテックでは、静電容量型 近接センサーに秘められた可能性をより広く知ってもらうため、株式会社ビット・トレード・ワンと協力し、「IoT実験ボード BLE静電容量式IoTキット with アプリ(デバイス)」という開発用近接センサーキットを販売いただいている。

このキットは、秋葉原などの電気店でも入手可能で、最大4個のセンサーを検知用電子回路に接続し、Bluetooth Low Energyを介して「iPhone」用のアプリから検知する静電容量のしきい値の設定やセンサーの検知状況を知ることができる。

薄膜の特性を生かした部材を付加しセンサーの機能と性能を向上
センサー用薄膜応用部材

高度な薄膜技術で既存センサーの価値を高める

IoT時代、データを収集するセンサーには、場所を問わずに設置できる耐環境性や現場の情報をありのまま把握できる透明性が求められている。ジオマテックは、金属や金属酸化膜・窒化膜など、多種多様な物質の薄膜を形成する技術を保有している。その高度な技術を応用すれば、既存のセンサーに新たな機能を付加することや、センサーの部材性能を向上することが可能であるのだ。

ジオマテックでは、こうしたセンサーの機能や性能を底上げする部材の開発・生産を受託しており、IoT時代の要請を応える価値あるセンサーを作り上げるための強力な武器になることだろう。その一部を紹介する。

着雪・結露に強い屋外カメラを作る透明ヒーター

ジオマテックは、ガラス基板やプラスチック基板上に透明ヒーターを作る技術を保有している。ITO薄膜で透明電極を形成し、通電させることによって発熱させれば透明ヒーターとすることができる。イメージセンサーの前に透明ヒーターを組み込んだ窓を使うことで、屋外でも着雪や結露による曇りがない明瞭な映像を撮ることができるようになるため、監視カメラなどのアプリケーションにも最適だ。

ジオマテックは、ディスプレイ上に積層するタッチセンサー用のITOの開発や生産の実績を活かし、透過率が高く、安定した発熱が得られる透明ヒーターを作り上げており、加えて、お客様のニーズに合わせた基板の形状や発熱量をカスタマイズすることも可能にしている。

IRセンサーの性能を向上するコーティング

IRセンサー用薄膜を施したSiWafer
IRセンサー用薄膜を施したSiWafer。いろいろな基材に薄膜を形成し機能性を付与させるのがジオマテックの薄膜形成だ

防犯用の人感センサーなどに使われているIR(赤外線)センサーの性能を向上させる薄膜応用部材も提供。IRセンサーは、センサー自体がむき出しの状態ではなく、パッケージ内に封止して使用されているが、中遠赤外線の透過率があまり高くはない。

そこでジオマテックは、光学薄膜や赤外線を通しながら保護機能を強化できるDLC(Diamond-Like Carbon)などを反射防止膜として窓材にコーティングし、透過率を向上させている。赤外線を通す窓のコーティングには、可視光用の薄膜とは異なる薄膜材料を扱う高度な技術が要求されるのだが、ジオマテックならば、IRや紫外線(UV)に対応する高品質の薄膜を安定量産できるのだ。

位置や回転角の検出精度を向上する光学式エンコーダー向け部材

工作機などでは加工対象や工具を正確に動かしたり、位置や回転角を正確に検出したりするための光学式エンコーダーと呼ばれる検出器が使われている。これらの検出器の精度を決める心臓部と呼べる部材が、検出用の光を透過または反射させるパターンを刻んだリニアスケールやロータリースケールだ。ジオマテックでは、ガラスやプラスチックなどの上に、任意の材料で安定した光学的特性の薄膜を形成し、指定した通りの高精度パターンを刻む受託加工サービスを提供している。

薄膜形成した光学式エンコーダーの拡大写真
光学式エンコーダーの写真。精密な目盛を刻むことで正確な動作ができるように作り込まれている。検知する際の光の波長もお客様のニーズに合わせ対応できる

高度な薄膜技術で既存センサーの価値を高める

ガスセンサーやバイオセンサーなど、電気化学の原理を応用したセンサーの活用が広がっている。ジオマテックは、電気化学反応によって得られる電気信号を忠実に取り出す高精度の電極形成などで、薄膜形成技術とパターニング技術を駆使して貢献。既に、電気化学分野の実験に向けて、電気化学チップの販売を開始しており、今後も世の中のニーズに応えた製品を提供し続けるだろう。

気になる技術があれば、是非、問い合わせいただきたい。http://www.geomatec.co.jp/

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