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日経テクノロジーONLINE SPECIAL
IoE導入事例:阪部工業/「とにかく機械を止めたくない」

機械部品の鋳造と加工を手掛ける阪部工業は、「突発停止」の撲滅とさらなる品質の向上を期待してIoEを導入。現場の加工装置をつなげたうえで、稼働状況の「見える化」をはじめ、装置の異常検出など新しい仕組みの実装を進めている。

渡邊氏/押海氏

阪部工業株式会社

  • 本社・工場:愛知県西尾市中畑町水荒井8
  • 資本金:1,000万円
  • 設立:1935年3月
  • 従業員数:約230名
  • 業務内容:各種鋳鉄鋳物の素材から最終製品の機械加工仕上げ
渡邊 学
阪部工業
本社工場
第二鋳造部 加工部 部長
押海 龍生
ジェイテクト
工作機械・メカトロ事業本部
IoE推進室 第1グループ

 阪部工業は、機械部品の鋳造および、その加工を主に手掛けている。量産品から一品ものまで様々な製品を自動車メーカーや建機メーカーなどに納めている。IoEソリューションを導入したのは本社工場にある鋳造部品に面取りや穴あけなどの加工作業を施す現場だ。11台の汎用横形マシニングセンタが設置されており、4人の作業者が加工に従事している。小ロット〜中ロットの製品を加工する典型的な多品種少量生産の現場である。

 IoEソリューション導入の動機は、大きく二つ。一つは装置の予期せぬ停止、いわゆる「突発停止」を防止し、生産性を高めること。「当社の規模では保全専門のスタッフがなかなか確保できず、故障前に装置をメンテナンスする予防保全が実施できません。このため故障してから対処せざるを得ない状況でした」(阪部工業 本社工場 第二鋳造部 加工部部長 渡邊学氏)。

 もう一つの動機は、品質の向上。「ロボット向けなどの新市場を開拓するには品質をさらに高める必要があります。そのためにIoEが役立つと考えました」(渡邊氏)。

 まず同社が着手したのが11台の装置をネットワークでつないで、稼働状況や生産性を「見える化」すること。具体的には、10台のジェイテクト製汎用横形マシニングセンタと1台の他社製横形マシニングセンタのNC装置に「JTEKT-LINK」でコントローラ「TOYOPUC-Plus」をアドオンし、そこから抽出した生産データに加えて、同じく「JTEKT-LINK」で各装置にアドオンしたジェイテクトの解析モジュール「TOYOPUC-AAA」の出力データを生産マネジメントシステム「TOYOPUC-Hawkeye」で統合管理する仕組みを構築。現場に設置したサーバーのディスプレイに各装置の稼働状況や作業者一人ひとりの生産性に関する情報をグラフィカルに表示すると同時に、現場に設置された大画面ディスプレイを使った2台の「アンドン」にも各装置の稼働状況や加工作業の残り時間などの情報をグラフィカルに表示するようにした。

 サーバーは、4G回線を介してジェイテクトの情報システムに接続されており、ジェイテクトの担当者が遠隔でIoEシステムのモニタリングやメンテナンスができるようになっている。「ソフトウエアのアップデートなどの作業は、ジェイテクトの担当者にお任せしています」(渡邊氏)。

 TOYOPUC-AAAを使って油圧駆動システムの油温、主軸の振動、モーターの電流やトルク、扉の開閉時間、工場建屋内の室温、エアコンプレッサの状態など、約70項目のデータを収集し、解析する仕組みもすでに実装されている。これらのデータを基に「TOYOPUC-AAA」で異常の兆候を判断するアルゴリズムを、「突発停止」の撲滅の実現に向けて開発中だ。