世界で働くクボタのエンジニアに直撃!

自動運転 センシング AI
え、人工知能や自動運転まで!
最先端の技術がテンコ盛り!!
オランダで活躍するクボタのリケジョ 冨田さくらさん
クボタが推進するスマート農業の“要” 石川新之助さん
アメリカでヒット連発のゲン担ぎ役 山本万平さん
集え! 若きエンジニアたち 飯田聡専務
SCROLL

みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。この1年、私はクボタの農業機械や水道管、そしてエンジン事業について国内取材を行いこちらのウェブでご紹介してまいりました。

今やクボタは利益の半分を海外で稼ぐ正真正銘のグローバル企業。海外でどう事業展開し、どんな人材が活躍しているのか。「クボタの今」を正しくお伝えするためには、海外をキッチリ取材しなければなりますまい。折よくドイツはハノーファーで開催される世界最大規模の農業フェアにクボタが大きなブースを出展すると聞きつけ、これ幸いとグルッと欧州を回り、現地で活躍するクボタのみなさまにお会いしてきました。

この取材を通して見えてきたのが、クボタが「最先端のテクノロジーを持つ人材」を求めていることです。

現在の農業は最先端のテクノロジーを駆使する「未来ビジネス」です。トラクタをはじめ農業機械には、人工知能=AIを駆使した自動運転機能が搭載されつつあります。農業自体が最先端の生命工学を駆使したバイオ分野の主戦場。世界の農業分野で勝ち抜くためには、「様々なテクノロジーを持つ人材」が不可欠です。

クボタの技術を率いてきた、前研究開発本部長の飯田聡取締役は、「当社では、様々なエンジニア、研究者が、各分野の最先端で学んできたことを最大限に活かすことができます」と力強く語っておられます。 

今のクボタでは、どんなテクノロジーを持つ人材が活躍しているのか。今後どのような人材が求められるのか。不肖フェルが詳しく聞いてまいりました。

また、ハノーファーではクボタの木股昌俊社長に直接お話を伺いました。こちらは『日経ビジネスオンライン』の記事に詳しく書きましたので、ぜひご覧ください。

Profile

飯田 聡

クボタ取締役。1980年久保田鉄工(現クボタ)に入社。2004年クボタヨーロッパS.A.S.社長(フランス)、09年クボタトラクターCorp.社長(アメリカ)、14年研究開発本部長、15年専務執行役員、16年取締役専務執行役員。18年1月より現職

Profile

フェルディナント・ヤマグチ

自動車評論家、コラムニスト。一般企業に勤める傍ら、自動車に関するコラムなどを執筆し人気を博している。講演やテレビ・ラジオなどさまざまなメディアで活躍中。著書に『仕事がうまくいく7つの鉄則 マツダのクルマはなぜ売れる?』(日経BP社)など

冨田さん、石川さん、山本さん

ドイツ・ハノーファー、オランダ・アムステルダム、フランス・ダンケルクと慌ただしく巡りながら、それぞれ若手女性研究者、中堅男性社員、そして現地社長という3人の働くエンジニアに突撃して、じっくり話を聞いてまいりました。

みなさまともかく顔が輝いている。やはり人間、活躍すると顔に出るものです。

ココがおもしろい!クボタのエンジニア オランダで活躍するリケジョ

フェル氏と冨田さくらさん

フェル「このトラクタはドライブデートにも使えそうですねー♡」
冨田 「……(苦笑)」

ボトムアップで常に“変わろう”としている企業風土がある。
チャレンジしたいエンジニアにはチャンス大

冨田さくらさん

冨田さくらさん
(2018年4月で入社6年目。トレーニー制度によりオランダの大学に留学中。精密農業関連の研究に従事)

トップバッターは、クボタに務めながらオランダ・アムステルダムの大学で研究活動を行う、冨田さくらさん。

いきなり、リケジョ=理系女子の登場です。同期にはほかに4人が海外に派遣され、その土地の言語・文化に触れながら実際のビジネスを学んでいるそうです。それではさっそく、話を伺いましょう。

フェル: 留学のきっかけは何だったのでしょうか? 

冨田: 日本でも精密農業、欧州の畑作農業に関わるセンシングのプロジェクトに携わっていたんですが、欧州の農業大学で最新の精密農業を学べるトレーニー派遣の話が出まして。上司から「行くか?」と声をかけられました。まさか20代のうちに農業先進国のオランダに行けるとは思っていなかったので、うれしくて。一も二もなく、「はい、行きます!」と即決でした。

フェル: 農学部の機械科のご出身と伺いました。さぞかし難しい研究をされてきたことでしょう。当然就職先の選択肢も数多くあったのではと思いますが、その中から、なぜクボタを選ばれたのでしょう?

冨田: 一言でいえば“現場の役に立つ仕事”がしたかったからです。両親が医療関係の仕事に従事し、休みなく重労働に追われている様子を目にしていたのが強く影響しています。クボタは現場主義を大切にしていると聞き、こちらも迷うことなく即決でした。

フェル: 実際に“現場主義”で仕事をされてきて、「現場の役に立った!」と実感された経験があればお聞かせください。

冨田: 日本でコンバインのソフトウェア開発をやっていた時は、各地の農家さんを回らせていただきました。大事に育てている作物を実際に刈り取らせていただきながら、システムの微調整をし、「こんなことができるんだね」とお褒めの言葉をいただいた時は、内心ドキドキだったので、「やった、ちゃんと動いた!」と(笑)。本当にうれしかったです。欧州でもいろんな国の農家さんにヒアリングさせてもらっていますが、トラクタを数十台持っているような大規模農場だけでなく、オーガニック(有機)の基準の厳格化を受け、収穫量より質を重視するような小規模な農家さんもいらっしゃる。これも現場だからこそ、得られる視点ですよね。

フェル: なるほど、いいお話です。ところでこちらではどのような研究をされているのでしょう? 詳しく教えてください。

冨田: 精密農業関連のデータ解析や研究です。農業現場の業務の自動化や効率化、そして計画的な収穫に欠かせないモデルを構築し、プログラムを構築する仕事です。

フェル: 精密農業関連! なるほど。具体的にはどのような?

冨田: それ以上となると、ちょっと……(笑)。

フェル: 詳しく知りたければ、クボタに入社しなさい、と(笑)。

冨田: はい(笑)。ただ、大きな話をすると、精密農業に関して、20代から重要なプロジェクトの仕様検討から実装・動作確認などをまとめてドンと任されてもらえるのは、とてもやりがいがありますね。

フェル: それ、ホントにすごいことですよ。自動車業界などでは仕事が思い切り分業化されていて、例えばデザイナーとして入社しても、ドアノブだけを延々デザインするだけ、なんてことが当たり前にありますから。そこで何年もじっと我慢した人が、ようやくドア全体を見られるようになったりして。

冨田: クボタでは、私のような若手の社員の意見も、たとえ間違っていても「おもしろいな」と聞いてくれる風土があります。組織がいい意味でボトムアップで、常に“変わろう”としているベンチャー精神がある。新たなチャレンジをしたいエンジニアにとって働きやすい環境だと思います。

フェル: 留学期間もあと1年ですね。残りの期間をどのようにして過ごすのか。今後の目標をお聞かせください。

冨田: ヨーロッパでしかできないことは全部やりたいです。農家の方へのヒアリングもそうですが、展示会や社外のカンファレンスにも手を挙げれば行かせてもらえて、なんでもチャレンジさせてもらっています(笑)。あと1年間、研究室だけに閉じこもることなく、積極的に外に出て、人脈も広くつくっていきたい。そして、真に役立つ研究の成果を上げ、現場に貢献していくことが目標です。

ハノーファー国際見本市会場開催
「アグリテクニカ」とは

■世界の大手農機関連企業が集結する!

会場内のフェル氏

「アグリテクニカ」は、ドイツ農業協会(DLG)がドイツ・ハノーファーにおいて2年に1度開催している世界最大の農業機械見本市。2017年は11月14~18日に開かれ、日本からもクボタをはじめとする大手有力メーカーが参加し、新製品や新技術を披露した。なんとその広さは39ヘクタールと東京ドーム約8個分!

ココがおもしろい!クボタのエンジニア スマート農業の“要”として奮闘

石川さんとフェルさん

まるで事前に打ち合わせしていたかのように、ポージングを取る石川さんとフェルさん

手を挙げれば、やりたいことを任せてもらえる
お客様と最後まで関われるのが魅力

石川新之助さん

石川新之助さん

(入社12年目。クボタが買収したインプルメントメーカー、「クバンランド社」に駐在して4年目)

次にお会いしたのは、オランダ・アムステルダムにある、クボタ傘下のインプルメントメーカー、「クバンランド社」で働くリケメン=(まあ普通に理系の男性社員です)の石川新之助さん。インテリメガネがキラリと光り、マスク姿の私と並ぶと、その違和感に畑のカラスもカーと鳴いて逃げ出すわけですが、現地生産の巨大なトラクタを自由自在に扱うガテン系の一面もお持ちでおられます。石川さんにはクボタが推進するスマート農業について伺います。

フェル: 現在はどんなお仕事を?

石川: 「M7」トラクタの開発、トラクタとインプルメントの統合制御、TIMの開発をしています。お客様のご要望を日々伺いながら、ベストマッチングな制御を実現するために、現地の社員やクボタの社員とも議論を交わしつつ、仕事に取り組んでいます。

フェル: 学生時代のご専攻は何ですか? 他のメーカーに行こうとは思いませんでしたか?

石川: 大学では電子工学の専攻だったので自動車や電機メーカーも視野に入れ、実際、某大手メーカーからも内定をいただいたんですが(笑)、クボタは他社とちょっと違っていた。インターンを通じて、「手を挙げれば、好きなことを任せてもらえるような社風がある」と思えたのが決め手です。実際、「新しいビジネスを考える」というインターンの課題に取り組むなか、「高齢化が進む農業の分野で、作業負担を軽減できるようなトラクタを開発したい」と思うようになり、気付いたら、希望通りのポジションに配属となりました(笑)。

フェル: 某大手メーカーに行かなくてよかった、と(笑)。実際に働いてみていかがですか?

石川: 企画から製品開発さらにユーザー訪問まで関わらせてもらえるのは大きいです。特に「クバンランド社」に駐在して、実際のインプルメントを目の前に、統合制御システムの企画からソフト開発、最後の実作業試験と、お客様が現場でご使用になるところまでトータルで手掛け、結果を見届けられる。これはやりがいがあります。年数回、欧州各地のフィールド調査にも回りますし、トラクタの製造拠点である、クボタファームマシナリーヨーロッパS.A.S.(KFM)とも連携しながら、開発が進められるのも大きいですね。お褒めの言葉も、さらなるご要望も含めて、フィードバックをダイレクトにいただき、開発に活かせるのはエンジニアとして大きな励みになります。

フェル: そうはいっても、慣れない海外でのお仕事です。何かとご苦労も多いのでは?

石川: 業務分担が契約に基づく文化なので、契約書にない課題が発生した時でしょうか。残業でカバーするという日本の常識がなかなか通用しないので、遅れを挽回する際には苦労します(笑)。そうならないよう、開発着手時点で、先々の課題を想定し、計画・管理能力を磨くとともに、現地のメンバーには「お互いに思いやりの気持ちを持って、ソフト開発をしていこう!」と伝えています。

フェル: お互いに歩み寄る姿勢が大事、ということですね。勉強になります。最後に、今後の目標をお聞かせください。

石川: 欧州でも日本同様に農業従事者の減少は深刻な問題です。それには技術の伝承が難しいことも影響しています。だからこそ、私たちの出番がある。目指すは、ICTを活用した単なる農作業の自動化ではなく、熟練者の操作と同じレベルの完全自動化です。こうして国内外の総力を結集させ、農業の重労働というイメージを払拭し、若い人にとっても魅力的な農業を実現してきたい。ぜひ同じ思いを持つ、若きエンジニアに仲間に加わっていただきたいです。

フェル: 私のように若くなくても、理系じゃなくても採用してもらえますかねー……え?ダメ?(笑)

フェルディナント・ヤマグチのヨーロッパ道中記
~クバンランド社・KFM編~

■クバンランド社

クバンランド社建物前のフェル氏と石川さん

インプルメントメーカー「クバンランド」(本社・オランダ)に駐在中の石川新之助さんを訪問

ターミナルとフェル氏

デモプラグを使って、ターミナルのシミュレーションを体験するフェルさん

エンジニアに話を聞くフェルさん

ターミナル開発に携わるエンジニアに話を聞くフェルさん

リンゴを食べるエンジニアと石川氏、フェル氏

社内は和やかモード。「リンゴが似合うエンジニア。さすが農業大国オランダ」

ベテラン開発者TONさんとフェル氏

ISOBUS開発者のTONさんと。「これがあの畑作用大型トラクタ『M7』のメインボードですか」

一緒にトラクタに乗る石川さんとgフェル氏
それぞれトラクタに乗る石川さんとgフェル氏

社内敷地で大型トラクタをスイスイ乗り回す石川さん。「私も早くM7様を試乗したいなあ」

丸く巻かれた牧草と石川氏とフェル氏

インプルメントで、きれいに丸~く巻かれた牧草。「はい、合格。花マル!」

スプレイヤーの前に立つ石川氏とフェル氏
アームを広げたスプレイヤー

液状の肥料や水をまくためのインプルメント「スプレイヤー」。「サイズ感がハンパない……全長50m!」

スプレイヤーとの撮影中、
									フォークリフトがカメラの前を通る
スプレイヤーとの撮影中、
									フォークリフトがカメラの前を通り過ぎる

撮影中に前をおっちゃんが通り過ぎるという思わぬハプニングも(笑)

アームを折りたたんだスプレイヤーの背後に虹がかかる

「クバンランド社」を出る際、まるでフェルさんをお見送りするように、空には虹がかかっていた

ココがおもしろい!クボタのエンジニア アメリカでヒット連発のゲン担ぎ役

アメリカの現地社員と記念撮影

「これから、さらにいいものを作っていくぞ!」と意気込む山本さん

海外に行くと、仕事の“視座”が確実に上がる。
若いうちから積極的に異国に飛び込むべし

山本万平さん

クボタファーム
マシナリーヨーロッパ
S.A.S.社長(2017年11月取材時)
山本万平さん

最後は、最近映画『ダンケルク』でもおなじみとなった、フランス・ダンケルクの「クボタファームマシナリーヨーロッパS.A.S. (KFM)」で社長を務める山本万平さん。海外でクボタのヒット商品を支えてきたお方なのだとか。グローバル企業のエンジニアここにあり! 今は欧州市場の拠点となるフランス・ダンケルクで「M7」シリーズ製造を担うキーパーソンである。

フェル: こちらフランス・ダンケルクの工場は、欧州市場の中心に位置し、世界における畑作市場進出の要となる生産拠点と伺っております。

山本: 2013年に会社を設立し、170馬力帯の畑作用大型トラクタ「M07」シリーズを当社で唯一製造する拠点として2015年から本格稼働しています。工場立ち上げも製品開発もゼロからのスタートで、国によって異なる法規制などのハードルもありました。ただ、農家の方々のご要望をお聞きしながらフィードバックできる強みを活かし、おかげさまで操作性や居住性の良さが欧州の農家の方々にもご好評いただいています。

フェル: 山本さんは海外での仕事のご経験が豊富だとお聞きしました。もともと海外志向でいらしたのですか?

山本: いえいえ。大学では機械工学を専攻し、日本で地道にモノづくりに携わるものと思っていたんです。それでクボタに入社したのですが、1994年、32歳の時にアメリカ駐在を言い渡されました。やっと帰国したと思ったら、中型トラクタ生産工場「クボタインダストリアルイクイップメント(以下 KIE)」の立ち上げに際し、出張ベースで3か月ごとのアメリカ滞在を2年間ほど継続することとなりまして。結局、2005年まで駐在および出張のトータルでアメリカに8年半関わりました。2014年からはこちらフランス・ダンケルクの工場の社長を務めています。

フェル: グローバルに活躍するクボタエンジニアの、まさにロールモデルのようなお仕事ぶりですね。海外で働くご苦労、また醍醐味は何ですか。フランス人は、金曜の昼ぐらいから、時計を見ながらソワソワするんじゃないか、なんて勝手なイメージがありますが。

山本: と思うでしょう? ちょっと違うんです。まず、今の工場の現地スタッフは優秀な人材も多く真面目です。ただ、完璧主義というのか、試行錯誤しながらモノづくりを進める日本流のやり方に抵抗を覚える傾向があります。途中で設計変更などが生じた場合など密なコミュニケーションが肝要ですね。

フェル: や、これは失礼、私の勝手なイメージが完全に覆されました。こうした視点も、現地だからこそ得られるものですね。

山本: 32歳から海外に駐在し思うのは、仕事に取り組む上での“視座”が確実に上がります。日本人スタッフの人数も限られるなか、さまざまな仕事を任され、マネジメントを担う一員としての役割も担うことになる。日本とは全く異なるニーズに応えるべく、現地サプライヤーとも協業しながら、仕事を進めていくのは、苦労もありますが、非常に勉強になります。ぜひ、エンジニアには経験値を上げるためにも、若いうちから自ら手を挙げて、積極的に異国の地に飛び込んでほしいですね。

フェル: 実際に、海外で経験を積まれ、現地法人社長になったお方がおっしゃるのですから、間違いないですね。海外における農機事業は、紆余曲折の時期もあったと聞いていますが、今後の見通しや目標はいかがですか。

山本: ここ数年は北米エリアの景気後退の影響もありましたが、回復基調にあるなか、新シリーズ「M7002」含め期待以上の成果を上げられると考えています。

個人的な話で恐縮ですが、実は私がこれまで海外で携わった事業は、米国市場でヒットしたUV(ユーティリティビークル)など、ほぼ百発百中で当たっているんです(笑)。UVの時も“いい予感”が当たったんですが、「M7」シリーズも必ずや売れてくれると信じています。

フェル: あのUVは山本さんでしたか。マジでカッコイイですよね。今私が欲しいクルマの筆頭候補です。

「アグリテクニカ」で展示されるUV(ユーティリティビークル)

「アグリテクニカ」で展示されるUV(ユーティリティビークル)。園芸や農作業など多目的に活躍。他にも公園やモールの清掃、空港や工事現場など業務用でも活用されている。

山本: 今回の役職も、ゲン担ぎで選ばれたのかもしれません(笑)。というのは冗談ですが、これからもどんどんいい製品、サービスを展開していく上で、ぜひ若いエンジニアにも積極的に来てほしいですね。前向き志向で一緒にがんばりたいと思っています。

■KFM

フランスのクボタ前に立つフェル氏

フランス・ダンケルクの「クボタファームマシナリーヨーロッパS.A.S. (KFM)」に参上

現地社員とファイティングポーズ
現地社員のパンチがフェル氏にヒット!?

現地社員と日仏対決!「来たな!トラクターマン!」「と、トラクターマン!? やられたっ。ダンケルクのエンジニア、いいパンチしてるぜ」

試乗の安全講習を受けるフェル氏

「M7」試乗に際し、制限スピードなどの安全講習を受けるフェルさん

「M7」に乗るフェル氏

いよいよ、今回の取材の目玉、「M7」に乗っていざ出陣!

「M7」運転席のフェル氏

さすがは自動車評論家。難なく乗りこなし、「サスペンションがよく、非常に乗りやすいです」

「M7」と記念撮影するフェル氏

何回もテスト走行路を往復し、上機嫌。「久しぶりに油圧パワステを堪能しました」

世界最大の農業機械見本市で見た! クボタの「エンジニア」が総力を結集した最新農業機械

フェル氏と飯田 聡氏

「種まき機」とトラクタを統合制御! 自動運転で、種まきもトウモロコシ育成もこんなにきれいにできます!

―目を輝かせて働くエンジニアのお話を伺い大満足の弾丸取材も無事終了。「アグリテクニカ」の現場に戻り、飯田取締役から、改めてクボタが欲する「人材像」について伺おう。

飯田: フェルさん、いかがでしたか?

フェル: 農業機械を開発するエンジニアということで、もっとゴリゴリの機械屋さんたちを思い描いていたのですが、いい意味で裏切られました。実に多様な「テクノロジーを持つ人材」が世界で活躍されているのですね。そして、農業分野には、自動車産業同等の先端技術が投入されている、という点が目からウロコでした。実際、もっと泥臭くローテクなものだと思っていました。

飯田: その通りです。だからこそ、私たちはさらに多様な人材を迎えたい、と思っているわけです。今回、クボタが実践する現在の最新技術を、この「アグリテクニカ」で展示しています。その内容を解説しながら、我々が求める「人材像」の中身についても触れていくことにいたしましょう。

フェル: ぜひ、お願いします!

飯田: 現在クボタが世界市場で狙っているのは、耕地面積で水田の4倍の規模を持つ畑作分野です。農業市場の中でもまさにライバルがひしめくホットな“主戦場”です。ただし、その裏には日本同様、高齢化などによる農業従事者の減少、さらに異常気象や人口増加などによる食糧不足への懸念といった、世界共通の課題があります。

だからこそ、自動運転などを通じた省力化技術の開発は、とても大きな意義を持っています。当社の今回の展示でも、農機の販売だけでなく具体的にお客様が抱えていらっしゃるお困りごとや課題に合わせた当社ならではの技術力を活かしたトータルソリューションの提供にフォーカスしています。

まず、こちらのトラクタをご覧ください。

もう運転手は必要ナシ!?
自動運転可能な畑作用大型トラクタ

フェル: おお、これは山本さんが製造のキーパーソンを担っているという、畑作用大型トラクタ「M7」シリーズですね!

飯田: 国内に先駆けて、2015年、欧米で先行販売した170馬力帯の大型トラクタ「M7001」をバージョンアップした「M7002」シリーズです。2015年から本格始動した、「KFM」で生産しています。

前シリーズと比較し、操作性のさらなる向上、サスペンションの強化により振動を抑えた乗り心地、けん引力アップなど、細かな改良を加えました。

フェル: こうした細かな改良も、現地生産にこだわり、ユーザーの声をフィードバックしているからこそですね。

飯田: さらに注目いただきたいのが、実際の農作業をする作業機械であるインプルメントとけん引車となるトラクタとの統合制御です。

この「M7」の後ろに装着されているのが、「ベイラー(Baler)」というインプルメントです。牛のエサや、肥料に使ったりする牧草に関する一連の作業の中の「巻く→ラッピング→排出」までを、トラクタとインプルメントをまとめて自動制御することで、自動運転で行ってしまいます。

フェル: えっ、つまり人間が運転しなくても、そんなに複雑な農作業が全部こなせちゃう?

飯田: こちらのシミュレーション画面を見てください。トラクタが走行し、後ろのインプルメントが牧草を刈っていきます。

フェル氏と飯田 聡氏

「専務、もう運転手は必要ないんじゃないですか!」

フェル: オートステアで、運転手はハンドリングしていませんね。まるで上野動物園のお猿の電車状態だ(笑)。

飯田: はい、自動運転ですね。今度は刈り取った牧草を、均一の幅に揃えていきます。

フェル: 散らばった牧草を均一に並べるために、トラクタが絶妙に蛇行運転していますね。これも自動とは! 

飯田: 次に揃えられた牧草を巻いていきます。そして、牧草のロールでタンクがいっぱいになりました。すると、自動制御でトラクタのエンジン回転を下げていきます。はい、停車しました。

フェル: おっ、本当にタンクカバーが自動で開いて、牧草ロールがコロンと排出されました。そして、カバーが自動で閉まる。いやー、お見事。けん引するトラクタではなく、インプルメントが“頭脳”となって双方向で作業を自動制御できるのが興味深いですね。

この間、運転手は牧草の状態やタンクをチェックする手間いらず。専務、これはもう「運転手は必要ナシ!」と宣言していいのでは?

飯田: (笑)。さすがにそこまではまだムリですが、フェルさんに以前、ほ場で見学いただいた自動運転農機「アグリロボトラクタ」は、日本で既にモニター販売をスタートしています。いずれはこちらもアグリロボ同様に、有人監視下での無人による自動運転作業の実現を目指しています。

フェル: これならトラクタの運転に慣れていない方でもラクラク、作業ができますね。私の同級生で脱サラして北海道で農業をしているヤツがいるんですが、後継者問題に悩む酪農仲間がいれば情報提供するべし、と言っておきます。

飯田: 欧米の大型農場では、人手不足をまかなうためにコントラクターと呼ばれる請負業者に農作業を依頼するケースも多いですね。

フェル: そこで機械化・自動化が進めば、アウトソーシングにつきまとう作業熟練度のバラツキのカバーも可能というわけですね。

飯田: こちらのインプルメントは、「スプレッダー(Spreader)」と呼ばれるものです。スプレッドとは英語で“まく”という意味で、粒剤の肥料をまくのに使われます。

フェル氏と飯田 聡氏

「GPSで、農薬をまく場所まで正確に判断できます」「自動車のGPSより芸が細かいですね」

フェル: この下のモーターが回転して、肥料をまくわけですか?

飯田: 特徴は、回転の速度で飛ばす距離、まく量、密度を変えられること。さらに、マンパワーではなく、GPSで肥料を多くまく必要がある場所、減らすべき場所を判断しながら最適化が実現できます。

こちらで言うところのプレシジョンファーミング(Precision Farming)、つまり精密農業のコンセプトで、農地・農作物の状態に従って、肥料の量などをきめ細かく制御し、農作物の収量および品質の向上をはかることができます。

フェル: 経験とカンに頼っていた農業が、定量的かつ機械で自動制御できるとは! 

飯田: 他にも、多岐にわたるニーズに応えるべく、すべてのソリューションを2012年当社が子会社化したノルウェー創業の「クバンランド社」との協働で提供しています。

フェル: 「クバンランド社」にスマート農業の“要”という石川さんが駐在していたのもそういうワケですか。それぞれのインプルメントが独特の形状をしていますが、それも役割ごとの意味があるわけですね。なんだか現代美術のようでもあり、見ているだけで飽きないです。

農業機械を一括制御!
「クバンランド社」買収が市場躍進に貢献

飯田: ラインナップに加え、重要なポイントがトラクタとインプルメントのマッチングです。

フェル: たしかに2つの機械は連携して一体となって初めて機能するわけですから、人間と同じく“相性”や“チームワーク”が機械同士で悪いと悲惨ですね。

飯田: その通りです。私たちは、トラクタとインプルメントの統合制御をトラクターインプルメントマネジメント(TIM)と呼んでいますが、このTIMがどれだけ精緻にできるかどうかで農業の自動化の成否は決まります。

先ほどから、さまざまな用途のインプルメントを紹介しましたが、かつては、それぞれのインプルメントに対して個別のコントローラを開発し、操作も個々の専用ターミナルを使って行う必要がありました。トラクタの制御とも連動していなかった。

ところが、今は違います。クボタが世界有数のインプルメントメーカー、「クバンランド社」を買収し、共同で研究開発をするようになって、農業機械を一括して制御できるようになりました。

その「クバンランド社」が開発した技術が通称「イソバス(ISOBUS)」です。これによって、ディスプレイの兼用設計が可能になり開発効率が大幅に向上しました。運転者も1つのターミナルで複数のインプルメントの情報確認、調整、そしてトラクタの操作が可能となっています。ちなみにこの「イソバス」は、現在、農業機械に関する電子制御の国際標準規格となっています。

フェル: なんだか「スマホ」にさまざまなアプリがダウンロードされて、いろいろな用途に使われる、というのとちょっと似ていますね。「イソバス」によって、トラクターインプルメントマネジメントを低コストでかつ使いやすく適切に実現できるのも、強みというわけですね。

飯田: 今後、畑作市場でプレゼンスを高めていく上でM&Aによるシナジー効果もさらに上がってくるものと期待しています。

スマート農業をサポートする
トータルソリューションを展開

フェル: 前回、お会いした際に、すでに日本でサービス提供をしているICTにより農業経営をデータで見える化するシステム「KSAS(Kubota Smart Agri System)」について伺いましたが、強豪ひしめく欧米の畑作市場において、クボタとしてどのような戦略でスマート農業を実践されていくのでしょうか。テクノロジーの視点からお聞かせください。

飯田: 改めて「KSAS」の概要を解説しますと、センシングによって収穫から栽培プロセスの計測、数値化し、地理情報、気象などの外部情報と連携しながら、作付け計画や作業計画、実際の実行プランを立て、さらにオートステアなどのロボット化を推進していくことで農業のスマート化をはかるというものです。

今後、稲作文化のアジア各国に向けてはこの「KSAS」をさらに進化させ、スマート農業のサポートを展開していく戦略です。

畑作市場において欧米では、すでに各国の標準的なFMIS(Farm Management Information System。営農支援システム)を導入されていますので、その現有システムにクボタの大型トラクタと「クバンランド社」のインプルメントのトラクターインプルメントマネジメントを最適化したソリューションを適合させる取り組みを推進していきます。

欧米スマート農業市場におけるクボタの取り組み 集める、つながる、計画する
スマート農業でできること 超省力・大規模生産を実現。作物の能力を最大限に発揮。きつい作業、危険な作業から解放。誰もが取り組みやすい農業を実現。消費者・実需者に安心と信頼を提供

気象、土壌などの各種農業データを他社や外部情報とも連携しつつセンシング。各国のFMIS(営農支援システム)において解析・処理を実践し、営農計画を策定。そこにクボタのロボット化技術、さらに会計システムや販売・流通システムなどのマネジメントに関わる外部情報システムを組み合わせたスマート農業のトータルソリューションを提供していく

フェル: すべてを自社で手掛けるのではなく、ここでもパートナーシップが要となるわけですね。

飯田: 畑作先進国である欧米では、独立系のFMISが数多く存在しており、その担い手として農業経営に関するコンサルティングを手掛けるアグロノミストと呼ばれる専門家も多数活躍しています。

今後は企業だけでなく営農に精通したプロフェッショナルとの連係や、会計システムや販売・流通システムなどのマネジメントに関わる外部情報システムとも連携しつつ、当社の目指すスマート農業に組み入れていくかが重要なポイントになると考えています。

フェル: アグロノミストという職業が成り立つとは、さすが!

飯田: ただし、インプルメントとの統合制御、トラクターインプルメントマネジメントの適正化や適切な連携をはかる上では、トラクタの基本性能、いわゆる乗り心地や安定性、耐久性なども含めトータルで性能を上げていくことが求められます。

フェル: 自動車メーカーでも自動運転などの次世代技術の話ばかりクローズアップされていますが、大前提としてこうした土台となる“モノづくり”が基本であるというわけですね。

飯田: 最新テクノロジーを追いかけるだけでなく、当社のエンジニアに対しても「基本をおろそかにするな」と常々口を酸っぱくして言っています。

手を挙げればチャンスあり!
海外で働く若きエンジニアたち

フェル: いやー、未来の農業の姿、楽しみになってきました。さて、ここからが、本題です。クボタの将来を占う次世代の人材として御社では具体的に、どのようなエンジニアに入ってきてほしいとお考えでしょうか。

飯田: すでに工学部、機械関連だけでなく、電子、化学など幅広い専門知識を持つ人材の採用が増えていますが、今後はさらに幅広いバックグラウンドを持つ人材にぜひ当社の門を叩いていただきたいですね。

近年では、作物の栽培技術に精通している農学部の学生からの志望や農業試験場でキャリアを積まれたような専門家の方々が転職されてくるケースも増えています。

フェル: センシングを実践するにしても、調査対象を知らなければ適切な判断はできない。仕事の範囲、活躍する人材のフィールドもグングン広がっていきそうですね。エンジニアの基本となる資質については、どうお考えですか?

飯田: 大前提として、技術者に重要なのは専門技術を持っているだけでなく、あくまでも“現場”に入ること。現場に入って、リアルな声を元にニーズ、ウォンツをつかまえそれを価値コンセプトとしてまとめていく力が必要です。

フェル: ただニーズをヒアリングするだけでは、単なる御用聞きになってしまう、と。

飯田: そうですね。農業経営の現状、その課題を踏まえ、お困りごとを解決できるウォンツを発見し、それを製品のプランニング~企画にまで落とし込めるか。とにかくエンジニアは技術一筋にもなりがちですが、そうではなく、市場動向を見て、新たな価値を生み出すための考え方を身に付けなければならない。そのトレーニングの場として、さまざまな部署の人間で集まって未来視点で議論をしあう“ワイガヤ研修”も行っています。

フェル: これからのエンジニアは、いわゆる“マーケティング”のセンスも必要であるということですね。

飯田: はい、そのためには、エンジニアにとって現場を“体感”するというのがポイントです。私も、若いころは、自分が開発した農業機械のソフトウェアの制御を確認するため、実際に農作業をするトラクタの後ろを、ずっとついて歩いたものですが(笑)、テクノロジーが進んだ今も、バーチャルと現場でやることは区別しないといけない。

フェル: 時代が変わっても、やっぱり現場に行くことが大事なんですね。

飯田: エンジニアにとって、現場を切り離して考えることができません。特に、言葉から思考、議論の仕方まで何から何まで異なるグローバル市場に出ていくためには、まずは現地の文化を理解するという作業も必要となります。

フェル: 時にはお酒を飲み交わしながらの“飲みニケーション”もやる、と(笑)。

飯田: (笑)。そして、“鉄は熱いうちに打て”。現場で感性を磨くには、考え方が柔軟な若いうちが肝心です。当社では、「トレーニー制度」といって、入社間もない20~30代から、中国、欧州、アメリカなど、世界各国の技術部門にエンジニアを送り込んでいます。さらに16年からは、新たに欧州の農業大学で最新の精密農業を学ぶトレーニー派遣もスタートしています。

フェル: リケジョの冨田さくらさんもそのうちのひとり、ですね。なるほど、木股社長にも伺いましたが、これも御社が大切にしている「5ゲン主義」、つまり5つのゲン「現場へ行き、現物を通じて、現実の姿(現在の実力)を把握し、原理・原則(あるべき姿)という“モノサシ”と比較して、改善していく」の体現化というわけですね。

エンジニアとして挑戦し続けるために
“好きこそものの上手なれ”

フェル: 今回の話をまとめると、農業は次の時代を背負う先進産業となりつつあり、自動運転、人工知能、ロボット化、センシング、そしてバイオといった、あらゆる最先端の科学技術がつぎ込まれている。そんな市場を、若い人材たちと一緒になって、クボタがけん引していきたいということですね。次世代型エンジニアを目指したいと考えた若者に、一言メッセージをお願いします。

飯田: 自分自身が38年間エンジニア人生を続けてきて、一時は海外向け農業機械事業が厳しく、事業そのものをストップするという瀬戸際に立たされたこともあります。

そこで、常に自分に、そしてメンバーにも言い聞かせてきたのが、「世界No.1の技術開発をして、クボタだからこその価値創造に共に挑戦しよう」ということ。その思いが、欧米向けの草刈機やユーティリティトラクタ、サブコンパクトトラクタといった新たなコンセプトの製品開発につながりました。

これからのエンジニア志望者に伝えたいのが“好きこそものの上手なれ”。お客様に対してはもちろんですが、農業でも機械でも、あるいは一緒に働く仲間、入り口はなんでも構わないので、愛を持って仕事に臨んでほしい。そうすれば、ここぞというピンチも乗り切ることができるはずです。

クボタだから、できることはまだまだあります。世界の人々に豊かな食を届ける仕事をしたいという気概を持った若者、もちろん元若者にもぜひ挑戦していただきたいですね。

フェル: 仕事に“愛”を持つ、ですか。経験に裏打ちされた飯田取締役ならではの重みのある言葉です。俗世間にドップリ浸かった私も初心に帰り、自動車業界を盛り上げるとともに、クボタウォッチャーの一人として、人類にとって欠かせない農業の未来をもささやかながら支えていければと思います。

フェル氏と飯田 聡氏

38年間、エンジニア一筋の飯田取締役。「自分が作ったソフトの具合を確認するため、トラクタの後ろをずっとついて歩いたもんです」

クボタ インプルメントクイズ! フェルさん出題 画像のインプルメントが何をするための機械かクイズ! みなさんはいくつ正解できるでしょう?

Q1
  • 土を耕す
  • 穴を掘る
  • 石を砕く
正解は……

土を耕す「プラウ」

土を耕す「プラウ」
Q2
  • 農地の表面をならす
  • 肥料をまく
  • 種をまく
正解は……

種をまく「シードドリル」

種をまく「シードドリル」
Q3
  • 土の破砕+ならす
  • 牧草や飼料作物の集草
  • 農薬や除草剤を散布
正解は……

牧草や飼料作物の集草「レーキ」

牧草や飼料作物の集草「レーキ」
Q4
  • 牧草の反転と草集め
  • 堆肥を散布する
  • 牧草を刈り取る
正解は……

牧草を刈り取る「モーア」

土を耕す「プラウ」
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フェルディナント・ヤマグチ氏、世界最大の農業機械見本市でクボタ社長に直撃!世界の農業に挑む、クボタの戦略とは‼
お問い合わせ先株式会社クボタ