自動車で鍛えた技術でLED事業を強化

社会貢献を意識しながら新市場を開拓

光の技術をリードするスタンレー電気が、新たなLED市場の開拓に乗り出した。
自動車向けで多くの実績を誇る可視光領域のLEDに加えて、様々な機能を発揮する紫外LEDおよび赤外LEDを市場に投入。社会の発展に貢献するアプリケーションに向けて積極的に製品を展開することで市場シェアを拡大する考えだ。このための同社の取り組みや、原動力となるLEDの開発動向などについて同社執行役員営業担当の榎本浩幸氏に聞いた。

榎本浩幸

スタンレー電気
執行役員 営業担当

LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)は、半導体の原理を利用した発光デバイスです。2000年ごろから白色LEDが市場に登場するようになると、家庭用照明器具、自動車のヘッドライト、携帯電話や液晶テレビなどの多様な機器の光源として徐々に使われるようになり、これらの分野に革新的な進化をもたらしました。こうしたLEDは、当社にとって重要なデバイスの1つです。

当社は、1920年の創業後間もなく着手した自動車電球や特殊電球の製造販売を足掛かりに発展した企業です。当初から一貫して光の技術を手掛けてきました。こうした私たちが企業の基本理念として掲げている「スタンレーグループビジョン」の中で、光による5つの価値の探求によって社会的価値を創造しますとうたっています(図1)。つまり、「CREATING(光を創る)」「RECOGNIZING(光で感知・認識する)「INFORMING(光で情報を自在に操る)」「ENERGIZING(光のエネルギーを活かす)」「EXPRESSING(光で場を演出する)」の5つの価値に基づいて事業を展開しています。事業の大きな柱は3つあります。1つは、ヘッドライトを中心とした「自動車機器事業」。もう1つは、各種電子デバイスを展開する「コンポーネンツ事業」。最後が電子コンポーネンツを利用した機器やモジュールを提供する「電子応用製品事業」です。

これらの事業展開の軸となるキーテクノロジーがLEDです。当社は、1960年代からLEDの開発を手掛けており、すでに豊富な技術やノウハウを蓄積しています。近年、LEDの用途が急速に拡がったことで追い風となり、一段と事業を発展させることができました。その原動力となったのが可視光LEDでしたが、さらに紫外LEDや赤外LEDの製品ポートフォリオを拡充し、様々な分野に革新をもたらすことで新しい市場を開拓する考えです。

図1 スタンレー電気が掲げる「光の5つの価値」

光の特性を究める
						光で感知・認識する、光のエネルギーを活かす、光を創る、光で情報を自在に操る、光で場を演出する

光の機能を活用
新たな用途を開拓

可視光領域のLEDは、自動車のヘッドランプや照明器具、インジケータ、交通信号灯などの光源として、すでに広く普しています。波長が400nm以下の紫外光や780nm以上の赤外光を発するLEDは、こうした従来の照明以外へ応用展開ができます(図2)。これらの波長領域の光は様々な機能を提供するからです。例えば、紫外光で殺菌、消臭が可能です。紫外光に反応して硬化する材料と組み合わせて部品の接着や封止などの用途にも展開できます。一方、赤外光は、センシングや暗視撮影などに利用できます。

紫外光や赤外光を発するランプ類は、すでにいくつか市場に出ていますが、それらに対しLEDは小型、低消費電力など機器開発に大きな影響を与える優れた特長を備えており期待されています。照明機器の光源として使われてきた電球や蛍光灯がLEDに置き換わったときと同じように、実装する多くの機器に革新的な進化をもたらすはずです。

図2 網羅する波長領域を広げて新たな用途を開拓

見えない光領域のアプリケーションへ機能追及
					紫外光領域 殺菌、消臭、樹脂硬化
					可視光領域 照明、信号、ディスプレイ、インジケータ、ヘッドランプ
					赤外光領域 各種センサー、セキュリティ、車両カメラ

水殺菌システムに注目
課題解決による社会貢献

可視光領域以外のLEDが展開できる用途は数多くありますが、いま特に注目している用途が水殺菌への利用です。深紫外と呼ばれる波長100nm 〜280nmの光は殺菌機能を発揮します。この機能を水の浄化に利用するわけです。

水の浄化システムの需要は、これから世界全体で高まるでしょう。この背景には、人口の増加や新興国の経済発展とともに水不足や水質汚染の問題が世界全体で深刻化していることがあります。現在、深紫外の光源として使われているデバイスの主流は冷陰極・熱陰極などの紫外ランプです。これらの殺菌用紫外ランプの市場は2020年までに1600億円の規模になると言われています。

実は、この市場でLEDが有利な状況になりつつあります。深紫外の光源として広く普及している紫外ランプは材料に水銀が使われていることから、今後使用しづらくなるためです。人の健康や環境を水銀から保護することを目的にした『水俣条約』が発効され、いまは自由に利用できる殺菌用紫外ランプも、今後規制対象になる可能性があります。そうなると、代替となる光源として深紫外LEDの需要が伸びると考えております。

当社は、競合他社に先駆けて優れた機能や性能を備えたLEDを開発することで、この市場をいち早く開拓していきます。ここでは数多くの実績を誇る自動車用LEDの開発で培ったパッケージングなどの技術が威力を発揮します。

すでに殺菌効果が高い発光波長265nm50mWで、業界随一の高出力を誇る深紫外LEDの量産技術を業界に先駆けて確立したことを2017年5月に発表しました(図3)。この深紫外LEDの量産を、2017年12月から開始する予定です。デバイスを提供するだけでなく、優れた性能を備えた深紫外LEDを実装した水殺菌モジュールの製品化も予定しています。これらを積極的に展開して環境への負荷を最小限に抑えた水殺菌システムの普及を後押しすることで、社会の発展に貢献できると思っています。今後の展開にぜひ注目してください。

図3 殺菌効果が高い発光波長
265nmの高出力深紫外LED

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