第3期募集 理科大ビジネススクール 「MOT」募集人数 : 20人 出願締切 : 2018年2月19日(月)当日消印有効面接日 : 2018年3月4日(日) 合格発表 : 2018年3月8日(木)詳しくはhttp://bit.ly/2no7b6L
緊急開催!! 新MOT科目を体感できる「プレ講義」の開催決定 2月9日(金)、13日(火)、14日(水)

明日のビジネスを創る君に

第6回|取材レポート|東京理科大学 新MOTオープンハウス2nd

神楽坂で浴びる知的刺激のシャワー 仲間と師の多芸多才が新たな力を君に与える

(写真左から)平川 保博 副学長 マイケル・A・クスマノ 教授 関 孝則 教授 若林 秀樹 教授 ロバート・アラン・フェルドマン 教授 田中 芳夫 教授

2018年1月21日、「東京理科大学 新MOTオープンハウス 2nd」が、PORTA神楽坂校舎で、4月からの入学を検討する満員の聴講者を迎えて開催された。「進化したMOT-ハイテクMBA 技術と経営の二刀流、神楽坂で新結合」と題し、グローバル基準のビジネススクールとして生まれ変わる経営学研究科 技術経営専攻(MOT)の真価を、一足先に体験できる機会となった。社会やビジネスに新たなインパクトをもたらす価値あるイノベーションは、多様な価値観や知見がぶつかり合い、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する場でしか生まれない。学生も講師陣も多様な理科大MOTは、まさに知的創造の素地を理想的な形で体現した場である。新たなMOTからは、困難なビジネス課題、社会問題に対する解を複眼的に探り出すことができる人材が多数輩出することだろう。

 ビジネススクールは、社会人として様々な業界の中で活躍する人材が、新たな気付きと知見、そしてスキルの習得を目指す場だ。貴重な休日である日曜日に、自分を磨く場を求めて集まっているだけで、オープンハウスに参加した聴講者の意識は十分すぎるほど高い。それぞれが、今の仕事や事業環境の中で、何らかの課題を抱え、それを解決する新たな力の必要性を感じて集まっている。

東京理科大学 副学長(担当理事) 平川 保博 氏

 こうした聴講者を前にして、東京理科大学の平川保博副学長は、「4月から、技術と経営の二刀流を操る人材を育てる新MOTが始まります。日本は、科学の研究や技術開発では、世界をリードする強みを持っています。しかし、自らが生み出した科学的知見や技術を活用し、強いビジネスを生み出す力が足りません。新MOTでは、技術の真価を理解し、それを経営に的確に生かせる人材を育成することで、日本の発展につなげていきたいと考えています」と、新MOT設立にかける思いを語った。

マサチューセッツ工科大学 スローンスクール 教授 (東京理科大学 前特任副学長) マイケル・A・クスマノ 氏

 また、2016年4月から理科大の特任副学長として、新MOTのコンセプトとカリキュラムの策定に携わったマサチューセッツ工科大学 スローンスクールのマイケル・A・クスマノ教授は、「理科大の新MOTで育った起業家が、日本が誇る技術を生かし、世界に大きなインパクトを与えるビジネスを生み出していくことを大いに期待しています」と激励した。

新事業パネル|新時代を開く鍵は忘れかけた創業精神の中に

 新MOTでの授業を体験するため、ビジネスの最前線で新規事業創出に取り組む外部講師を招き、討論する新事業パネルが開催された。今回は、シャープで「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」と「人工知能(AI)」を活用した新規事業創出を担う2人のキーマンを招き、「シャープの復活と新規事業」と題したテーマで議論した。モデレーターとして若林秀樹教授(新MOTと新年をかけて和服で登場)が、パネラーとしてロバート・アラン・フェルドマン教授(テレビ東京のWBSでおなじみの)が参加し、メディアの報道や座学では得られない新規事業創出の生々しい知見を鋭くえぐり出していった。

 1980年代に世界の中で米国も脅かすほどの経済競争力を誇っていた日本は、その後のバブル崩壊による凋落(ちょうらく)と台頭する新興国との競争から、かつての輝きが戻らない状況が続いている。シャープは、まさにこうした日本の相似形だといえる。「液晶のシャープ」「亀山ブランド」などと喧伝(けんでん)され、液晶テレビで飛ぶ鳥を落とす勢いだった状況もつかの間、巨額投資が裏目に出て一転して経営危機に陥り、先の見えない状況となった。

 しかし、その後のシャープは、日本経済全体とは別の軌跡をたどることになる。シャープは、東証2部に転落してから、わずか1年4カ月でスピード復帰。いまや1000億円の営業利益が見えるまでに復活している。危機の中にいたときには消沈していた従業員の士気も、見違えるほど高まっている。その姿から学ぶべきことは多い。

価値ある知見を得るには技が必要だ

 新生シャープでは、「人に寄り添うIoT」を目指し、モノの人工知能化「AI×IoT=AIoT」というビジョンを掲げて、新規事業創出に取り組んでいる。今回パネラーとして参加したシャープ IoTクラウド事業部長 白石奈緒樹氏と同事業部 第一サービス開発部長 上田 徹氏は、その核心にいるキーマンである。

 こうした現場のキーマンに的確な質問を投げ掛けて、価値ある知見を聞き出し、自分の知恵となるように消化することは意外と難しい。モデレーターとパネラーの両教授は、価値ある知見をあぶり出す模範を見せ、聴講者を誘導していった。さながら「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という、かつての連合艦隊司令長官 山本五十六の言葉の実践を見ているようだった。そのプロセスをレポートしたい。

挑戦の過程は、気付きと可能性に満ちている

 シャープの創業者である早川徳次は、「徳尾錠」と呼ぶ使いやすいベルトのバックルやシャープペンシルを開発し、また、国産初の鉱石ラジオを発売するなど、新しいことに次々と挑戦する人物だった。液晶のイメージが強い現在の消費者にはピンとこないかもしれないが、シャープにはバリバリのベンチャー気質がDNAに刻み込まれ、今も従業員に受け継がれているのだ。そして、新しい技術を投入した新商品をいち早く具体化し、市場投入する体制と文化が根付いている。

シャープ株式会社 IoTクラウド事業部長 白石 奈緒樹 氏

白石氏 シャープは、小さな電卓を作るため、電子回路の集積回路化にこだわり、1969年に世界初のLSI電卓を開発しました。こうした電卓用LSIの開発が、Intel社の世界初のマイクロプロセッサー「4004」の開発を誘発したのです。そして、電子デバイスが電子機器の価値を大きく高める役割を担うことを体感したことから、液晶や太陽電池、CPUなど電子デバイスを内製するようになりました。

——そこで、すかさず若林教授が突っ込む。

若林教授 液晶や太陽電池は、その後内製して事業化したのに、なぜCPUは事業化しなかったのですか。

——そう、シャープは今のIntel社のポジションに就くチャンスがあったのだ。

白石氏 CPUも開発していました。しかし、OSが乗る今のマイクロプロセッサーのような仕組みにはなっていませんでした。

上田氏 日本企業全体にいえることかもしれませんが、その当時の経営者の中に実体のない商品であるソフトの重要性を理解する人が少なかったのだと思います。この結果、よりモノづくりに近い太陽電池や液晶に次第に重点化していったのだと思います。

——経営者の感性と意思決定は、かくのごとく大きな未来の違いをもたらす。

技術者が商品販売の前線に立って顧客を知る

東京理科大学大学院 経営学研究科技術経営専攻 教授 ロバート・アラン・フェルドマン 氏

フェルドマン教授 新規事業を創出する上で、顧客のニーズを知る営業部門と商品を開発する開発部門の連携は欠かせないと思います。シャープではどのように連携しているのですか。

白石氏 シャープは基本的にプロダクトアウトの会社です。開発者が良い物を作れば売れると考えてきました。ただし、開発者自身が顧客のニーズをくみ取る行動をしています。商品の開発者が販売で小売店の店頭に立つこともありますし、クレームの矢面に立つこともあります。

上田氏 顧客を大切にするという意識は、社長から各部門の社員まで徹底しています。どうしたら商品が売れるのか、社員がみんな考えています。

——つまり、ニーズを技術者が肌で感じることを重視する文化を持っているのだ。ただのプロダクトアウトの会社ではない。ここで若林教授が補足する。

若林教授 東芝などでは、原子力部門とパソコン部門の人が会話することは一生ないかもしれません。ところがシャープは、組織間の壁がびっくりするほどないのです。シャープには、新しい取り組みをするとき、組織を超えて各分野のキーマンを集める「緊急プロジェクト(通称、緊プロ)」と呼ばれる集まりが招集されます。特定分野の知見やスキルでは、社内の誰がキーマンであるのか、社長から社員に至るまで知っているのです。そして、緊プロのメンバーは金のバッジを付けて、会社の中では一目置かれる存在になっています。

話に割り込む若手社員の意見を聴く役員

フェルドマン教授 世代や役職が違う人同士のコミュニケーションはどうですか。

白石氏 若い時から役員が参加する会議などに出席する機会があります。例えば商品の議論の中で、副社長の意見に対しても、若い社員が「意見があります」と言えば、最後まで黙って耳を傾けます。経営層がこうした振る舞いをしているため、下の者も自然と倣うようになっています。

聴講者 私の会社では、組織の壁を打ち破るために、とにかくコミュニケーションを活発にしようということで、「沈黙は罪」という文化を醸成しようとしています。こうした取り組みは正しいと思いますか。

白石氏 はい。そう思います。シャープは関西系の会社のためか、会議ではみんなが話すのでうるさいくらいです。また、組織を超えたつながりを大切にしているので、他部署の見知らぬ人から電話で相談が入ったときにも、みんなフレンドリーに対応する文化があるように思います。

お客様がお金を払ってくれるIoTの価値とは

若林教授 シャープは現在、AIoTに沿った人に寄り添うIoTを熟慮し、価値ある製品づくりに取り組んでいます。

白石氏 シャープはもっとユーザーのことを知りたい、そして、製品企画や営業活動の確度を高めるため、消費者が家電製品をどのように使っているのかIoTを使って情報収集してより良い製品作りに生かしたいと考え、4、5年前からIoT技術を用いた家電の開発に取り組んでいます。しかし、シャープに利する機能を盛り込むために、消費者にその分のお金を払ってもらったり、ネットにつなぐ手間を取ってもらったりはできないことが悩みの種でした。

 そこで、IoTの仕組みを使って消費者にメリットを提供するために活用しようとしているのがAIです。家電製品の利用状況をAIが学習し、電子レンジならば単に食品を温めるだけではなく、おいしいものを提供するための提案を、洗濯機ならば単に洗うだけではなく、気持ちの良い洗濯ができるための提案をしていけばお金を出して使ってもらえるのではと考えています。

フェルドマン教授 コマツは建機の分野で、利用者にとってメリットがある提案をするためにIoTを活用しています。シャープは一般消費者という利益や合理性だけではなびかない対象で同じことを実践しようとしているのはすごいと思います。

人に寄り添い忖度(そんたく)するAI

若林教授 GoogleやAmazonがスマートスピーカーを普及させて、家庭をIoT化しようとしています。シャープは、こうした中で勝てるのでしょうか。

——これは、かなり聞きにくい質問だといえる。

白石氏 今のスマートスピーカーのようなユーザーから話し掛けて命令を出すという利用法は、日本市場では難しいのではと考えています。シャープの対話できる家電は、まず家電側から話し掛けます。人と機械が相談して、行うことを決めるような利用法を探ることが重要だと思います。

——人の意思決定の過程に、いかに寄り添っていくのかが、AI活用で重視していることだという。

聴講者 世の中には様々なAIの音声認識技術が出てきているが、シャープはどのような技術を開発し、生かそうと考えているのでしょうか。

上田氏 もはや音声の認識率や合成の流暢(りゅうちょう)さは、問題ではないと考えています。標準的なソフトを使えばよいのです。むしろ、人と機械が、いかに円滑に対話できるかが問われていると考えています。機械が話し掛けるタイミングや言葉の選択、双方のやり取りの整合性にAIを使います。人の心を忖度する「忖度エンジン」を目指しています。

特定の個人を思い浮かべ、そこに必ず売れる商品を作る

若林教授 新しい商品を作り出す上で、気を付けていることは何ですか。

シャープ株式会社 IoTクラウド事業部 第一サービス開発部長 上田 徹 氏

上田氏 今はどのような時代なのかを強く意識すること。また特定の個人の顔を思い浮かべて、その人ならば必ず買うものを作るように心掛けています。そうすれば、その商品が響く消費者は一定数以上いることは分かっているのです。誰もが欲しがるような商品を目指したら、必ず失敗します。思い描いた人に徹底的に寄り添うことが重要です。

——商品を開発する際の心掛けでも、また開発する商品に組み込む機能としても、いかに人に寄り添うかが重要な時代になった。

聴講者 革新的な機器を次々と生み出したシャープから、なぜ「iPhone」のような商品が生まれなかったのでしょうか。

白石氏 最初のiPhoneが発表されたとき、そのハードはシャープで作ることができたと感じました。しかし、サービス事業を一体化したビジネス開発はできませんでした。ザウルスを開発したとき、サービス事業の創出を目指したこともありましたが、社内のリソースだけでは無理で、他社とのコラボレーションもうまくできませんでした。

——シャープが今後さらに飛躍するためのポイントになりそうな部分が引き出されたといえるのではないか。

そもそも企業の強みの源泉はどこにあるのか

——若林教授は、今のシャープに必ず聞かなければならないこととして、次の質問をした。

東京理科大学大学院 イノベーション研究科  教授 若林 秀樹 氏

若林教授 鴻海精密工業の出資を受けて、シャープは良くなったのでしょうか。

白石氏 確かに、出資前は出資の経過に関する情報が入ってこなかったため、不安でいっぱいでした。しかし出資後は、資金面はもちろんのことですが、会社の雰囲気がとても良くなりました。以前から、シャープの社内には社員がおかしいと感じていた習慣や仕組みがありました。こうしたことを、新しく就任した戴正呉社長は、ことごとく指摘して必ず直すように言ってくれました。また、鴻海の社員が、経営学や技術について、かなり勉強していることに触発されました。社員にとって納得のいく施策だったのです。

若林教授 下馬評とは異なり、リストラも工場や事業の切り売りも一切していませんしね。

白石氏 戴社長は、社員みんなが「One SHARP」であることを強調しています。例えば、全社でテレビ会議をするときに、歩いて10分掛かるところにある部署と別の部署との2カ所からテレビ会議システムにつないだら、とても怒られました。なるべく顔を合わせて話し合うことが重要だというのです。顔を合わせれば、会議が終わった後、帰り際に感想や相談を共有する時間もあります。そうした積み重ねこそが力になるというのです。

若林教授 シャープへの出資元が話題になっていたとき、事業の解体によって整理を目指す産業革新機構よりも、液晶と他事業の両方を維持する鴻海の方がよいと考えていました。組織の壁がないことが強さの源泉になっていると考えていたからです。

——企業の強みの源泉は何なのかという点は、M&Aを考える際の重要な視点となることだろう。

第3期募集 理科大ビジネススクール 「MOT」募集人数 : 20人 出願締切 : 2018年2月19日(月)当日消印有効面接日 : 2018年3月4日(日) 合格発表 : 2018年3月8日(木)詳しくはhttp://bit.ly/2no7b6L
緊急開催!! 新MOT科目を体感できる「プレ講義」の開催決定 2月9日(金)、13日(火)、14日(水)

学びのパネル|イノベーションの創出に女性の参加は必要不可欠だ

 イノベーションを生み出す上で、多様な価値観や知見をぶつけ合い、切磋琢磨していくことの重要性は明らかだ。自然界を見ても、多くの種がそれぞれの役割を果たしながら生態系が機能し、異なる種の間での競い合いと相互刺激が進化を促している。しかし、残念ながら現状の日本は、企業や社会の多様性が乏しい。もともと、単民族国家の島国であり、しかも女性がリーダーとして活躍することはまだまだまれだ。同じ価値観を持つ者同士が集まることの居心地の良さが、イノベーションの創出を阻んでいる側面があるのではないか。

 イノベーションを創出できる人材の育成を目指す理科大 新MOTでは、多様性(ダイバージェンス)を生かした価値創出、組織運営を特に重視している。多くのビジネススクールは金融系やシンクタンク系の学生が多いが、理科大は製造業、ITサービス、マーケティング、金融、食品、不動産など多種多様な業界に属する社会人が学生として集まっている。講師陣も、専門分野は経営・金融・法務・ITなど、そのアプローチもアカデミック系、実務系、コンサルティング系と多様だ。イノベーションとはどのような場で生まれるのか、実体験するには理想に近い環境がそろっている。

 ただし、社会やビジネス対象となる消費者の半分を占める女性の学生はまだ少ない。田中芳夫教授は、「ダイバージェンスの観点から、学生に女性が少ないことを問題視しています」と言う。新MOTオープンハウス2ndでは「ダイバーシティーで神楽坂の学び」と題して、数少ない女性修了生、在学生、入学予定者を招き、女性が理科大MOTで学ぶことの意義、仕事や生活との折り合いなどについて議論した。

 パネラーは2011年修了のMOT修了生であるマベニア・システムズ・ジャパン カントリーマネージャーの三好さち氏、在学生であるキリン R&D本部基盤技術研究所 兼 ワイン技術研究所の佐々木佳菜子氏、2018年4月入学予定である東北パートナーズの河田江未氏である。モデレーターは田中教授、さらにパネリストの1人としてフェルドマン教授も参加した。

力を付けてビジネスの最前線で活躍したい女性たち

 3人のパネラーが理科大MOTに入学した狙いは、女性だからといって特別なことがあるわけではない。仕事をしていく中で、自らが成長する必要に駆られて入学を志願した。志願動機と、入学後の成長の実感について、それぞれ以下のように語っている。

MOT修了生 マベニア・システムズ・ジャパン カントリーマネージャー 三好 さち 氏

三好氏 私は、日本の移動体通信事業者にインフラ用ソフトウエアを販売する外資系企業の管理職として勤務しています。仕事で抱えた課題の解決策を求めて、理科大MOTへの入学を考えました。カリキュラムの内容が技術指向であり、実務経験が豊富な講師が多く、仕事に直結するヒントが得られると期待したからです。実際に入学し、様々な背景を持つ同輩と同じ課題に取り組む中で、強い刺激を受けました。それまでは、リアクティブな仕事の進め方しかできませんでしたが、直面する課題だけに目を奪われず、鳥の目で状況を俯瞰(ふかん)して考えることができるようになりました。

佐々木氏 私は、入社以来、ずっと研究畑を歩んできました。既存事業の枠を超えた新規事業開発に携わることになったのを契機に、会社派遣で理科大MOTに入学しました。現在、会社では植物細胞から有用物質を作り出す研究に携わっています。単に技術を生み出すだけではなく、これをビジネスにすることも期待されているのです。研究所にいると、研究テーマに対する気持ちが先行し、顧客の立場で物事を考える習慣が薄れていきます。しかし、ビジネスにするためには、それでは足りないことは分かっています。その足りない部分を学び取りたいと思っています。

河田氏 私は、東日本大震災によって家を失った人たちに向けた分譲住宅を供給するベンチャー企業に勤めています。現在、傘下のグループ会社3社の総務・経理などバックオフィス業務全般を任されています。これから会社の規模を大きくしていく中、組織を円滑に運営していくための下地が十分固まっていないと感じています。ただ、正解は誰も教えてくれないと思うので、私がこれから担う仕事に必要な知識を体系的に学んでいきたいと思います。

修了後も率直に相談できる仲間たち

田中教授 理科大MOTで学んだことで、三好さんの仕事はどのように変わりましたか。

三好氏 修了してからもう7年近くたちますが、理科大MOTで共に学んだ仲間とは今でもつながりがあります。自らが広い視野から考えることができるようになったのも成果ですが、仕事の中で課題を抱えたとき、率直に相談できる相手ができました。常に刺激を受け、新しいものの見方に気付かせてくれる良い仲間です。

田中教授 佐々木さんと河田さんは、理科大MOTで学ぶことに、会社からどんな期待を持たれていますか。

MOT在校生 キリン R&D本部基盤技術研究所 兼 ワイン技術研究所 佐々木 佳菜子 氏

佐々木氏 上司の期待は、開発した技術をお客様に届けるための手立てを考える力を養うことです。開発している技術には競合もいるでしょう。その中で勝ち抜き、飲料業界の国内市場が収縮していっても会社が存続できるビジネスを、管理職だけではなく、現場の研究者も共に考えるようになってほしいということだと思います。

河田氏 社長の期待は株主資本の最大化ですね。社長はそのために、意思決定や戦略立案にエネルギーを使っています。すると、会社の運営に向けることができる力は限られてしまい、従業員に寄り添うことができなくなってしまいます。理科大MOTで学ぶことを生かして、私がそこを埋めることが求められていると考えています。

新規事業創出では女性でなければできない役割がある

田中教授 女性であることを鑑みて、どのようなリーダーを目指したいと考えていますか。

MOT 2018年4月入学予定 東北パートナーズ 河田 江未 氏

河田氏 当たりはソフトだが、不要な忖度はしない芯が強いリーダーでありたいと思います。事業は、周りにいる人の支援なくして進めることはできないと感じています。成功は人次第だと思うのです。人を大事にするリーダー、最後まで責任を持つリーダーになりたいと考えています。

佐々木氏 同じプロジェクトに参加するメンバーは、それぞれに強みを持っていると思います。個性を生かしながら、1つの方向に向けていくにはどうしたらよいのか、理科大MOTで考えています。1人のリーダーが全員を強く引っ張っていくばかりが組織の在り方ではないと思うのです。自分の弱いところも自覚し、場面ごとに最適な個性を持ったリーダーが臨機応変に替わっていってもよいのではと考えています。

三好氏 私も必ずしも、強いリーダーになろうとは考えていません。女性は、他人からどう見られているのか鋭敏に感じ取る感性に勝っていると考えています。こうした自分の特性を生かし、全従業員の心を1つにして誘導していくような、新しいリーダーの形を目指したいと思っています。

フェルドマン教授 新しい事業を起こし育てる際、これからの時代、チームワークがますます大事になることでしょう。円滑に動き成果を上げるチームには、社長型、橋渡し役、調査部長、経理部長といった役割を担う人材が必要です。特に橋渡し役はますます重要性を増し、ここは女性に適性があるのかもしれません。リーダーシップとは、権限ではなく、人を誘導することです。偉くなるのを待つことなく、組織の中で、自信を持ってリーダーシップを発揮してほしいと思います。

ダイバージェンスを重視する理科大は女性の修学を徹底支援

モデレーター MOT 教授 田中 芳夫 氏

田中教授 理科大MOTの学生はみな、社会人として仕事と学校を両立しています。加えて、結婚されている方、特に女性は生活との折り合いも心配になると思います。みなさんは、どのように調整しているのでしょうか。

三好氏 私は、在学中には子供はまだいませんでしたが、既に結婚していました。しかし、やはり土日は学校に時間を割き、平日の仕事もおろそかにしたくないので、2年間は我慢してほしいと夫に言って、理解を得ていました。

佐々木氏 やはり、家庭の理解は欠かせませんね。入学時点で、結婚はしていませんでしたが、一緒に生活するパートナーがいました。彼の両親も孫の顔が見たいと思っているのですが、今は理解してもらっています。

河田氏 私は独り身ですから、今は仕事と学校に打ち込みたいと考えています。ただ、欲張りですから、結婚も育児もして、女性としての人生も楽しみたいと思っています。このあたりをどのように折り合わせていったらよいのかは、頭が痛いところですね。

田中教授 過去には、在学中に出産した学生もいました。そんなときには、学校側もしっかりとサポートしていきます。何も気兼ねすることなく、学生生活を送ってもらえればと考えています。また、目や耳が不自由な方の受け入れも問題ありません。理科大MOTは、多様性を生かしたイノベーションの場ですから、一人ひとりの事情にはきっちりと寄り添っていきます。

パネリストの1人としてフェルドマン教授も参加した。

フェルドマン教授 日本の社会は様々な課題を抱えており、少子高齢化が進むことを考えれば、このままでは共倒れになります。明るい未来を迎えるには、生産性を高める必要があります。特に日本は、大学を出ていても仕事をしていない女性が多く、とてももったいないと感じています。合理的に考えれば、多様性は必然だと思います。

他のビジネススクールにはない多くの利点

 理科大の新MOTは、海外のビジネススクールと比べても、数々のメリットがある。まず、職場でのキャリアに空白期間が生まれない。さらに、他のビジネススクールに比べて、学生と講師陣の多様性が際立っている。これは、仕事に取り組む力をレベルアップする上で、最適な環境だといえる。

 パネル討論の後には、入学相談会と学内見学会が行われた。今の仕事の方向性に疑問を感じ、何かを変えたいと思っている人、部署を異動して、新たな事業創出に取り組む必要性に迫られている人、定年を目前にしてもう一度勉強し直して新しいことに挑戦したいと考えている人、今回のオープンハウスに参加した方々は、参加した目的も業界も年齢も極めて多様だった。しかし、社会人として仕事をしている中で、新たな力を得たいと望むことではみな同じ。相談会での講師陣への質問は、真剣そのものだった。

入学相談会/学内見学会
ページのトップへ
新MOTのコンセプト
第3期募集 理科大ビジネススクール 「MOT」募集人数 : 20人 出願締切 : 2018年2月19日(月)当日消印有効面接日 : 2018年3月4日(日) 合格発表 : 2018年3月8日(木)詳しくはhttp://bit.ly/2no7b6L
緊急開催!! 新MOT科目を体感できる「プレ講義」の開催決定 2月9日(金)、13日(火)、14日(水)
東京理科大学ビジネススクール(社会人向け大学院)
経営学研究科 技術経営専攻(MOT)
「社会人の他流試合の場“東京理科大ビジネススクール”」(H30.4開設)
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-6 PORTA神楽坂
http://most.tus.ac.jp/newmot/