検査工程は「光」の技術で効率化を可能にする
一般消費者にはカメラレンズの老舗ブランドとして知られる「カールツァイス」。その高い光学技術をもとに、医療用の顕微鏡や眼鏡レンズなどを生み出しているが、特に工業用の測定機は、製造業の検査工程を大きく変える可能性を秘めている。

自社製品の精度を測定するために生まれた工業用測定機部門

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 カメラレンズなどで知られるカールツァイスの成り立ちは、創立者であるカール・フリードリヒ・ツァイスが、医療用の顕微鏡開発に取り組んでいたことから始まる。

 その後、現業部門の技術者となった光学研究者のエルンスト・アッベ、光学ガラスの開発者らと協力し、顕微鏡のさらなる高精度化の要求に応えるために、光学の技術を社内で高め、顕微鏡など精密機器に応用していったことが、光学技術で名高い現在のカールツァイスの基礎となった。

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 一方で、光学技術がどれほどの高精度を達成したか検査するためには、同時に検査機器そのものにも高精度な計測技術が求められる。

 しかし、当時は同社が求める精度に対応できる検査機器は少なかったため、光学技術を活用することで自社でも検査機器を作ることにしたのだという。それが、現在のカールツァイスの工業用測定機部門であるIMTディビジョンの源流だ。光学を含め、自社でイチから積み重ねてきた技術を製品に昇華させてきたことが、同社の測定機が業界で高く評価されている背景にある。

ワークを非接触で測り測定時間を約8割短縮

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 カールツァイス日本法人のIMTディビジョンが手がける工業用測定機は大きく分けて、自動車用の車体計測、X線CTによる内部計測、光学計測の3種類から成る。

 自動車用の車体計測は、生産中の車体に光を照射して車体表面までの距離を正確に測定し、表面に異常がないか、設計どおりの生産が行われているかなどを検査するもの。表面の凹凸を高精度に測定できるため、穴の大きさや位置だけでなくボルトの高さなども、デジタル情報として取得し、その数値から検査の合否判定を行うことが可能になるのだ。

 カールツァイスの車体計測ソリューション(ZEISS Car Body Solutions)の大きな特徴の1つは、光によって計測するため非接触で高速に行える点だ。こうしたワーク表面の形状の測定では、プローブを使うことが多い。プローブをワークの表面に接触させ、その時の位置情報を取得して積み重ねることで、ワークの形状をデジタルで再現する方式だ。だが、プローブが触れた点での測定となるため、小型のワークならともかく、自動車の車体のような大型のワークでは計測にかなりの時間を要してしまう。

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 しかし、光学技術を応用し光で計測することで、一度に多くの位置情報を取得して高速に測定できるのがポイント。車体計測の場合、プローブによる方式に比べて測定時間は約8割短縮できるという。

 カールツァイスはこの非接触による車体計測について、ロボットも組み合わせた全数検査システムなど、利用シーンに応じた3つのソリューションを用意している。周辺のシステムも充実させながら、光の特性を最大限に引き出しているのだ。

X線でワーク内部をCTスキャン 複数の測定方法の組み合わせも可能

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 X線CTによる内部計測は、X線をワークに照射して内部の状態を検査する。人間がX線で体の内部を調べるのと基本的に同じ要領で、ワークの内部を視るのだ。外から見えない部分を視ることで、製品の強度などに影響しそうな不具合を検出できるのはもちろん、形状が特に複雑でプローブによる外観検査が難しいものも検査可能に。プローブによる外観形状の検査はプローブが届く範囲しか行えないが、X線ならば形状がいくら複雑でも関係ない。

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 カールツァイスのX線CTは単にX線で撮影するだけでなく、そこから得た測定情報について寸法保証を行っている点に大きな特徴がある。

 内部にクラックなどが見つかった場合、その大きさを具体的な数値で明らかにし、強度的に問題があるかどうかを定量的に判断することが可能となるのだ。

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 また、光学計測では、画像センサやプローブに加えてホワイトライトセンサを組み合わせた測定で、さらに高い精度を追求している。それぞれの測定方法間の誤差が極めて小さいため、それらを組み合わせて1つの結果を導き出せるのである。

 その技術の下地になっているのが、カールツァイスの源流である顕微鏡の技術だ。その顕微鏡の技術を工業の世界に持ち込むことで、これらの機能を実現している。他、光学によるワークの自動認識機能の組み合わせや、ユーザーの操作による誤差防止の仕組みなども設けている。

Industrie 4.0に通じるソリューションも用意

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 製造業が「Industrie 4.0」という歴史的な転換点を迎える中、その中心であるドイツに本社を置く同社も、伝統的に受け継いできた光学技術だけでなく、新たな技術も組み合わせながらソリューションを発展させている。

 測定データ管理システムの「ZEISS PiWeb」はその1つで、さまざまな測定機から情報を吸い上げ、リアルタイムであらゆる部門に情報を提供。その仕組みは、スマートファクトリー実現の第一歩としてIndustrie 4.0で提唱される「生産現場と管理部門の密な連携」に通じるものがある。

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 検査工程の重要性は、最近の事例を見ても明らか。その軽視は後に経営自体も揺るがす事態に発展する恐れさえある。しかし検査工程は、かかる手間の割には得られる具体的な効果が見えにくい。ならば検査にかかる手間の方を抑えるのが有効ではないだろうか。その考え方に合致しているのが、光学技術をはじめとしたカールツァイスの測定ソリューションなのである。

測定データをグローバルで共有

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 測定による検査は、測定だけ行っても意味はない。測定結果を適切に分析し、それが品質管理上許容されるものなのかを判定するまでが一連の業務だ。カールツァイスは、その計測結果を集約してレポートとして確認できる測定データ管理システム「ZEISS PiWeb」を用意している。

 ZEISS PiWebでは、ネットワークを使って測定後のデータ管理を統合的に行い、異なる拠点間で測定情報を共有・分析可能にする。分析には各種の統計ツールを用意するほか、測定結果の自動判定やCAD図面との連携による分かりやすい表示、過去の測定データの時系列管理などの機能がある。

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 大きな特徴の1つとなるのが、さまざまな測定機のデータを取り込んで一元的に管理できる点。光学式の測定機だけでなくノギスなど手動の測定器具からもデータを取得し、集約して1つの測定結果とすることが可能。集約したデータはサーバー上で管理し、各拠点はネットワーク経由で閲覧できるため、測定データをグローバルでの共有が可能になり、作業効率をさらに向上させることができるだろう。

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