モータージャーナリスト岡本幸一郎の試乗インプレッション

新型カムリ徹底解剖!

トヨタ初のフルTNGA採用

検証4 非常に限界値が高い足回りは乗り心地のよさも犠牲にしていない

サスのチューニングによる乗り心地の良さが際立っています
ハンドル操作に対するリニアな応答性を実現するサスペンション

岡本氏がサーキットで感じた高い安定感は、サスペンションの恩恵もあってのこと。フロントにマクファーソンストラット式、リヤにダブルウィッシュボーン式が採用されたサスペンションは、ジオメトリーの最適化によってドライビングプレジャーと上質な乗り心地を両立させている。

「ジオメトリーの最適化というのはつまり、サスをどんな角度で取り付け、どんな軌跡を描かせるのかを徹底的に追求したということ。これによって、どんな場面でも4本のタイヤがきちんと面の真ん中で地面と接地できるようになっています。実はこれはとても難しいことなのですが、新型カムリは理想形に迫っていると言っていいでしょう。

それと、コーナリング時のロール、ブレーキング時のダイブ、加速時のリフトといった運転中の姿勢変化が少ないのも、サスの味付けがいいから。ただ、それはドライバーのことしか考えず快適性を犠牲にしたという意味ではありません。普通、姿勢変化を抑えようとするとサスはガチガチに固くなりがちですが、それだと後部座席に座った人は路面変化による突き上げが大きく不快です。ところが、新型カムリはその匙加減が絶妙。ドライバーは運転して楽しく、同乗者は長く乗っても快適という、二律背反する願いを見事に同時に叶えています」

検証5 セダンならではの上質感だけでなく快適なドライブのための視認性も確保

ダッシュボードの低さによる視認性のよさは着座するとすぐに分かる

ダッシュボードの低さによる視認性のよさは着座するとすぐに分かる

「インテリアはエクステリア以上に印象的でした。レザーや金属、宝石のタイガーアイをイメージしたというオーナメントパネルなど、異なる色や素材を組み合わせることで非常に上質な空間となっています。オルガンペダルを採用しているのにも驚きましたね。長距離ドライブでは疲労も軽減してくれます。設計に手間がかかるうえ、コストもかさむので普通はもっと高級車でしかお目にかかれません。

それと、特筆すべきはダッシュボードの低さです。着座位置が低くても、非常に前方視界が広く運転しやすい。実はダッシュボードにはエアコンやカーナビのユニットが収められているため低くするのが難しい。それを実現できたのもTNGAのおかげでしょう。それにピラーの位置も絶妙にドライバーの視界のじゃまにならないようになっているし、ウエストラインも低い。ドライビングの妨げになる要素を徹底的に見直したという印象です」

また、6:4分割可倒式リヤシートを倒せば左右どちらもトランクスルーができ、スキーやスノーボードといった長尺物も収納できる。

検証6 安全性の徹底追求で安心して走りに集中できる

ミリ波レーダーは検知できる距離が長く、単眼カメラは物体の形や大きさが識別できる

ミリ波レーダーは検知できる距離が長く、
単眼カメラは物体の形や大きさが識別できる

駐車時や後退時の衝突被害を軽減するインテリジェントクリアランスソナー

駐車時や後退時の衝突被害を軽減する
インテリジェントクリアランスソナー

高精度な2種類の目が走行時の安全をアシストしてくれます

新型カムリは、先進の歩行者検知機能を搭載した衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を標準装備。ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した検知センサーと、それに基づく統合的な制御により、事故の回避や衝突被害の軽減を支援する。

主な機能は以下の4つ。①前方の車両や歩行者を検出し警報ブザーとディスプレイ表示で知らせてブレーキをアシストするプリクラッシュセーフティシステム、②電動パワーステアリングを制御して車線逸脱を回避しやすいようにサポートするレーンディパーチャーアラート、③ハイビームとロービームを自動で切り替えるオートマチックハイビーム、④先行車との車間距離を保って追従走行するレーダークルーズコントロール。

また、後退時の死角を検知しドライバーに注意を喚起するリヤクロストラフィックアラートや、車線変更時の後方確認をアシストするブラインドスポットモニターなども装備。さらに、駐車時や後退時などにおける、衝突被害を軽減する「リヤクロストラフィックオートブレーキ」は、トヨタブランドで初採用された。走りの楽しさだけでなく、安全性も徹底的に追求した。

岡本幸一郎

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。バブル末期の91年に都内の大学を卒業後、クルマ好きが高じて自動車メディアの世界に身を投じ、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わる。のちにフリーランスのモータージャーナリストとして独立。2004年に日本自動車ジャーナリスト協会の会員となり、08年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。軽自動車から高級輸入車まで、あらゆるカテゴリーのニューモデルの最新事情を網羅する一方で、これまでプライベートで25台の愛車を乗り継いできた経験を持つ。また、ときおりモータースポーツにも挑戦している。あくまでユーザー目線に立った視点を大切に、有益な情報を誰にでもわかりやすく発信することを身上としている。

試乗を終えて

久しぶりにワクワクドキドキするセダンが登場しましたね。年初にデトロイトのモーターショーで初めて新型カムリを見たときは、美しく力強いデザインに驚きました。「これが本当にカムリ?」というのが第一印象。ただ、それでも実際にハンドルを握るまでは走りに期待はしていなかった。よくも悪くも無難なセダンの走りだろうという先入観は捨てきれなかったんです。ところが、ポンとアクセルを踏んだ瞬間に、あまりのパワフルさとスムーズさ、安定性に度肝を抜かされました。今までのカムリのイメージを覆し、ただそれでもカムリがカムリであるための一線は越えないコンサバな部分もある。非常にバランスのいい車に仕上がっているといえるでしょう。真剣に次の買い替え候補車として、僕の中で存在感が高まっています。

CAMRY

16インチホイールのXと17インチホイールのG。
Gには235/45R18タイヤ&18×8Jアルミホイール、本革シート、カラーヘッドアップディスプレイ、
T-Connect SDナビゲーションシステムを装備したG"レザーパッケージ"もある。

試乗車:G"レザーパッケージ"。ボディカラーのエモーショナルレッド<3T7>はメーカーオプション。オプション装着車