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ハウステンボス ハウステンボスの「変なホテル」が東芝の水素エネルギーを導入

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
水素エネルギーに取り組む東芝は、再生可能エネルギーと水素とを組み合わせた自立型エネルギー供給システム「H2One™」を開発した。太陽光などの電力を利用して水を水素に電気分解して貯蔵し、燃料電池の燃料として活用する仕組みだ。ハウステンボスの「変なホテル」第2期棟の電力と温水の供給に導入された。
前川 治 氏 株式会社 東芝 執行役専務 次世代エネルギー事業開発 プロジェクトチーム プロジェクトマネージャー

長崎県佐世保市にある人気リゾート施設「ハウステンボス」には「変なホテル」という風変わりな名前の宿泊棟がある。フロント業務を人型ロボットや恐竜型ロボットが務めるなど、文字通り変なホテルとして話題だ。

「変なホテル」のうち、2016年3月にオープンした2期棟全館(12室)の電力と温水の供給を賄っているのが、東芝が開発した自立型エネルギー供給システム「H2One™」(エイチツー・ワン)である。

晴天の昼間は太陽光で得た電力を使って水素を生成し貯蔵。夜間や天候の悪いときは水素を燃料電池に与えて電力を供給するという、再生可能エネルギーと水素エネルギーのいわばハイブリッドなシステムだ。

ハウステンボスは以前から新エネルギーの利用に積極的であり、メガソーラーやマイクログリッドなどに取り組んできたが、今回はエネルギーの地産地消などを目的に東芝の「H2One™」を導入した。「H2One™」だけで2期棟ホテル12室分に7〜9月の間は2週間、電気を供給することも可能だ。

図1 「H2One™」の概略構成とハウステンボスに納入されたシステムの概要
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「水素の時代」がいよいよ到来。グループで開発に取り組む東芝

水素エネルギーの利用機運が世界的に広がっている。国内では、都市ガスから水素を取り出して発電と給湯を行うエネファーム(家庭用燃料電池)の累計販売台数が15万台を突破。燃料電池自動車も商用化され、水素ステーションの整備も進みつつある。経済産業省も「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を定めて普及に本腰を入れ始めた。

エネルギー源としての水素の特徴の1つはCO2を排出しないことだ。空気中の酸素との反応で電力と熱を得る燃料電池から出てくるのは水(H2O)だけである。また、水素は地球上に豊富に存在する水からも得られるため、資源の枯渇の心配がない。エネルギー効率にも優れており、エネファームの場合で95%を超えるとされる。

東芝は次世代エネルギーとしての水素の可能性に早くから着目、LPガスにも対応したエネファームの提供や、大型燃料電池システムの開発や実証実験など、「水素の時代」を見据えた取り組みをグループを挙げて進めてきた(図2)。

「エネルギー問題の大きな流れの中で、いずれ水素が重要な役割を果たす日が来ると信じて、研究開発を続けてきました」と、東芝で執行役専務を務める前川治氏は述べる。

その成果の1つが、自立型水素エネルギー供給システム「H2One™」だ。

図2 東芝が目指す水素エネルギーの利活用
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再生可能エネルギーを水素で平準化。災害対応や離島に最適な構成を提供

H2One™」は、大まかには、太陽光や風力などで得た電力を使って水から水素を「つくる」ユニット、生成した水素を「ためる」ユニット、電力需要に応じて再生可能エネルギーや燃料電池出力などをきめ細かく制御しながら供給する「つかう」ユニットから構成されており、トレーラーなどで輸送できるように20フィートコンテナと同等サイズにパッケージされている。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは発電の過程でCO2を排出しない代わりに、天候や時間帯によって発電量が大きく変動するため、需要に即した電力を安定的に供給することが難しいという課題があった。

「発電量が不安定という課題を持つ再生可能エネルギーに、バッテリーのような自己放電がなく長期間の貯蔵も可能な水素を組み合わせることで、需要に応じ安定した電力供給が可能になると考え、自立型の水素エネルギー供給システムを開発しました」と、前川氏は「H2One™」の背景を説明する。

H2One™」には災害に備えた「BCPモデル」や電化が難しい離島向けの「離島モデル」などの構成があり、このうちBCPモデルは川崎マリエン(神奈川県川崎市・実証実験中)と横浜港国際流通センター(神奈川県横浜市)で導入されている。川崎マリエンの場合、水素だけで、非常時に300人×7日分の電力と温水を供給できる。

ハウステンボスの「H2One™」はリゾート施設に最適な「リゾートモデル」として構成されている。大量の水素を貯蔵できる水素吸蔵合金を採用しており、タンク式(10気圧)に比べて貯蔵に必要な体積をおよそ1/10に削減し、設置スペースの小型化を図った。

貯蔵可能量が多いため、太陽光での発電量の多い夏に水素を生成して貯蔵。日照が弱くなった冬に水素を取り出して電力を得ることもできるなど、季節を超えた長期の平準化も可能である。

エネルギー問題の解決を目指して、水素社会に向けた取り組みを強化

東芝はグループ一丸となって、「つくる」、「ためる」、および水素を対象としたEMS(Energy Management System)である「つかう」のそれぞれの技術開発をさらに進めていく考えだ。

現在、1万人規模の需要に対応した大型の「H2Omega」(エイチツー・オメガ)の開発も進めているという。前川氏は「これら3つすべてをワンストップで提供しているのは東芝だけ」と強みを訴求する。

※水素エネルギーについては、こちらの記事も参照いただきたい↓
東芝の水素コア技術がつくる2020年 日本の水素社会

企業情報

ハウステンボス株式会社
●開業:1992年3月
●資本金:15億円
●本社所在地:長崎県佐世保市ハウステンボス町1-1
●事業内容:パーク事業、ホテル&リゾート事業、レストラン事業他
●URL:http://www.huistenbosch.co.jp
ハウステンボス株式会社
長崎県佐世保市にあるオランダの街並みを再現した、日本最大級の規模を誇るテーマパークを運営。園内にある4つの直営ホテルも運営している。
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