「Velocity Series」が加速する中堅中小製造業のイノベーション

「Velocity Series」が加速する中堅中小製造業のイノベーション

世界的な流れとして,今まで大企業中心だったPLM(Product Lifecycle Management)への取り組みは,中堅中小企業へ急拡大している。製品ライフサイクルの短期化,コスト削減などの取り組みを続ける日本の製造業のPLMに対する期待も大きい。こうしたニーズに応えるべく開発されたのが,シーメンスPLMソフトウェアの「Velocity Series」。この「Velocity Series」の最新バージョンが,2008年7月7日に東京コンファレンスセンター品川で行われた「Velocity Series Conference 2008」で紹介された。初期設定済み,簡単導入をコンセプトとしたソリューションで,設計から解析,製造,データ管理まで幅広くカバー。中堅中小規模の製造業のイノベーションを強力にサポートするという。
中小企業にもグローバル化の波
Siemens PLM Software Velocity Siries ポートフォリオ製品開発バイスプレジデント Bill McClure氏
Siemens PLM Software
Velocity Siries
ポートフォリオ製品開発
バイスプレジデント
Bill McClure氏

 従来型のCADは2つのタイプに分かれる。ヒストリベースのモデリングとノンヒストリモデリングだ。それぞれに一長一短がある。フィーチャを持つヒストリベースのモデリングにはフィーチャやパラメータという形でナレッジを盛り込みやすいが,大きなモデルになると変更対象を探すことや意図した変更を実行することも難しくなり,ほかのユーザーが再利用しづらい。また,当初予測されていなかった設計変更が発生すると,履歴をさかのぼってモデルを作り直す必要もある。その他に,操作性などの問題もあり,設計部門以外で3Dモデルを活用するにはやや難があった。

 「限られたリソースで,いかに市場投入のスピードアップを実現するか。それは世界中の製造業者が直面している課題です」と語るのは,シーメンスPLMソフトウェアでVelocity Series部門のバイスプレジデントを務めるBill McClure氏である。

 さらに,顧客からのコスト削減圧力も強まっている。加えて,昨今の原材料やエネルギーコストの増大によって,製造業はこれまで以上の企業努力を求められている。

 こうした課題を解決するために,多くの製造業者がPLMに注目している。大規模なメーカーは以前からPLMへの投資を行ってきたが,現在,それ以上に積極的な姿勢を見せているのが中堅中小企業である。こうしたミッド・マーケットの状況を,McClure氏はこう説明する。

 「現在,PLM市場全体の成長率は8%程度ですが,ミッド・マーケット向けPLMの市場は年間12〜15%と2倍近い伸びを見せています。現在,ミッド・マーケットはPLM市場全体の30%を占めていますが,2011年にはこれが50%に上昇すると予測されています」。

年間売り上げ10億ドル未満の企業を対象にしたPLMの売り上げ推移
年間売り上げ10億ドル未満の企業を対象にした
PLMの売り上げ推移

 冒頭で述べたグローバル市場における環境変化は,中堅中小企業にとっても切実な問題である。一方では,環境変化をチャンスととらえ,グローバル市場に対して果敢にアプローチしている中堅中小企業も少なくない。多くの中堅中小企業が顧客としている大手メーカーは,積極的な海外展開を進めており,それらの拠点へ供給能力を持つ優れたサプライヤを常に探しているからだ。

 環境変化によってピンチを招くか,それとも飛躍のきっかけにするか。いずれにしても,製品の品質向上やコスト削減,スピード,イノベーションといった製造業の基本的な能力が,より厳しく問われるようになったことは間違いない。PLMミッド・マーケットの成長の背景には,こうした中堅中小企業のニーズがあると考えられる。

「Velocity Series」の新バージョンが登場

 シーメンスPLMソフトウェアが2005年にリリースした「Velocity Series」は,以上のようなミッド・マーケットの動きを先取りしたものである。中堅中小規模の製造業のニーズを深く分析したうえで,製品開発プロセスにおけるイノベーションを加速するために開発された。

 「Velocity Seriesは,業界のベストプラクティスが盛り込んであり,初期設定済みで簡単に導入できるのが特長です。マイクロソフト仕様に準拠しており,使い勝手にも優れています。また,リーズナブルな導入コストにより,TCO削減にも貢献するソリューションです」とMcClure氏は語る。

 このシリーズは,大きく4つの製品で構成されているが,それぞれの新バージョンが,本年秋頃に登場予定。この4つの新バージョンの製品について,それぞれの特長が紹介された。

 まず,設計分野の「Solid Edge」。これは2次元CADから3次元CADへの移行を目指すユーザー,あるいは既存の3次元CAD環境をもっと効率化したいと考えるユーザーを対象としている。新バージョンの「Solid Edge with Synchronous Technology」は,画期的なシンクロナス・テクノロジを搭載し,設計スピードを大幅に速めている。

 次に,データとプロセスの管理を効果的に行う「Teamcenter Express」。これも簡単な導入と使いやすさ,ベストプラクティスに基づくひな型を多数用意していることなどが評価されて,ユーザー数が拡大している。新バージョンの「Teamcenter Express Version4」は,業務プロセスとデータアクセスの連携,プロジェクト&プログラム管理などの機能が一層強化されている。

Velocity Seriesはミッド・マーケットにフォーカスした設計・製造・データ管理ソリューション
Velocity Seriesはミッド・マーケットにフォーカスした設計・製造・データ管理ソリューション
販売パートナーとのさらなる関係強化を目指す

 「Femap」は高度な解析機能によって,多くのデザイン案の素早い検討を可能にする製品だ。「Femap Version10」はメッシュの自動生成機能を一段と強化しており,モデルサイズの最小化によるスピードアップと高精度の解析を両立させている。中堅中小規模の製造業だけでなく,大企業の解析部門での導入も目立つ。

 そして「CAM Express」は,3軸加工や複合切削から,非常に複雑な形状を扱う5軸加工の分野までをカバーするCAMソリューションだ。「CAM Express Version6」ではさらに高速でスムーズな切削が可能になっている。形状認識にも優れており,工作機械のパフォーマンス向上に寄与する。

 Velocity Series を構成する以上4つのソリューションは,個別に導入することも,まとめて導入することもできる。それぞれの企業の状況に応じて選択可能だ。その販売を担うのは,世界で420以上のチャネル販売パートナー。シーメンスPLMソフトウェアは,Velocity Series の販売において,このパートナーシップを非常に重視しているとMcClure氏は言う。

 「Velocity Series の売上の90%はパートナーによるものであり,パートナーの80%は複数のVelocity Series 製品を扱っています。“Out of the box”,つまりカスタマイズ不要で導入が簡単,加えてサービスもパッケージ化されているので,パートナーが扱いやすい製品になっています」。

 Velocity Series の機能強化はもちろん,販売パートナーとの関係を一層緊密にすることで,シーメンスPLMソフトウェアは世界と日本のミッド・マーケットにさらに深く浸透しようとしている。

SiemensおよびSiemensのロゴは,Siemens AGの登録商標です。Solid EdgeおよびVelocity Seriesは,米国およびその他の国におけるSiemens Product Lifecycle Management Software Inc.またはその子会社の商標または登録商標です。その他の商標,登録商標,サービス・マークはそれぞれ各所有者に帰属します。

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