ネット全盛時代の今、企業PRの新しい情報発信について考える「ネットPR事例セミナー2008 Summer」(ニューズ・ツー・ユー主催)が、2008年8月28日に東京都千代田区・ベルサール九段で開催された。当日は、「ネットPRは自然体が一番」と題した基調講演や、「ネットPR最前線〜現場で生まれるネットPRの新セオリー〜」をテーマとしたパネル・ディスカッションなどが行われた。

速報!国内初のネットPR事例セミナー

ネット全盛時代の今、企業PRの新しい情報発信について考える「ネットPR事例セミナー2008 Summer」(ニューズ・ツー・ユー主催)が、2008年8月28日に東京都千代田区・ベルサール九段で開催された。当日は、「ネットPRは自然体が一番」と題した基調講演や、「ネットPR最前線〜現場で生まれるネットPRの新セオリー〜」をテーマとしたパネル・ディスカッションなどが行われた。

ネットPRは自然体が一番

【ブログなどで取り上げてもらう工夫とは】


水野 政司氏
サン電子株式会社
デジタルコンテンツ事業部
グローバル・マーケティング
グループリーダー
水野 政司氏
サン電子株式会社
デジタルコンテンツ事業部
グローバル・マーケティング
グループリーダー

サン電子は、携帯音楽プレイヤーの音楽をFMラジオで再生可能とするFMトランスミッターなどのデジタル家電製品や、麻雀牌パズル「上海」に代表されるゲームブランド・サンソフトの展開、携帯電話向けコンテンツ開発といった、多くのコンシューマー向け製品や事業を手がけている。

製品のPRのためには、より多くの消費者が関連情報に触れることが必要になってくる。情報誌などの紙媒体や、新聞社などが運営する大手のネットメディアに取り上げられるのは、不特定多数に情報を伝えるのに有効だ。もちろん、発信した情報が掲載されるかどうかはメディアの編集者次第なので、編集部へ赴いて発表する情報を直接伝えることは基本的な活動の1つだ。

さらにサン電子では、個人が運営するブログに対しても、サイト運営者にコンタクトを取り、製品の紹介を直接行ったり、製品貸し出しをするなど、大手メディアと同様の対応をしている。例え個人のブログ運営者が相手でも、ネットワークの世界で完結せず、直接顔を会わせることもしてきたという。ブログへのPRに力を入れるのは、ネット上での話題を増やすことで、自社サイトへのリンクも増加し、SEO効果を引き出せるからだ。

水野氏は「ただ情報を流しているだけでは取り上げられません。直接会いに行くなど、どういったアクションを起こすかが大事です。加えて、イベントなどの特定の期間や目的に限らず、継続的に行うことも大切です」と指摘した。さらに、ブロガーに 取り上げられやすいよう、元リリースへのリンクや、転載の許可を明記しておく工夫も重要だという。

「ネットだからと特別なことをやるのではなく、これまで広報が行ってきたことを、ネットにおいても自然にやるという姿勢が大事です。自社の製品やサービスを知ってもらうという視点で動いていくのが効果的ではないでしょうか」(水野氏)。

国内向けに作られた製品でも海外で引き合いがあるなど、流通における国境の壁はネットにより急速に崩れつつある。ソフトウエアの場合は、それが特に顕著であるという。「いかにPRを世界的に広めていくかが次の課題です」と水野氏は語り、講演を締めくくった。

パネル・ディスカッション ネットPR最前線 〜現場で生まれるネットPRの新セオリー〜


神原 弥奈子(かんばら みなこ)
株式会社 ニューズ・ツー・ユー
代表取締役社長
神原 弥奈子(かんばら みなこ)
株式会社 ニューズ・ツー・ユー
代表取締役社長

【企業PRにニュースリリースを積極活用】

パネル・ディスカッションでは、ニューズ・ツー・ユー 神原氏をモデレーターに、先進的なPR活動を行っている3社がパネラーとなって、ニュースリリースのポータルサイト「News2u.net」を使った効果的な企業PRの方法を紹介した。

まず、レコメンデーションの専門企業として、あらゆる業種、商材のニーズに対応しておススメ情報を表示するレコメンド・エンジンの開発を行い、ECサイトなどに提供している株式会社ALBERT(アルベルト)が紹介された。同社は、自社運営するショッピング・ポータルサイト「見つかる.jp」のなかでユーザーが入力した“商品選択の際に重視する項目”のログ分析をしたレポートを、「News2u.net」に掲載している。同社コーポレート・コミュニケーション部ディレクターの佐藤めぐみ氏は、「こうしたログは、商品開発を行う際には有益な情報だと思っていましたが、具体的にどのような企業のどのような方が必要としているのかは分かりませんでした。それに自社で配信すると、限られた方にしか伝わりません。そのため、より多くの方にレポートを届けるために『News2u.net』を利用しました」と、自社のネットPR活用法について述べた。


佐藤 めぐみ氏
株式会社 ALBERT
コーポレート・コミュニケーション部
ディレクター
佐藤 めぐみ氏
株式会社 ALBERT
コーポレート・コミュニケーション部
ディレクター


西村 佳隆氏
株式会社 サミーネットワークス
経営企画部
広報課 課長
西村 佳隆氏
株式会社 サミーネットワークス
経営企画部
広報課 課長


奥村 朋代氏
株式会社 ワイキューブ
広報課
奥村 朋代氏
株式会社 ワイキューブ
広報課

次に紹介されたのが、携帯電話の公式サイトに着信メロディやパチンコ・パチスロゲームなどの配信を行うコンテンツ・プロバイダーの株式会社サミーネットワークス。同社経営企画部 広報課 課長の西村佳隆氏は、「“ミューパス”や“モバプリ”といった新規事業の立ち上げのためにネットPRを展開しており、その一環で『News2u.net』を活用しています」と語った。ミューパスとは、メーカーと協業して、携帯から家電製品などに、様々なデジタル・データを配信して更新させるというもの。例えば目覚まし時計に楽曲データを送ることで、ユーザーは7000曲のなかからアラーム音を選べるのだ。

ネットPRの目標の1つは、信頼性向上のためにサービス名である「モバプリ」といったキーワードでの検索結果件数を増大させること。News2uにリリースを出すと共に、ニュースサイトへの記事掲載については、記者に直接コンタクトを取ってサービスを説明し、記事化を依頼した。

「まずは小さい記事で紹介され、そこからスパイラル・アップして、露出の拡大を目指しました。現在では、著名媒体での記事掲載、検索結果の上位表示、検索結果件数の増大といった、望みどおりの状態が作られてきています。先日はついにテレビ・ニュースでも取り上げられました」(西村氏)。

「News2u.net」をはじめ、ネット上に公開された記事やリリースは、アーカイブされていくので、その数は増え続ける。すると、それを見て取材依頼が来る可能性も高くなる。西村氏の地道な努力が実り、現在ではGoogleでの検索結果件数が1万件を超えている。

3社目が、新卒/中途採用や組織活性化、販促などの分野で中小企業を支援するコンサルティング会社の株式会社ワイキューブだ。同社では、プレスリリースとしてメディアに配信するほどニュース性が高くない情報は、自社のオフィシャル・サイトには載せず、News2uのサイトに情報を蓄積するといった使い分けをしている。同社広報課の奥村朋代氏は、「定期的に開催している自社セミナーや、自社内で起こっている小さな取り組みの告知、また月に1回、定点的に新卒採用動向レポートを出すという形でNews2uを活用しています」と語る。同社では、例えば全社員で掃除をしているという、通常ならとてもニュースにならないようなニュースも掲載している。そうした小さなニュースにも、社風を広報するという意味が生まれ、意外とアクセス数は多いとのこと。

リリースするネタがないと嘆く広報担当者は多いが、奥村氏は次のように自身の経験則を語った。「今こういう情報が話題になりやすいのでは、という観点から社内を見ていくと、提供できるネタが色々と出てきます」。

【ネットPRではブログの活用も重要】

セミナー風景

続いて神原氏は、「CUT-INの法則」「ロングテール化」など、ネットでのニュースリリース配信の特徴を説明した後、「ネットPRでは、企業が公式に情報発信できるブログの活用も重要です」と話を展開した。

参加したパネラー企業のなかで唯一、ブログを活用しているALBERTでは、代表者ブログと広報ブログを公開している。代表者ブログの効果として、佐藤氏は次のように指摘した。「当社への入社を希望している方や出資したいと考えているベンチャー・キャピタルの方は、必ずといっていいほどこのブログを見ています。このブログで、代表者がどういう考えで事業を行っているか、かなり理解してもらえていると思います」。

自身も社長ブログを書く神原氏は、「ブログを活用することで、企業サイトからは見えない情報を提供できます。さらに、広報担当、あるいは代表者ブログを通して語られることで、読者にとって会社が非常に多面的に見えてきます」と指摘した。

ネットPRの今後の取り組み課題も、パネラーから提示された。まず、様々な切り口のニュースを増やしていくこと。ニュースリリースの効果を目で見える形で測定する方法を検討すること。発信したニュース相互の連鎖を図って露出機会を拡大していくこと。そして、ニュースの配信数をさらに増やしていくことだ。

最後に神原氏は、「Webサイトを開設している企業にとって大事なのは、どういった情報をどうやって発信していくかということです。現在のPR活動は大きな転換期にあると思います。みなさんもぜひ積極的にチャレンジしてください」と語り、パネル・ディスカッションを締めくくった。

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