

−「IUN」ソリューションについて教えていただけますか。
川井 当社が提唱するSmarter Planetは、機能化して、相互接続し、インテリジェント化していこうというビジョンですが、そのひとつの形としてインテリジェント・ユーティリティー・ネットワーク、IUNというソリューションを用意しています。
IUNは、電力やガスのメーターに双方向通信機能とPCの機能を持たせた「スマートメーター」、太陽光パネルや燃料電池、電気自動車のリチウムイオン電池、蓄電池などの「分散電源」、それらを統合する電力のネットワークである「スマートグリッド」の3つの要素が融合されたソリューションで、エネルギーを使う社会、企業、個人にそれぞれ大きなメリットを提供することができます。最近では、特にスマートグリッドへの注目が高まっています。
−具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
川井 例えば、イタリアの電力会社ではすでに約3000万世帯にスマートメーターを展開し、15分ごとの電力使用量を取得しています。このデータをもとに7種類の電力料金メニューを開発しました。料金設定によって電力利用の集中化を防ぎ、電力供給を平準化することによって余分な発電を回避し、設備投資を抑制するのが狙いです。
利用状況が見えるので、消費者にとっても電力の使用方法の改善につながります。これにより、電力料金を抑えるとともに、CO2の排出量を削減できるというメリットがあります。
−日本での取り組みはどうでしょうか。
川井 一般家庭向けの市場では、現時点ではスマートメーターの研究や実験などが行われている段階です。ただ、環境問題への対応も含め、今後急速に現実的なテーマになってくると思われます。
−IUNの構築にあたってIBMはどのような役割を果たしているのでしょうか。
川井 全体の計画を策定するコンサルティングから大量のデータと業務を連携させるためのシステム構築、データをSOAの技術を使って外部や既存システムに連携させるというソリューションを提供しています。欧米の一部のお客様では、オペレーション業務のアウトソースも実施しています。
最近ではマルタ島で電力と水をスマートメーター化して大規模なスマートグリッドを展開していますが、そこでは検針から課金まで“Meter to Cash”といった形のトータルソリューションを提供しています。
−スマートメーターはIBMが製造しているのでしょうか。
川井 当社でもスマートメーターを製造・提供した実績がありますが、すでに欧米ではスマートメーターの標準化が進んでいますので、スマートメーターを活用したアプリケーションの開発が中心になっています。
−IUNの実現に向けてどのようなアプローチをお考えでしょうか。
川井 電力会社やガス会社に対する業務効率改善の一環としてスマートメーターを使ったソリューションを提案させていただいています。ただ、最近では新エネルギーを供給する企業や太陽光パネルメーカー、自動車メーカー、住宅メーカーなどからもお問い合わせが増えています。
IUNはエネルギーとITを融合したソリューションであり、環境、エネルギー供給企業、消費者にとってWIN-WINの関係を築くことができます。世界の数多くのプロジェクトに参画して培ったアーキテクチャーやユースケースのノウハウを活かし、日本でもSOAのソリューションと組み合わせて積極的に展開していきたいと考えています。