
2009年3月6日,グランドプリンスホテル赤坂(東京)で「Information On Demand Conference Japan 2009」が開催された。今回のテーマは「危機を好機に変える情報の戦略的活用〜実践!インフォメーション・オンデマンド」で,基調講演ではIBMコーポレーション バイスプレジデントのNiel Isford氏と日本IBMのインフォメーション・マネジメント事業部 事業部長 理事の下垣典弘氏が,IOD(Information On Demand)のこれまでの実績と新たな展開について講演した。

基調講演に先立ち,日本IBMの専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏が挨拶に立ち,「今は予測できない状況だからこそ,“危機”なのです」と現状を指摘。すでにテクノロジー自体は危機を予測できるレベルにあることを述べ,「このカンファレンスを通して未来を見通して対処する方法を見出し,ビジネスの成功につなげていただきたい」と期待を語った。
引き続き,IBMコーポレーションのインフォメーション・マネジメント・ソフトウェア担当バイスプレジデントのNeil Isford氏による「インフォメーション・オンデマンドの新展開。今,必要な『ニューインテリジェンス』とは?」と題した基調講演が行われた。
講演の冒頭でIsford氏は,「経済状況が激しく変化する中で,世界はますます小さく,フラットになっています。そして,携帯電話の普及に代表されるように機能化が進み,それらが相互につながり,インテリジェント化されることでスマート化が進んでいます」と,IBMが提唱する『Smarter Planet』の背景を解説した。
『Smarter Planet』では,SCMはRFIDによって効率化され,紙ベースだった医療のカルテが電子化され,自動化によってミスの発生は削減される。ローンの審査時間は短縮され,クロスセリングが高度化される。「これらのよりスマートなビジネスは,よりインテリジェントな選択をするために情報を活用します。それが“ニューインテリジェンス”です。これはビジネスチャンスでもあります。情報を賢く活用してスマートにビジネスを展開することで,時代の変化の中で成長することができます」とIsford氏は語った。

ここでIsford氏が強調したのが,インフォメーション・アジェンダの重要性だ。Isford氏は,今までのシステム開発がアプリケーション中心だったことに触れ,「こうした変化のときにこそIT投資をより最適化し,今まで以上に戦略的に行わなければなりません。そのために私たちは“インフォメーション・アジェンダ”というコンセプトを提唱しています」と,今後のあるべきITの姿として,情報中心のシステムへのアプローチとなるインフォメーション・アジェンダを説明した。
Isford氏は,あるグローバル金融サービス企業の事例を紹介し,「この企業では,データが300以上のシステムに散在し,信頼のおける形で情報を得ることが難しい状況にありましたが,ツールを活用して非構造化データが扱えるように基盤を拡大し,データをまとめることで大きな成果を上げました」とその成果を強調した。
またIsford氏は,IBMが約70億ドルの投資を行ってIODに必要なエンド・ツー・エンドの機能を充実させてきたことを解説し,「さらに私たちはより大きな価値をお客様にお届けするために,実証済みのIODのアプローチをインフォメーション・アジェンダとして提供します。すでに17業種にわたってガイドやワークショップなどを用意しました」とインフォメーション・アジェンダへの取り組みを紹介した。

続いて行われた基調講演2では,「危機を好機に変える。実践段階に入ったインフォメーション・オンデマンド」と題し,日本IBMアイ・ビー・エム インフォメーション・マネジメント事業部長 理事の下垣典弘氏が講演した。
下垣氏は「企業内にある情報をどう透過的につなぎ,どう活用するかは,多くの企業にとって差し迫った課題です。部分最適でつぎはぎしかできなくなったシステムでは,保守・運用に手間がかかり,コストダウンにも限界があり,データの活用もままなりません。そこで,情報のビジネス価値を解放して企業の競争力を高めるためにIODに取り組んできました」と語った。
IBMは昨年までIOD関連の製品のポートフォリオの充実を進め,「データをライフタイム全体にわたって管理する」「ビジネスプロセスを最適化する」「信頼できる情報を確立する」「ビジネス・パフォーマンスを最適化する」という4つのエントリーポイントを提示してきた。昨年のIODカンファレンスでは,それぞれのエントリーポイントに対応したソリューションを発表している。「実際に活用できるソリューションを提供することで,情報を透過的につなぎ,情報のビジネス価値を解放し,企業の競争力を高めるという3つのレイヤーに対応してきました」と下垣氏はこれまでの取り組みを振り返った。

「しかし,IODを全体としてどう実現していくかというアプローチについてはわかりにくいところもあったと思います。そこで今回,新たに5つめのカードとしてインフォメーション・アジェンダが加わりました」と新しい取り組みを紹介した。「インフォメーション・アジェンダは,IODを実現し,情報を戦略的に活用する道標とお考えください」と下垣氏はインフォメーション・アジェンダの役割を解説する。
具体的には,模倣するためのモデルとしての『業界別ビジネス最適化マップ』を柱として,業界別のテンプレートであるインフォメーション・アクセラレータ,ファンデーショナルツールを用意し,インフォメーション・アジェンダの確立を支援していくという。
「5つのエントリーポイントを活用して,情報を戦略的資産に変換し,ビジネスの最適化を促進するお手伝いをしていきます。ぜひ,ご期待ください」と下垣氏は抱負を語り,講演を締めくくった。
