NBonline 日経BPセミナー 世界不況を乗り越える企業変革 REVIEW

NBonline 日経BPセミナー 世界不況を乗り越える企業変革 REVIEW

2008年米国から飛び火し、2009年に入っても未だ低迷し続ける世界経済。企業がこれを乗り越え、力強い成長へと転じるには、自らを変革することが求められる。3月18日に経団連ホール(東京都千代田区)で開かれた日経BPセミナー「世界不況を乗り越える企業変革」には、300名を超す企業経営者/管理職が参集。IT、事業再生、会計の専門家による講演とパネルディスカッションから現状打開のヒントを得た。

厳しいときこそ企業を変革するチャンス
賢いIT投資で将来の競争優位性を確保せよ


2008年米国から飛び火し、2009年に入っても未だ低迷し続ける世界経済。企業がこれを乗り越え、力強い成長へと転じるには、自らを変革することが求められる。3月18日に経団連ホール(東京都千代田区)で開かれた日経BPセミナー「世界不況を乗り越える企業変革」には、300名を超す企業経営者/管理職が参集。IT、事業再生、会計の専門家による講演とパネルディスカッションから現状打開のヒントを得た。

「柔軟性」「効率性」「洞察力」を磨きビジネス環境の激変に対応

トップバッターとして登壇したのは、SAPジャパン 代表取締役社長兼CEOのギャレット・イルグ氏。「世界経済の転換期。取り組むべき課題と解決策」と題した講演で、イルグ氏はビジネス環境の激変に対応するには「柔軟性」「効率性」「洞察力」(図参照)の3つが“鍵”になると指摘。それを可能にするためのITツールとして、同社のソリューションを紹介した。

最新ソリューションの図版
SAPジャパン株式会社
代表取締役社長兼CEO
ギャレット・イルグ氏

イルグ氏は、まず、「2008年からの経済低迷によって、世界のあらゆる規模・業種の企業が『需要の減退』『コストの上昇』『信用の低下』に苦しんでいます」と、現状を分析。売上げと利益率の低下がキャッシュフローの悪化を招いているとの見方を示した。ただし、「海の波と同じように、景気に変動があるのは当たり前。この厳しい時期に自らを変革して健全な経営を促進すべきです。変化は脅威ではあるがチャンスにも変わります」と指摘。本質的で即効性を持つ賢明なIT投資をすることが、景気回復時で競争企業をリードする策になると強く訴えた。

そうした変革の目標としてイルグ氏が挙げたのは、流動性の改善、コストの削減、顧客との親密な関係、生産性の向上の4項目である。「サプライチェーン管理(SCM)を活用して在庫を削減すれば、現金を節約して流動性を高められます。またコストの削減には、経費を節約するよりも、非効率な部分をビジネス・インテリジェンス(BI)で見つけて排除したほうが効果的でしょう。さらに、顧客関係管理(CRM)は顧客との関係を緊密に保つために、タレントマネジメント(HCM)は従業員のスキルアップによる生産性向上に役立ちます」(イルグ氏)。

イルグ氏は最後に、「SAPは、これらの目標に素早く到達できる即効性の高いツールを提供するだけでなく、高いリターンをお客様が得られるように支援していきたい」と語った。


ITを活用し状況をリアルタイムに判断して柔軟で効率的な経営を実現

SAPジャパン
バイスプレジデント
ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長
福田 讓氏

では、SAP製品は実際にどれほど「使える」のか――。講演の後半では、SAPジャパンのバイスプレジデントで、ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部長を務める福田 讓氏が導入事例を分かりやすく紹介した。

注目されたのは、ディズニーランド・リゾート・パリにおけるBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの活用事例である。「ディズニーランドの収益モデルは『入場者数』と『園内での追加消費』です。入園料は定額制のため基盤となる入園料収入は入場者数に比例します。屋外型テーマパークの入場者数は天候に左右され、北ヨーロッパにあるパリは晴天に恵まれないので入場者数の増加は容易には見込めません。そこで、ディズニーランド・リゾート・パリは、もう1つの収益の鍵である『園内での追加消費』に焦点を当て、アトラクションや飲食店での待ち行列を短くすることで収益力を高めようと考えました」と背景を説明した。入園者の動きを把握・予測するために、駐車場、入場ゲート、園内の飲食施設やアトラクションの待ち時間など、園内の900か所で取得可能な情報を10分以内に更新し、そこから上がってくるデータをBIツール「SAP BusinessObjects」で分析することによって、収益向上の鍵である「待ち時間の短縮」のためにキャストの配置の最適化、入園者の最適誘導を実現、『園内での追加消費』を最大化するとともに、待ち時間短縮による顧客満足度の向上を実現したのだ。

また、国内ではシャープがSAPの統合業務パッケージ(ERP)を導入するとともに、グローバル規模の情報活用を行う経営コックピットの事例を紹介。「シャープのように、グローバルに事業を拡大し活躍する日本企業の事業や経営の高度化を支えることがSAPジャパンの存在意義」と、福田氏は話す。

このようなITツールを活用して変革を成し遂げた企業が手にできるのが、ビジネス環境の激変に対応するための鍵となる「柔軟性」「効率性」「洞察力」。業務プロセスの標準化、高度化に加え、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に寄って企業個々のこだわりや差別化を柔軟に業務プロセスに表現するとともに、日々刻々と発するイベントや情報をBIツールで捕捉・予測、予算や計画、そして現実の業務レベルの実行へと導くことができる。厳しい時代だからこそ、市場やビジネスの変化を迅速に把握し、かつ実際に行動に移す仕組みの整備が重要。ITのツールをうまく活用することによって、厳密な金銭管理、効率性の向上、コスト削減を実現し、景気が回復したときに競合他社のなかでベストポジションを確保できるよう、今から準備しておくことが重要だ。


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