
データベースがメインフレームの世界に登場してから約30年。データベースの長い歴史の中で,今回のDB2 9.7の登場は「かつてない衝撃をデータベースの世界にもたらします」と日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部 事業部長の下垣典弘氏はそのインパクトを強調する。
今回発表されたDB2 9.7には,低コストを実現し,信頼性や使いやすさを向上させるさまざまな先進機能が搭載された。しかし,最大の目玉はOracleデータベースをはじめとする“他社のデータベースシステムからDB2に容易に移行できる”ことだ。他社のデータベースシステムで使われている開発言語をサポートしたため,構築したアプリケーションをそのまま動かすことができる。よって,これまで培ってきたスキルもムダにならない。
「データベースの技術は各ベンダーの閉じられた世界で進化してきましたが,DB2 9.7によってデータベースベンダーの枠を超えて技術を活用することができるようになります」と下垣氏は話す。
大規模なデータベースの移行には膨大な手間と時間がかかり,データ品質の面でのリスクも大きい。アプリケーションの大幅な修正も必要だ。しかし,DB2はこの常識を覆した。ヨーロッパのERPベンダーであるOpenbravo社の試算では,Oracleデータベースからの移行作業がDB2 9.5では「2年」だったものが,DB2 9.7ではわずか「1週間」に短縮されたという。
DB2 9.7によって企業ユーザーは,利用技術の面だけでなく,コストメリットの面からも選択肢を広げられるようになる。「ランニングコストを比較すると,DB2は5年間でOracleの約半分です」と下垣氏は試算データを示す。ライセンス料金と初年度保守料金の合計で2倍以上の開きがある。このメリットを容易に享受できるようになる。


“IT予算の約7割が保守運用に費やされている”と指摘されているが,新しいDB2では,ライセンス料金や保守料金といったプライシング以外でも保守運用費のコストダウンにつながる機能が強化されている。自己管理を可能にするオートノミック機能や,最新のデータ圧縮機能,高パフォーマンス性能などだ。
「日々の運用業務はできるだけ自動化してしまおう,というのがオートノミック機能のコンセプトです」と日本アイ・ビー・エム ソフトウェア・エバンジェリストの中林紀彦氏は解説する。例えば,データベースのチューニングの自動化では,専門知識を持つデータベース管理者が行ったものと同等のパフォーマンスを得ることができる。
また,最新の圧縮技術によって高い圧縮率を実現できることもTCOに大きなインパクトをもたらす。「データを圧縮することでデータを格納するストレージのサイズを小さくすることができ,パフォーマンスの向上とともに,バックアップやリカバリーの時間も短くて済みます」と中林氏は語る。
パフォーマンス性能がもたらす意味も大きい。パフォーマンスが高ければ,それだけサーバーの数を抑えることができる。サーバー数はソフトウェアのライセンスコストに直結するだけでなく,消費電力や設置スペースの面からも低コスト化につながる。ストレージの小サイズ化も同様のメリットをもたらす。
「高機能でありながらコストメリットが大きいDB2 9.7を導入することは,IT投資の削減という経営の要求に対する情報システム部門としての回答のひとつではないでしょうか」と下垣氏。マーケティングメッセージである“Break Free”には,高いデータベースコストから開放される,という意味合いが込められているという。

IBMはこれからの社会のあるべき姿として,新ビジョン“Smarter Planet”を提唱している。それを実現する4つの柱のひとつが大量の情報の中から示唆を引き出す“New Intelligence”であり,これはインフォメーション・オン・デマンド(IOD)の情報基盤を使って企業/組織が獲得すべき,新しい能力として位置づけられている。当然,大量の情報を瞬時に扱える高速性だけではなく,さまざまなタイプの情報を扱えることが求められる。
実際に企業内で行き交うデータの約8割は,テキストやメールなどの非構造化データであり,その割合は増え続けていると言われている。DB2は,こうした非構造化データを扱うためのXML技術の分野で他のデータベースを常に一歩リードしてきたが,今回のDB2 9.7では,データウェアハウスの分析データとしてXMLデータを扱うことができるようになり,“New Intelligence”を支える道具としてより一層の進化を遂げている。
「企業システムを取り巻く変化に対応していくためには,データベースはコンパクトであるべきです」と下垣氏は,今後のデータベースの条件を語る。複雑で膨大なデータを扱うからこそ,データベースそのものはシンプルかつコンパクトであるべきだ。新しいDB2はそうした将来性への適応力を高めたデータベースと言えるだろう。
IBMでは,DB2 9.7の理解を促進するために今後もさまざまな施策を展開。7月7日(火)にはウェスティンホテル東京(恵比寿)で「DB2 Star Festival 2009」を開催し,DB2 9.7の詳細だけでなく,昨年秋からアーリー・アクセス・プログラムのもとで先行してDB2 9.7を導入してきたユーザー企業からの事例なども発表される。ぜひ,この機会に足を運んでその成果を確認してみることをお勧めする。
