
EAIツール「ASTERIA」で知られるインフォテリアは,その「つなぐ技術」を応用し,マスターデータ管理製品「ASTERIA MDM One」を開発した。複数のマスターデータの統合を仮想的に実現する独自の仕組みを実現,既存システムに容易に導入できるうえ,必要な初期投資も小さい。
「異なるシステムで個別に保管している複数のマスターデータを仮想的に統合することで,マスターデータを一元管理,運用するパッケージソフトウエアです」。インフォテリアの油野達也氏は同社のマスターデータ管理製品「ASTERIA MDM One 」の特徴についてこう切り出した。
インフォテリアは,国内初のXML専業のソフトウエア開発会社として1998年に発足,XML技術をベースとしてシステム連携を行うパッケージソフト「ASTERIA」が主力製品だ。技術力には定評があり,ASTERIAは国内EAI市場で外資系を押さえて3年連続で首位の座を維持する。
そのインフォテリアがASTERIA MDM Oneの開発に取り組んだのは「マスターデータ管理に対するニーズの高まりに加え,EAIで蓄積したトランザクションをつなぐ技術を応用できるかもしれないと考えた」(油野氏)からだ。
マスターデータ管理製品を開発するためのプロジェクトがインフォテリアで始動したのは2007年4月。半年後の同年10月には,MDMの先進国の米国事情を探るため,ニューヨークで開かれたMDM Summitに唯一の日本企業として参加した。翌2008年2月,マスターデータを仮想的に統合するハブの役割を果たすASTERIA MDM One MHの出荷を始めた。
「MDM Summitで確信したのは,当社の開発方針が間違っていなかったことです」と油野氏は振り返る。それどころか「結構先を走っている」との感触も得たという。MDM Summitでは,データ品質を高めるクレンジングとデータガバナンスを確保するためのコンサルティングが中心。複数のマスターデータを仮想的に統合するパッケージソフトウエアであるASTERIA MDM Oneは注目を集めた。
ASTERIA MDM One MHの出荷後,マスターデータのライフサイクルを一括管理するインターフェースのMDM One MIと,データクレンジングと名寄せのサービスであるMDM One DQを投入。現在,MDMの方法論/ 導入支援サービスとなるMDM One GTを開発中だ。それが完成すればASTERIA MDM Oneは4コンポーネントで構成される。
開発に当たって,米国のMDM Summitで得た意見を反映させたほか,パートナー関係にある国内の有力システムインテグレータ6社に協力を仰ぎ,基幹業務システムの開発などに携わるSEの声を基本設計段階から反映させている。

ASTERIA MDM Oneは,既存の複数のマスターデータを統合して新マスターを作成する必要がないので,(1)簡単に始められる(2)初期投資が小さい(3)すぐに結果が出る(4)サブシステムから独立している――といったメリットを導入企業は得られる。
具体的には,ASTERIA MDM One MHは1対1接続から1対2接続までのパラメーターが標準で添付されているので,いつでも手軽に始められ,効果をすぐに確認できる。また,ERP(統合基幹業務)やETL(抽出・加工・転送)などの既存のパッケージソフトウエアに依存しない「完全独立型」なので,基本的にはあらゆるシステム構成で利用可能である。製品価格も低く抑えられており,中堅企業にとっても敷居は低い。
既にASTERIA MDM Oneは複数の大企業で導入されている。今回のフォーラムで油野氏はリコー,企業の購買活動支援事業を展開するソフトバンクグループのディーコープ,味の素ゼネラルフーヅの導入事例を紹介した。「大企業がいち早く採用したのは当社のEAIでの実績に加え,SEの意見を基本設計段階から反映させたからだと思います」と油野氏は分析する。
豊富な実績を背景に,インフォテリアは今後,ASTERIA MDM Oneをあらゆる業務アプリケーションで使える汎用的なMDM製品に育てる計画を立てる。「ERPの世界で4大業務と言えば,販売,生産,人事給与,財務会計。MDMは,これらに次ぐ『第5の業務』として,あらゆる業務アプリケーションに仮想マスターを提供するための基盤となります」(油野氏)。ERPに限らずメール,会計,入退室管理,人事管理,勤怠管理,営業支援(SFA)などの様々なアプリケーションに統合マスターを仮想的に供給できればマスターデータ管理の世界は大きく変わりそうだ。

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