All Flashでエコ〜お客様のビジネスに貢献するAll Flashのエコソリューション
省エネを志向する社会の要請にマイコン技術で応える

NECエレクトロニクス株式会社
執行役員 兼
マイクロコンピュータ事業本部長
岩元 伸一 氏
この「All Flash Innovation Seminar」も今年で5回目を迎えました。この間,当社のマイコンビジネスも順調に伸び,調査会社によると32ビットMCUの分野では世界ナンバーワンのシェアを2年連続で獲得したほか,8ビットの分野でも順調にシェアを拡大することができました。お客様の日ごろのご愛顧に厚く御礼申し上げます。
さて,サブプライムローン問題をきっかけとして2007年頃から始まった景気後退は世界の経済に大きな影響を及ぼしましたが,2009年度に入って少しずつですがビジネスに明るさが戻ってきているように感じます。
長かったトンネルを抜けた先に待っている新しい世界はどんな世界でしょうか。ハイブリッドカーの普及や,電力網をインテリジェントに制御するスマートグリッドなどの考え方が誕生していることなどから,トンネルの先にはグリーンな社会の実現が待っているのではないか,と当社では考えています。
実際,今では世界各国が地球温暖化対策としてCO2の排出削減に取り組んでおり,エコロジーを支えるテクノロジーへの投資や政策支援もきわめて盛んです。
当社もこのような社会的な要請にわずかでも貢献したいと考え,電子デバイスの開発に携わる立場として,「デバイスでエコ」,「システムでエコ」,そして「エコ社会に向けて」という3つのステップで,家電機器や産業機器の消費電力を抑制するさまざまな取り組みを進めています。
インバータ技術でモータや照明を高効率化
まず「デバイスでエコ」については,この1年間で,8ビット,16ビット,32ビットの各マイコンともに,世界トップクラスのローパワー製品を揃えることができました。今後はこういったローパワー技術を製品ラインアップ全体に展開して,さらなるローパワー化を目指してまいります。
「システムでエコ」については,家庭,工場,そしてクルマの3つの分野で取り組みを進めています。
家庭と工場では,機器に組み込まれている数多くのモータをインバータ制御することで省エネ化が可能です。また,インバータ制御の技術は,照明にも応用できます。蛍光灯や次世代の照明用光源であるLEDにインバータ制御を適用することで,高い発光効率が得られます。
当社ではインバータ制御に最適な機能と必要な回路ブロックを内蔵したマイコンを豊富にラインアップするとともに,デジタル家電の待機電力を削減するためにHDMI-CEC(Consumer Electronics Control)機能をハードウエアで搭載したマイコンや,リモコンの電力を抑える無線対応マイコンなどを取り揃えて,家電機器や産業機器の省エネを引き続き支えてまいります。
クルマの分野では,ボディ制御,シャシー制御,パワートレインのそれぞれに最適なマイコンを提供すべくラインアップの拡充を進めています。現在の乗用車には1台あたり60個から120個のモータが搭載されています。人気のハイブリッド車に代表されるエコ・カーにおけるエネルギー効率などを考えたとき,やはりモータ制御がこれからのクルマ技術のポイントのひとつになってくることは間違いないでしょう。この分野にも当社のソリューションが貢献できると期待しています。
Smart Grid構想を技術で支援
「エコ社会に向けて」の観点では,IT技術を活用して発電から送電までを最適化しようとする「スマートグリッド」に着目し,来るべき実用化に向けて開発を進めているところです。
スマートグリッドは,発電の見える化と電力消費の見える化を行って,エリアなどの単位で需給のバランスを取ろうというのが基本的な考え方です。すでに欧米や中国,オーストラリアなどが政策として進めているほか,米エネルギー省が中心となって規格策定が行われています。見える化を実現するには,電力の発電側と消費側をつなぐ通信手段が必要になります。通信では無線通信規格「ZigBee」と電力線を使った「PLC」が標準採用される予定で,当社はHomePlug Powerline Allianceのスポンサー・メンバーになるなど,こうした動きに積極的にかかわっています。
また,電力の見える化のためには,家庭内の各機器がマイクロ電力計を持つとともに,ネットワークを介してデータを集約できなければなりません。太陽光発電の売電制御や夜間電力の蓄電も必要になってきます。
当社はこのような来るべき社会に向けて,スマートメータやマイクロ電力計,HAN(Home Area Network)やNAN(Neighborhood Area Network)といった通信,太陽光発電を電力会社の送電網につなぐ系統連系に必要なパワーコンディショナなどに対応するソリューションの開発を進め,社会全体のエネルギー利用の最適化に少しでも貢献していきたいと考えています。
基盤技術の開発を通じて次世代のエコを目指す
エコを進めていくにはさまざまな基盤技術の開発も欠かせません。
ひとつはAll Flashの大容量化と性能向上です。今年,All Flashマイコンは90nmプロセスでの量産を始めますが,さらなる微細化を図るために,55nmのプロセス開発を進めているところです。
NECと共同でMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)の開発も進めています。MRAMは書き換え回数に制限がないほか,低電圧で動作するという特徴があり,実用化が期待されている技術です。

また,消費電力を抑えながら性能を高めるには,ひとつのデバイスに複数のCPUコアを統合するマルチコア化が重要です。これまでに携帯電話やカーナビ向けでマルチコアを採用した製品を発売していますが,制御機器のリアルタイム制御にも対応できる高性能なマルチコア技術も確立し,製品化を進めている段階です。
エコな社会の実現に向けて,当社のAll Flashマイコンおよび車載用マイコンが微力ながらお手伝いできるように,引き続き努力してまいりたいと考えております。
※ 会社名、製品名は、各社の商標もしくは登録商標です。
| NECエレクトロニクス株式会社 〒211-8668 神奈川県川崎市中原区下沼部1753 http://www.necel.co.jp/ |
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