東京・目黒の住宅地で建設中の首都高速道路・大橋ジャンクションは、まるでローマのコロッセオを思わせるような構造物だ。地上では渋谷線から複雑な曲線を描きながら分岐した高架橋と接続し、地下では建設中の中央環状新宿線のシールドトンネルにつながるものだ。
ジャンクションは屋根ですっぽりと覆われ、排気ガスはジャンクション内部に設置される換気所に集めて、 有害物質を除去して排出されるなど、環境面にも配慮されている。この広大な現場には、巨大なコンクリート構造物から、橋梁、トンネルまで土木工事の幅広い工種が大集結しているといっても過言ではない。
施工を担当する鹿島・大成・東急SJ14(2)トンネル・連結路基礎特定建設工事共同企業体(以下、鹿島JV)の杉山孝氏は、「とにかく広い現場なので、施工管理の写真撮影を行うとき、1枚の写真で納まり切らない場所がいくつもあります」と言う。
これまで、施工管理には少しずつずらして撮った写真をパソコンでつないでいたという杉山氏は、「μTOUGH-8000 工一郎」のパノラマ撮影機能を3号渋谷線と接続する高架橋部分で初めて試してみた。最初の一言は「おー、スゴイですね!」という驚きの声だった。


「最初の写真を撮った後、画面に出てくる印を合わせるようにカメラの向きを変えていけば2枚目、3枚目が自動的に撮影でき、その場で3枚つなぎの写真を作ってくれるとは。つなぎ目もきれいに処理されているのにビックリしました」と杉山氏。
「スリムでコンパクトなカメラですが、フラッシュのオン・オフや撮影した写真の確認などの操作をカメラの側面をたたくだけで行える『タップコントロール機能』が付いているので、軍手をはめたままでも楽に操作できます」と、杉山氏は軍手をしたままカメラを操作していた。
次に向かったのは、楕円形の斜路部分だ。真昼でも薄暗い斜路の内部には、いろいろな照明灯が輝いている。杉山氏は地上部分を撮影した直後に、この場所で1枚目を撮った。
2010年3月にオープンする大橋ジャンクションに、地下トンネルから入ったクルマは、長いらせん状の斜路をぐるぐると登った後、都心方向と郊外方向に分岐する。その間にドライバーが安全、円滑に車線を選べるようにと考え出されたのが、車線上に方向を表す赤または青のカラー舗装を施して誘導する方法だ。
設計を担当した首都高速道路東京建設局では、大橋ジャンクションの内部を忠実に3次元モデル化したドライビングシミュレーターによって赤と青の舗装パターンや色などをいろいろと変えて、実際さながらの走行シミュレーションを繰り返した。その結果を舗装パターンやカラー舗装の色調などに反映したという。
路面の一部に試験的に施された、赤と青のカラー舗装を杉山氏が最初に撮った写真は、ジャンクション内の照明灯の影響のため、やや黄色っぽい写真になってしまった。
そこで、白い紙を取り出して行ったのがワンタッチホワイトバランス設定の活用だ。いろいろな照明があっても、「μTOUGH-8000 工一郎」に対してこの機能によって「これが白い紙だ」という基準をインプットしておくと、撮影時に自然光の下で撮ったのと同じような色調に自動的に調整してくれるというものだ。
そして、2枚目の写真を撮ってみた。「今度はカラー舗装の赤と青の淡い色の感じも、よく出ていますね。日ごろのトンネル工事では、あまり色は意識しなくてもいいのですが、微妙な色調が大切となるカラー舗装やサインなどの施工管理では、活用できそうです」と杉山氏。


首都高速道路の中央環状線山手トンネルと高架である3号渋谷線の高低差約70mを2回転ループで接続する構造になっている。ループ内を安全、円滑に走行するため首都高としては初めての「色による走行支援対策」を実施する。2010年3月にオープンする。















