
運用管理コストを削減する
仮想PC型シンクライアントシステム
「VirtualPCCenter」
在宅勤務の基盤としても導入始まる
先の見えない景気低迷の中,ITコスト削減のニーズは高まるばかりだ。IT予算の中でも大きな比重を占めるのが運用管理コストである。運用管理の見直しを図るには,サーバーやストレージだけでなく,クライアント環境にも目を向ける必要がある。そこで注目したいのが,NECが提供する仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」(以下VPCC)だ。社員が利用するPC環境を,サーバー上に仮想PCとして統合集約することにより,運用管理の負荷を軽減できるのはもちろん,セキュリティ強化と利便性向上を実現。社内オフィスだけでなく在宅勤務環境の基盤としても有効だ。
2008年9月に発生した米国発の金融危機以降,世界経済は急激な落ち込みを見せ,日本の企業にも暗く重い影を投げかけている。危機的状況を乗り切るため,多くの企業はコスト削減を重要な経営課題とし,その取り組みを加速させている。こうした背景から注目されているのが,プラットフォームの最適化だ。複雑化したインフラ環境を整理し,レイヤごとに統合・最適化することでリソース活用レベルと運用効率を高め,TCO(total cost of ownership)を軽減する。これをクライアントのレイヤにも当てはめ,その手段として活用するのがシンクライアントシステムだ。これは昨今話題を集めているクラウドコンピューティングを実現する基盤としても注目を集めている。
高いセキュリティを実現するシンクライアントシステム

ITプラットフォーム
マーケティング本部
マネージャー
四宮 弘貴氏
運用管理者の頭を悩ませる,クライアントPCの管理。OSのパッチ適用やセキュリティソフトのアップデートなど,多くの企業では各個人で対応するか,管理者が巡回して一台一台作業するのが一般的だろう。これは管理者だけでなく,利用者にとっても負担がかかり,セキュリティ面でも非常に問題がある。特にモバイルPCなどは,紛失などによる情報漏えいのリスクも高く,場合によっては企業責任に発展する可能性もある。その点,シンクライアントシステムはこれらの課題を一度に解決できる,有効なソリューションだ。
シンクライアントシステムには,用途に合わせて,(1)学校のPC教室や3D-CADを使用する設計製造部門に適した「ネットブート型」,(2)受付窓口など特定業務に適した「画面転送型」,(3)OA用途をはじめ,業種を問わず幅広い活用に適した「仮想PC型」といったいくつかの方式がある。
NECは顧客の用途に合わせて3方式すべての提案を行っているが,なかでも,NECが推進しているのが仮想PC型だ。
モビリティのメリットを活かしてパンデミック対策にも

ITプラットフォーム
マーケティング本部
主任
畑本 仁氏
NECの仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」は,利用者ごとに異なるクライアント環境をサーバー上にそれぞれの仮想PCとして構築するシンクライアントシステムだ。データ処理はサーバー側の仮想PC上で実行され,その結果はネットワークを介してシンクライアント端末側のモニターに表示する仕組みである。「従来の環境をそのまま継承できるため,これまで使っているアプリケーションも使用でき,利用者の使い勝手も変わりません」とNECの四宮弘貴氏はその特長を語る。
しかも,1台のサーバーに50台以上もの仮想PCを集約できるので,OSやアプリケーションの設定・更新などを集中的に行える。万が一,トラブルが発生した場合も,担当者が現場に出向くことなく,サーバー側で対応すればよい。シンクライアント端末はハードディスクやファンなどを持たない構造のため,「故障が非常に少ないのが特長です。実際に1,000台以上導入されたお客様ですが,PC端末故障による端末交換が,これまで年間60台程度だったものが,シンクライアント導入後は6台になるなど,9割減になったという事例もあります。中長期的に運用した場合,運用管理工数の低減効果は相乗的に高まり,コスト削減効果もより大きなものになるでしょう」とNECの畑本仁氏は説明する。

ITプラットフォーム
マーケティング本部
商品企画チーム
高橋 昌也氏
モビリティ面のメリットも見逃せないポイントだ。「VPCCでは,仮想PCをどの社員に割り当てるかをセンター側で集中管理しており,社員が接続先を意識する必要はありません。ある社員が自分専用の仮想PCを使いたい場合には,VPCCは常に同じ仮想PCを割り当てます。会議室に移動して,そこのシンクライアント端末からログインしても,同じ仮想PCに接続し,いつものマイデスクトップで仕事をすることが可能です」(畑本氏)。
こうしたメリットを活かせば,在宅勤務などのテレワークにも応用できる。「テレワークを実現する場合,情報漏えいのリスクが懸念されますが,自宅や外出先からVPNを介して企業内のVPCCへ接続可能なので,どこからでもセキュアに自分の業務環境を呼び出せます。利便性とセキュリティという相反する課題も同時にクリアできます」と畑本氏は強調する。万が一の災害対策や新型インフルエンザのパンデミック対策など,従業員が出社できない場合の事業継続といった意味でも重要なインフラといえそうだ。

NECではシンクライアント端末として豊富なラインナップを用意している。なかでも今年5月に発売した「VersaPro シンクライアント US10Na」はモバイル性を重視した最新型のノート型シンクライアント端末(写真)。重さ約649g,最薄部15.8mmという業界トップクラスの軽量薄型デザインであり,VPNもサポートする。10.6型ワイド液晶を搭載し,通常のノートPCと同等の操作性を実現している。NECの高橋昌也氏は「外出先からでもモバイル環境でシンクライアントシステムを利用したいという要望がさらに高まっているため,今までのノートPCを大幅に上回る軽量な端末を製品化しました。外出や出張などの多いビジネスマンの方にとっては,これぞ待っていた!と言える,驚きの軽さです」と熱く語る。
4年間のTCO比較では40%の削減も可能に
シンクライアントシステムを導入することで,具体的にどれだけの効果が期待できるのだろうか。「端末故障頻度の少なさや,パッチ一括適用機能,新規PCの容易な作成など充実の運用管理機能により大幅なTCO削減が可能です。4年間のTCOを比べると従来のPCの6割程度に抑えることが可能といった試算結果もあります」と四宮氏はアピールする。
実際,導入企業の多くもそのメリットを実感している。端末は一般的なPCと同じ操作性を実現しながらも,点在する多数の拠点のクライアント環境をセンター側で集中管理することによって,運用管理工数の低減やセキュリティ対策の徹底を図ることができたと評価する声が多い。あるネット関連企業ではPCを個別に管理していた場合に比べ,VPCCの導入によって,管理コストを約3分の1に低減できる見込みだという。また,ある自治体では,40カ所以上もの拠点に都度,足を運ぶ回数が減り,大きく管理工数削減を実感できるという。金融業,製造業,自治体,ネット関連企業,教育分野など業界業種を問わず導入が広まっている実績が,まさしくそれを物語っている。
IT予算の中で運用管理コストは全体の8割を占めるといわれる。この部分をいかに低減し,同時に新たな戦略投資を増やしていけるかが,これからのITにとって重要な課題である。こうした複合的な課題を解消する上でVPCCは極めて有効なソリューションといえよう。



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