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IBM LEADERS'INSIGHT:事例紹介:フジタ製薬 社員満足の先にある顧客満足を目指し全社統合情報システムを導入 | 日経ビジネスオンラインSPECIAL

今年で創業80周年を迎える動物用医薬品の中堅メーカーであるフジタ製薬では、社員の負荷を軽減しながら生産性を向上させるため、昨年12月にERPパッケージを活用した全社統合情報システムを導入し、利益体質のさらなる強化を図った。自ら導入プロジェクトの先頭に立ち、社員とともに現場で検討を重ねた同社の藤田昌弘社長にIBCSの中山裕之氏が、経営者としての理念と戦略、ITの位置づけ、システム再構築を決断した背景などを聞いた。

社員一人ひとりの能力を引き出し利益体質の強化を図る

IBM ビジネスコンサルティング サービス
エンタープライズ・アプリケーション
執行役員 パートナー
中山 裕之氏

中山 今年5月の決算も増収増益ですね。この不況の中で勝ち続けられる秘訣について教えていただけますか。

藤田 中小企業ですから、社員一人ひとりの生産性が鍵になります。それを向上させるためには、誰がどのような仕事をしているかを経営者が常に把握し、それに対してリアルタイムに的確な判断を下していくことが必要です。そうすることで、すべての社員が120%の能力を発揮できるようになります。

対抗メーカーと自社との競争力の差はどこにあるかという分析も必要ですが、そこでも全社一丸となって、いかにして競争力のある製品を作り出し、利益を確保していくかを考え、追求しています。そうした体制づくりが成果につながったと思っています。

中山 社員の能力を引き出して利益体質を強化させてきたことが好業績の秘訣というわけですね。では、藤田社長はどのようなリーダーシップを心がけていますか。

藤田 「社員を想う心」を大切にしています。社員が満足していなければお客様を満足させることはできません。社員が報酬、働く環境、会社に対するロイヤリティーなど、すべてに対して満足し、生きがいを見つけられる職場を提供していくことが、私たち経営者の役割だと考えています。

社員の負荷軽減と生産性向上のため全社のシステム再構築を決断

フジタ製薬
代表取締役 社長
藤田 昌弘氏

中山 好業績を続ける中で、全社統合情報システムの再構築を決断されました。御社にとっては決して小さな投資ではないと思いますが、決断の理由は何だったのでしょうか。

藤田 社員一人あたりの労働時間が長くなり、負荷が限界に来ていると判断したのが一番の理由です。経営者として、社員が残業や休日出勤をせずに仕事を終わらせ、余暇を楽しめるような環境を提供したいのですが、それには更に業務の生産性を向上する必要があります。一方で現状の道具では今以上の生産性を期待することが難しくなってきました。そのためには全社システムを再構築し、新たな道具を社員に提供する必要があると考え、決断しました。

中山 日本の多くの中小企業は未だに手作りのシステムを使っていますが、今回のシステム再構築ではパッケージを採用されました。

藤田 次のシステムではそれぞれの部門を連携させ、かつ一貫性を持たせたいと考えました。そのようなシステムをいちから開発するのは相当なコストがかかります。これは、我々のような中小企業にとっては過剰投資になる可能性もあり、リスクが大きすぎます。適正な投資であることがなにより重要であると考えた結果、短期間で容易に導入できるERPパッケージ製品を選択しました。

中山 導入に際して、週次のプロジェクト会議に藤田社長が自ら出席されていることからも、社長の熱い想いを感じました。

藤田 経営者は、事業に対して夢を描いています。ITはその夢を実現するための道具であり、その道具の使い道を決めるプロジェクト会議を疎かにするわけにはいきません。自分が理想としている経営が行われるか、常に現場で確認しなければ結果に責任を持てないからです。

中山 新システムではどのような点を重視されましたか。

藤田 最も重視したのは、正確な販売計画を策定して製造計画と連動させることです。精度の高い販売計画に基づいて調達と製造を行うことにより、品切れがなくなり、過剰在庫も少なくなるため、資本回転率が上がります。

もうひとつ、標準原価を導入し、実際原価との差異を明らかにすることも挙げられます。原価は商品の競争力であり、原価の可視化は利益の確保につながります。リアルタイムで原価の状況を把握し、販売価格や利益とのバランスをとることによって常に競争力を維持できるという好循環が生まれます。

全社にわたって理解が深まり他部署の社員同士が議論を展開

中山 社員の方はどのようにシステムを活用されていますか。

藤田 社員にどうデータを見せて活用させるかといった工夫はこれからです。今回の導入にあたっては現場の反発もありましたが追加開発を極力行わない方針でプロジェクトを遂行しました。当然現時点では不便な点もあると思いますが、今後システムを使いこなすことでわれわれに本当に必要な機能が自ずと見えてくると考えます。それまでに社内でスキルを積み、自分たちで追加開発ができるようにしておき、今後の環境の変化に対応していきたいと考えています。

中山 システムを導入したことでどのような変化がありましたか。

藤田 ERPによって経営状況をピンポイントで把握できるようになりました。経常利益も昨年比で10%向上し、利益体質も強化されています。

各部門のミドルマネージャーを導入プロジェクトに参加させたことも良かったと思います。私の想いを伝えるいい機会になりましたし、他部門の業務を理解することにもつながりました。OJTでもあるプロジェクトによって、研修以上に会社全体への理解が深まりましたね。先日もシステムの担当者と製造の担当者がERPの原価データをベースに議論していました。原価のデータが可視化されたことにより、今まで以上に仕事に対して妥協しない姿勢が感じられるようになりましたね。

中山 最後に、パートナーとしてIBMに求めるものをお聞かせください。

藤田 もう30年以上のお付き合いになりますが、今回のシステム構築もIBMのサポートなしには考えられませんでした。それに、IBM自らの変革のノウハウが、特にこのような経営環境においては非常に参考になっています。ですから、今後はもっと中小企業に目を向けてほしいと思いますね。日本の底力を支えているのは中小企業です。IBMのサポートによって日本が元気になるように、ぜひ豊富なノウハウを提供してください。

USER PROFILE

フジタ製薬株式会社
動物用医薬品の中堅メーカー。東京・目黒に本社機能、八王子市に営業・生産拠点を構え、犬フィラリア病の発症原因となるミクロフィラリアの駆虫薬といった動物薬の製造・販売を基軸にビジネスを展開。創業は1930年(昭和5年)1月で、当初は軍用薬、戦後は赤チンなどを製造・販売。「基本(コア)ビジネスを大切にする」「執行する力を大切にする」「スキルの向上=報酬の還元」という3つの原則をもとに、安全で高品質な製品を提供。企業変革を実現できる人材育成にも注力している。
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