Linuxをはじめとするオープンソースソフトウエア(OSS)をベースとしたシステム構築が,企業の間に広く浸透してきている。OSだけでなくWebサーバーやデータベースなどにもOSSを採用する動きが活発になっており,企業の基幹業務のインフラをOSSが支えているといったケースも今では珍しくない。そうしたなかでレッドハットは,OSSのアプリケーションサーバー製品「JBoss」を事業の柱の一つとして力を入れており,コスト削減をはじめとする商用OSS製品ならではの様々なメリットをユーザーに提案している。
レッドハット株式会社
JBoss事業本部
事業部長
岡下 浩明 氏
企業システムで活用が進むOSSの中で注目度を高めているのが,ミドルウエアの「JBoss」だ。JBossというのは,J2EEアプリケーションサーバーを中心としたソフトウエアプロダクトの総称である。その誕生は意外に古く,1999年にさかのぼる。1999年といえば,現在Oracleが提供している「WebLogic Application Server」や,IBMの「WebSphere Application Server」といった商用のJ2EEアプリケーションサーバーの初版がリリースされたのとほぼ同時期である。「JBossはOSSですが,すでに10年以上の歴史を持っており,技術的に十分成熟した製品といえます」と,レッドハットJBoss事業本部 事業部長の岡下浩明氏は語る。
商用Linuxベンダーとして知られるレッドハットは2006年に,JBossを買収した。買収後にJBossの業務を引き継いでOSSプロジェクトの運営を行う一方,2007年にはJBossの各種コンポーネントを企業向けにパッケージする形で「JBoss Enterprise Middleware」製品としてラインアップし,提供を開始した。「コミュニティで開発が進められているJBossの安定したバージョンを選択して再構成し,企業でも安心して利用できる製品として提供しています」と,レッドハットのJBossコンサルタントの山本裕介氏は説明する。具体的には,同社が各種コンポーネントの組み合わせや品質を検証し,企業における使用を保証できるものとして提供している。
アプリケーションサーバー製品のラインアップとしては,企業向けのフル機能を備える「JBoss Enterprise Application Platform」(JBoss EAP),JBoss EAPのサブセットとなる「JBoss Enterprise Web Platform」,さらにApacheとTomcatで構成されるWebサーバー製品「JBoss Enterprise Web Server」が用意されており,自社の業務に合ったものを選択できるようになっている。
アプリケーションサーバー製品のほかにも,Webポータル基盤「JBoss Enterprise Portal Platform」やSOA基盤「JBoss Enterprise SOA Platform」,ビジネスルール管理機能を提供する「JBoss Enterprise BRMS」といった製品がそろっている
レッドハット株式会社
JBossコンサルタント
山本 裕介 氏
JBossミドルウエアはOSSのためライセンス料などは発生しないが,企業で使用するなら,トータルかつ高品質なサポートサービスが年間契約で提供される「サブスクリプション」契約が必要だろう。この中にはパッチやアップデート,バージョンアップ版の提供,導入・運用時における技術的な問い合わせへの対応,障害発生時の診断や問題分析,バグの修正などが含まれる。さらにオブジェクト/リレーショナル(O/R)マッピングツール「Hibernate」や,Webアプリケーションの開発生産性向上に貢献する「JBoss Seam」といった各種フレームワークに関するサポートも含まれている。ライセンス料が必要な他社製品よりも,トータルコストは安くなる計算だ。
クラウド・コンピューティングの発展によりユーザー企業が目指している“持たざるIT”を実現する手段として,レッドハットが提供するJBossミドルウエアへの移行は,魅力的な選択肢だといえる。アプリケーションサーバー製品が急速に市場に普及した時期に導入された「WebLogic Application Server 8.1〜9.x」や,「WebSphere Application Server 5.x〜6.x」といった製品が,ちょうどサポート切れの時期を迎えている。加えて,Javaの実行環境としても主流であった,JDK1.4やJDK5も既にサポートが切れている。今後セキュリティ脆弱性や重大なバグが発覚してもパッチは一般公開されない状態となっており,サポートやパッチ提供を受けるには別途契約が必要となる。これらの製品を利用しているユーザーにとっては,最新バージョンに移行するか否かが重要なテーマとして浮上しているところだろう。
JBoss EAPの最新バージョンとなる5.0が2009年11月にリリースされたことも,ユーザーがJBossに移行する追い風になるはずだ。新バージョンの5.0は,Java EE 5の正式認定となっているほか,JBossの柔軟性を実現してきたカーネルを刷新した「JBoss Microcontainer 2.0」を装備してカスタマイズが従来に増して容易になっている点が注目される。また,Red Hat Enterprise Linuxで標準搭載,サポートされているOpenJDK6にも対応している。企業にとって,OSからJDK,アプリケーションサーバーまで,オープンソース製品を技術サポート付きで利用できる環境が整ったことになる。JBoss EAP 5.0は,サポート期間も標準で7年間提供される。
OSS製品の導入においては,特定の商用製品の採用によるIT資産のベンダーロックインを避けたいという要求が一般的だ。それに加えて,仮想化技術によってサーバーの集約が進む今後のシステム環境を見据えると,JBossの採用はさらに大きなコストメリットを享受できるという。仮想化によるサーバー集約は,複数コアの採用によるCPUパワーの向上を前提としているからだ。一般的なライセンスモデルでは,CPUのコアに応じてライセンス数が増える形となるため,仮想環境によってサーバー数を減らすことができたとしても,ソフトウエアのコストはコア数の合計に依存してしまう。岡下氏は,「レッドハットのサブスクリプションモデルでは,物理的なCPU数に対して課金されるので,近年のコア集積度の高いサーバーではそのメリットを享受して大幅なコストダウンが図れます」という。
アプリケーションサーバーを移行する場合に,既存のアプリケーション資産の動作に影響があるのではないかという懸念の声も聞かれる。これに対して山本氏は,「多くのお客様はアプリケーションサーバー固有のAPIを利用せず,Java EEに準拠したAPIのみを使っているため,スムーズに移行できます。また,他社製アプリケーションサーバー固有の機能を利用している場合も,ほとんどの場合JBossにも対応する機能がありますので,移行に関する心配はいりません」と強調する。
レッドハットは現在,商用のアプリケーションサーバー製品からJBossへの移行を検討しているユーザー企業を支援するための「JBossマイグレーションアセスメント」と呼ばれるサービスを無料で提供している。Web上で利用しているアプリケーションサーバーの構成などに関する簡単な質問に答えれば,同社のコンサルタントが移行方法や課題などを回答するものだ。このサービスを利用することでユーザー企業は,JBossへの最適な移行パスやリスクを明確にしながら,安心して移行の取り組みを進めることができる。このほかレッドハットは,特にWebLogic ServerからJBossへの移行に向けたガイダンスを行うための以下のような資料も用意している。
「このように,JBossはすぐに企業に導入できる環境が整っていますぜひ,より多くの企業の皆様にその多大なメリットを享受していただきたいと考えています」。最後に岡下氏は改めて,JBossへの移行・導入をアピールした。
- JBoss Enterprise Middleware パンフレット
- 企業向けに最適化されたオープンソースの統合ミドルウエア製品「JBoss Enterprise Middleware」の概要や,シリーズを構成する各製品の特徴などをまとめたもの。初期コストおよび維持コストが3年間で80%も削減可能という同製品を導入するコストメリットや,安心なサポートサービスなどにも言及している。

- WebLogic Server からJBossへの移行ガイド 移行のための10のTips
- 「ベンダー固有の実装を確認する」「デプロイメント方式の変更」など,WebLogic ServerからJBoss EAPへ移行する際に必要な典型的な10のTipsを紹介した資料。既存のアプリケーションの移行に関する技術情報を得られる。

- 導入事例:SBIトレードウィンテック株式会社
- 金融関連業務コンピュータシステムの開発やコンサルティングを行うSBIトレードウィンテックは,外国為替証拠金取引(FX)システムのリニューアルに合わせてJBoss EAPを採用した。それにより,大幅なコスト低減や開発効率向上が実現した。柔軟な開発環境も高く評価されている。


- セールスオペレーションセンター
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