
販売事業本部 審議役
経営品質協議会
コミュニケーションセンター
センター長
田村 均 氏
今回のセミナーは、リコーの田村均氏による「経営戦略としてのCS──顧客満足ってどうやるの?」と題する基調講演で幕を開けた。冒頭で田村氏は、「お客様第一主義」と「CS」の違いを説明した。具体的には、企業にとってお客様第一主義は当然であり、そのうえで経営戦略を立てる。その経営戦略の中核となるのがCSだという。
CSが経営戦略の中核になる理由として、「環境の変化」を挙げた。高度経済成長期のように作れば売れる時代ではない「モノ余り」の現在、「売り上げを増やすには顧客との関係を強化し、顧客から選ばれる企業にならなければなりません」と、田村氏は強調した。
そのうえで顧客から選ばれる企業のタイプとして、(1)新しい製品・サービスを次々に投入できる「製品の優位性」を持つこと、(2)利便性の高い製品・サービスで差異化する「業務の卓越性」を持つこと、(3)製品・サービスは他社と類似していても、顧客との信頼関係を構築している「顧客親密性」を持つこと──という3つを例示した(図1)。「自社がどのタイプなのかの位置付けを明確にして、全社レベルで目標を達成するための戦略がCS向上になります」(田村氏)というわけだ。

| 1.プロダクト・リーダーシップ | どこにも負けない優れた製品を持っていること |
| 2.オペレーショナル・エクセレンス | 業務プロセスにおいて卓越性をもっていること |
| 3.カスタマー・インテマシー | 顧客との信頼性を向上させていること |
こうした戦略を作る際には、すべての社員を巻き込む必要がある。そのためには、「健全な組織作りがポイントになります」と、田村氏は述べる。健全な組織とは、目に見えない企業風土といったものである。またCSはP/L(損益計算書)の視点ではなく、B/S(貸借対照表)の視点でとらえることが重要だという。CSの向上にはB/Sに仕分けされる企業の資産、つまり人材が重要になるためだ。
CS向上の具体策として田村氏は、社員や顧客とのコミュニケーション・システムの改善を挙げた。「CS向上策は顧客視点の本来業務と別物ではありません。社員や顧客から共感を得られる経営理念と事業方針を持つことが重要です」と述べ、基調講演を締めくくった。

代表取締役社長
林 純一 氏
続いて講演したテレマーケティング ジャパンの林純一氏は、「コンタクトポイントが生み出す顧客満足」をテーマに、自らが経験した事例を交えながら具体的な手法を解説した。
まず、コンタクトセンターなどの顧客窓口の役割の変化について概観した。以前は顧客からのクレーム対応が主な役割でコストマネジメントが重視されていた顧客窓口も、現在ではCS向上の最前線基地という位置付けになっているという。しかし今後、人口が減少する国内において市場が成熟するなか、「既存顧客のロイヤリティをいかに高め、いかにライフタイムバリュー(LTV)を上げるかが、顧客コンタクトポイントの役割になります。そのため指標は、投資対効果(ROI)がクローズアップされていきます」と、林氏は言う(図2)。

| 市場 | 事業が抱える課題 | 顧客窓口の役割 | 指標 |
|---|---|---|---|
| 成熟期 | 顧客のLTVが低い | ロイヤリティを高める | ROI |
| 成長期 | 付加価値が不足 | 顧客満足度を上げる | CSI |
| 投入期 | 本質価値に不備 | クレーム対応をこなす | COST |
ただしCSを向上させるといっても、顧客ごとに期待は異なる。そこで「顧客の期待を測り、期待と満足度を関連付けて『見える化』することが重要になります」と、林氏は指摘した。そのうえで過去に自らが経験した「進研ゼミ」の事業を例に、顧客の期待に沿える組織や商品作り、既存顧客を維持するための取り組みを説明した。
つまり、顧客の期待値を高めることでロイヤリティも高まる。その結果、商品・サービスの継続購入につながる。講演の最後に林氏は、「ロイヤリティを高めるには、顧客との接触機会を多様化し、その頻度を増やしていく必要があります」と強調した。













