
内 田:学校では机上の勉強と、実験室でビーカーと試験管で実験することが多いので、机の上に載っかるサイズの化学のことなら、学生はみんなよく理解できると思います。しかし、工場規模の化学については、自分の経験から考えても、とても想像できないと思いますよ。少なくとも化学を専攻している学生には、化学工場を一度は見せたいですね。企業の安全に対する徹底した取り組みも、学生たちの参考になるでしょう。
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少し話が変わりますが、ひとつどうしても伺いたいことがあります。 |
| 島村 |
何でしょうか? |
| 内田 |
AGC化学品カンパニーが、フッ素化合物に取り組み始めたのは、電気分解工程で苛性ソーダとともに生成される塩素を無駄にせず、新たな商品に活用しようとしたからだと伺いました。その応用例は、必ずしもフッ素化合物でなくてもよかったのではないでしょうか。なぜ、フッ素化合物なんですか? |
| 島村 |
なぜなのか、というご質問に対する明確な答えになるかどうかわかりませんが、こういった事情があります。その頃、苛性ソーダを製造しているメーカーの多くは、塩素の活用先を模索していました。そしてその大半が、塩素の有効利用のために、塩ビ、つまり塩化ビニールを選びました。内田さんは、水色のプラスチックのバケツをご存じですか? |
| 内田 |
はい、知っています。昔はよくゴミ収集場に並んでいましたね。 |
| 島村 |
あれは塩ビ製なんです。東京オリンピック開催を前に、汚かった東京の街をきれいにしようと一気に普及しました。 |
| 内田 |
そうだったんですか。 |
| 島村 |
しかし私たちはそちらへは行かなかったんですね。千葉工場では天然ガスに恵まれていたこともあって、それと塩素を組み合わせてクロロメタンを作り、そして、蛍石から生成されるフッ酸と組み合わせる。それが、フッ素化合物の出発点になっています。 |
| 内田 |
とても合理的な、できるだけ無駄を出さない考え方に基づいているんですね。 |
| 島村 |
もともとはなるべく無駄のない製造工程を確立することが目的でしたが、そうやって出き上がった製造工程が、結果として、資源を有効に活用し、環境に負荷をかけない「ケミカル・チェーン」となったのです。 |
| 内田 |
家庭でも、せっかく買った食材は使い切らないともったいないからと料理を工夫すれば、ゴミも減りますものね。「無駄を出さないで使い切る」という点で、化学と家庭は近い存在であることをみなさんに理解していただけるよう、私もがんばってお手伝いをしたいと思います。 |