





「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」ことを目指す武田薬品工業。世界的製薬企業である同社が創製した医薬品は、現在、世界の約90カ国で販売されているが、海外事業のさらなる拡大のため、様々な計画を推進中だ。
具体的には、2000年以降、グローバルでの新会社設立や販売子会社統合などを進めるとともに、シリックス社、パラダイム・セラピューティック社、ミレニアム・ファーマシューティカルズ社などの買収・統合など、研究開発関連会社の拡充を推進。さらに2009年3月には、世界的製薬企業創生に向けたグローバル運営体制の方針を打ち出し、「研究開発統括職」「海外販売統括職」「経営管理統括職」を設置するなど、組織体制を再編している。
このようにグローバル戦略を推進する一方、同社には解決しなければならない課題もあった。それは、コミュニケーションの質とスピードをいかに向上するかという問題である。
物理的に離れた場所におり、対面での会議を緊密に行うのが難しい相手といかにコミュニケーションを行うかは、グローバルビジネスに挑む企業が必ず直面する壁といえる。ビジネスを取り巻く状況が世界規模でめまぐるしく変化する現在、コミュニケーションロスや情報伝達のミスは、意思決定、ひいては企業経営に多大な影響を与えるからだ。電話やメール、最近ではビデオ会議など、コミュニケーションをサポートする技術も増えてはいるが、人は言葉だけでなく、小さな表情や声音の変化、ふとした仕草からも様々なメッセージを読み取っており、結果、どんな道具を使っても対面以上に正確に情報を伝え、深い議論を行うのは難しい。

このような課題を解決するために武田薬品工業が導入したのが、「シスコ テレプレゼンス」である。
テレプレゼンスとは、ディスプレイに等身大の相手を高解像度(フルハイビジョン)で映し出し、遅延なく音響を伝達することで、仮想的に対面での会議を実現する革新的なビデオ会議システムのこと。些細な表情の変化、身振り・手振りといった動きまでを相手に伝えるだけでなく、相手の座っている方向からの音声の再生や、同じ場所にいるかのように思わせるテーブルや室内背景の設計などによって、その場の臨場感を忠実に再現する。
利用方法も極めて容易で、ボタンを押すだけですぐに会議を開始することが可能。同社はこのテレプレゼンスを、東京、大阪、シカゴ、ボストン、ロンドンの計5拠点に導入することにした。

導入後、同社では、テレプレゼンスを様々な会議に利用している。
まず会社幹部のミーティングに利用。重要な施策についてのディスカッションをタイムリーに行えるようになった。その後は実務ベースの会議にも利用範囲を拡大し、今では、ほとんど毎日利用されるようになっている。
「会議の持つ“空気感”までを共有でき、遠隔会議の質が大きく変わりました。利用者からは『会議に集中できる』『従来のビデオ会議は1時間が限界だったが、長時間の会議に用いても支障がない』といった声が上がってきています」と武田薬品工業の沼田 智氏は説明する。
遠隔拠点間での議論や情報共有は従来も行ってきたが、テレプレゼンス導入前と後では、その“質”に大きな差があるという。
テレプレゼンスによって場所の制約をなくし、緊密なコミュニケーションを実現した同社だが、テレプレゼンスの導入メリットはこれだけではない。海外への出張は、時間だけでなく多大なコスト負担も伴うが、テレプレゼンスを活用すれば、海外への出張回数を大幅に削減でき、疲労やコストの削減にもつながるのである。また、海外渡航を行わずともコミュニケーションを行えるという点はパンデミック(感染症の世界的流行)対策の観点からも非常に有効だ。
このように、同社はテレプレゼンスを活用することで、より緊密なコミュニケーションを実現。グローバルな連携を強化し、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」という経営理念のもと、世界的製薬企業としてさらなる挑戦を続ける構えだ。日本を代表する製薬企業として、同社にかかる期待は大きい。



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