

都市開発システム社は、今年創業100周年を迎えた日立製作所の中で、エレベーターなど昇降機事業を基盤に、セキュリティー、省エネルギーなど都市開発ソリューションを提供するカンパニーだ。同社は今年4月、エレベーター研究塔「G1TOWER」を完成させた。世界一の高さ(※)を誇るこの研究塔によって、どんな未来都市の開発が可能になるのか、都市開発システム社の高橋秀明社長に聞いた。
※2010年4月現在。日立製作所調べ
――4月に竣工したG1TOWERは、どんな特長を持っているのですか。
茨城県ひたちなか市の水戸統括本部の敷地内に建つG1TOWERは高さ213mでエレベーター研究塔としては世界一の高さです。分速1080m の世界最高速となる超高速エレベーターの実証実験など、複数の実験を並行して行える、最新鋭の設備を有しています(※)。
――今、なぜこのようなエレベーター研究塔が必要だったのでしょうか。
日本はもちろん、中国の上海や中東のドバイなど、世界中で建築物の高層化、大規模化が進んでいます。高層オフィスビルや大規模複合施設などでは、一度に多くの人が効率よく、安全かつ快適に移動できるインフラが重要になってきています。これを支えるためには高い技術が必要で、その開発・実証実験を行う環境が必要となります。
――効率と安全性について詳しくご説明いただけますか。
例えば、高さ500mを超えるようなビル内を効率よく、たくさんの人を運ぶためには、分速1000mを超える超高速エレベーターや、70人くらいの人を一度に運ぶことができる高速大容量エレベーターが必要となってきます。また、より効率的に目的階に着ける運行管理技術も進化させねばなりません。安全面では、より多くの人が乗り、より高速で動くようになると確実に減速し停止させるための制動技術が重要になります。この研究塔ではエレベーターを実走行させることで、シミュレーションだけでは想定しきれない微細なデータを取ることができ、より精度の高い開発・検証が可能となります。
――この研究塔では、ほかにどのような研究が行われるのですか。
高速走行する際の乗りかご内の気圧変化や、揺れ、騒音などを軽減・削減する技術を追求していきます。また、エレベーターは毎日使うものですから、エネルギー消費量をいかに少なくするかが大切です。モーターの省エネ化や小型・軽量化、軽量で丈夫な乗りかごなど環境に配慮したモノづくりも重要な研究テーマとなります。
――日立は常にエレベーター開発をリードしてきたと聞いています。
エレベーターの研究は1920 年にスタートしました。日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」にエレベーターを納入する際は、高さ90mの研究塔を建設して実証実験を繰り返し、国内では前人未到の分速300m の超高速エレベーターを完成させました。この経験と技術を引き継ぎ磨き上げることで、世界トップレベルの超高速・大容量エレベーターを生み出してきました。
――海外での研究開発体制についてはどうお考えですか。
今年の秋には、上海の生産拠点で、中国一の高さ(※)172mの上海研究塔が完成予定です。これは、分速600mクラスの超高速エレベーターを中国市場向けに開発するための研究塔です。このほか広州、シンガポールにも研究開発拠点があり、4カ所で役割分担をしながらコラボレーションを進め、日立のエレベーターをグローバルNo.1に育てて行きます。
――次の100 年に向けて意義深い一歩を踏み出せそうですね。
約半世紀前の霞が関のプロジェクトを契機として、私たちはトップレベルの技術開発を軌道に乗せて今日に至りました。これから先、都市の建築物はますます超高層化、巨大化が進むと思われます。なぜならば超高層建築は緑化による環境保全機能と、働き住まうという都市機能の共存を可能にする、ひとつの答えでもあるからです。これからの都市建築におけるインフラはどうあるべきか。私たちはエレベーターをはじめエスカレーター、動く歩道など、持てる技術を最大限に生かしながら、常に先を見すえた開発に挑戦し続けていきたいと考えています。
※2010年4月現在。日立製作所調べ
【G1TOWER】 URL: http://www.hitachi.co.jp/products/urban/company/g1tower/
※高橋秀明社長の「高」は正しくは 「髙」ですが、ご覧の環境によって表示されないことがあるため、文中では「高」を使用しております。
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