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GEO Design Shanghai
上海技奥工業設計有限公司

今年設立20周年を迎えた工業デザイン事務所、GEO。東京を本拠に、台湾や韓国の企業とも数多くのプロジェクトを重ねてきた。2006年に上海に現地法人を設立。デザイナー自身が「仮説」を立て、調査を行い、市場にマッチするデザインを提案する手法を武器に、中国大手メーカーの信頼を勝ち得てきた。董事長の田中浩昭氏は、中国のデザインビジネスにおいては、売れる商品をデザインしたという実績作りが何よりも大事だと語る。
GEO design Shanghai董事長の田中浩昭氏
経理の周為民氏

質問1:中国ではデザインの重要性や有効性が認識されていますか?

田中 4年前に上海に現地法人を設立したときに驚いたのは、中国の大手メーカーから「プロダクト・デザイン・アイ デンティティーを導入したいので手伝ってくれないか」という依頼が多かったことです。

それまでは無計画にデザイン開発を行い、製品の独自性、ひいては企業そのもののアイデンティティーを構築できない
でいた。しかし、気が付いて見ると自分たちの製品が中小メーカーに模倣され、コスト競争に巻き込まれている。そこ
から脱却するために従来の製品ラインナップをどう見直していけばよいか、模倣されないデザインを目指すためにどの
ような計画を立てればよいのか、指導して欲しいというのです。

中国の大手メーカーのトップの多くは海外留学の経験があり、デザインに対して非常に鋭い選択眼を持っています。そ れぞれ欧米に大きな市場を持ち、トレンドにも敏感で、彼らが要求するデザインのレベルは年を追うごとに高まってい ます。

  国際展示会などで中国の製品が海外製品に似ていると指摘されて問題になるケースがいまだに多数見受けられま す。ですから、輸出をメーンにしている企業はもちろん、国内市場が主戦場の企業の間でも、オリジナルデザインが必 要だという意識は高まってきていると思います。中国政府もこれらの問題を認識しており、デザイン産業の育成に力を 入れています。

質問2:御社の中国での実績を教えてください。

田中 私たちが得意とする領域は、中国の大手メーカーが新しい市場に進出する際のプランニングとデザインです。新
しい市場を開拓し需要を生み出す力のある製品を開発するには、仮説を立てて検証するプロセスが必要です。それまで
中国にはそのようなデザインサービスを提供できるデザイン事務所がほとんどありませんでした。

もう一つの得意分野は、欧米向けのODM(Original Design Manufacture)ビジネスです。私たちのクライアント
には世界有数の白物家電メーカーがあります。そのメーカーは、世界中の市場の、それぞれのバイヤーに向けて、コン
セプトが異なる製品を提案しなければなりません。したがって、デザイン提案に幅を持たせるスキルを持ったデザイン
事務所でなければ対応できません。

また、現在は中国有数のテレビメーカーへのユニバーサルデザインの導入を行っています。まだ詳細は明かせません
が、単なるリモコンやGUIの視認性や使いやすいさの向上にとどまらず、中国市場、とりわけその企業が抱えている
ユーザーの特性に合った、今までにないユニバーサルな機能を盛り込んだデザイン計画を行っています。

この製品は来年市場に出る予定ですが、おそらく中国では初めての試みで話題性があるため、この企業の収益に大きく
貢献できるものと期待しています。中国でデザインビジネスを続けるには、デザインしたものが売れて、クライアント
に利益をもたらしたという実績を重ねていくことが最も重要です。

中国ナンバーワンのキッチン用品メーカー、FOTILEの「2 in 1」(2006年)。もともと電子レンジとオーブ ンを別々にデザインすることを依頼されたが、西洋料理を家庭で作る主婦が増えているトレンドをとらえ、 電子レンジとオーブンを上下に配置して一体化することで、効率よく調理ができる全く新しいコンセプトを 提案した

質問3:デザインのマーケットとしての中国の可能性や将来性をどう見ていますか?

 中国のデザイン需要は今後ますます増加すると思います。生活水準向上と歩調をあわせるように、中国の消費者のデザイン
への関心も高まっています。性能や機能を満たすだけではもはや満足できなくなってきています。

田中 中国は今のところある意味でイメージ先行型の市場と言えます。欧米の生活スタイルに対する憧れが強く、街の
キオスクでは数多くのファッション誌やインテリア誌が売られています。ヨーロッパのインテリアや日本の化粧品、フ
ァッションに対する情報ニーズは旺盛です。日本ブランドに対する信頼度は非常に高く、街中を走っているトラックに
はカタカナ名の食品や飲料のポップが多く見受けられます。

家電製品で言えば、白物系、特に洗濯機や電子レンジなどは日本のものがプレミアム市場で好調です。日本製品の中
国市場でのポテンシャルは、導入するデザイン計画を間違えさえしなければ高いと思います。

最近は中国市場に進出した日系企業による「デザインの現地調達」が増えてきています。日本製品の特色である緻密
で繊細なディテールを表現しながら中国市場向けにデザインをアレンジするのは、容易な仕事ではありません。日本企
業のデザインに対する要求レベルは中国企業に比べるとはるかに高く、依頼内容や細かなニュアンスを理解するために綿
密な意思疎通が必要になります。それは中国のデザイン事務所にとってはまだまだハードルが高く、私たちのような日
系デザイン事務所が有利です。

中国市場の変化や発展のスピードは想像以上に速く、単なる製造拠点ではなく、開発拠点としての中国の重要性も高
まっています。中国発の世界戦略を描く企業がますます増えるでしょうし、そこにはデザインサービスが不可欠です。

大手家電メーカーCUORIのスチーム・アイロン(2007-2008)。市場ごとにコンセプトの異なるデザインを提
供している

質問4:上海を拠点にするメリットとデメリットを教えてください。

 上海は100年以上前から西洋の文化をうまく融合した国際的な街で、デザイナーがトレンドを肌で感じるにはとて
も適したところです。また、金型やモックアップ製作などデザイン関連の産業も上海周辺に発達しています。デメリッ
トとしては住宅価格が高いことが挙げられます。

田中 消費の中心、ビジネスの中心とされる上海は、中国全土から多数の人間が流入してくるため、生活者のトレンド
を実態調査する上ではとても有効な場所です。また、中国文化とヨーロッパ文化が混在しており、今後のデザインのヒ
ントになることが多いと感じています。デメリットは労働賃金が高いことです。

上海近郊の汾湖にデザイナーの夢を実現させるような設計産業園ができるということなら、是非一度おとずれてみたいですね。

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気が高まっている