電子ピアノ、シンセサイザーなど数々のヒット商品を生み出してきた大手電子楽器メーカーのローランドは、IBM Lotus Notesの長年のユーザーでもある。海外の売上比率が高い同社にとっては、海外のグループ企業も含めた情報共有の仕組みが欠かせない。今年2月にはIBM Lotus Quickrを、7月にはIBM Connectionsを導入し、全世界に製品販売を展開しているグローバル企業として、海外の関連会社との間でのソーシャルネットワークを活用しようという取り組みを始めている。クイズ番組などで活躍するタレントの三浦奈保子さんが同社の取り組みとその狙いについて話を聞いた。
レポーター
三浦奈保子
三浦早くからLotus Notes/Domino(以下、Lotus Notes)を導入し、情報共有を進めてきたということですが、まずはこれまでの経緯について教えてください。
原当社の得意分野である電子楽器の中身はコンピュータです。このため、インターネットやITの活用について着目している社員は当時から多く、電子メールも1986年には使っていました。1990年には暗黙知を蓄積するためのナレッジベースも独自に構築していました。
知識を水平に展開する初期の試みだったのですが、当時の技術では検索機能が弱くて目的の情報が探し出せなかったり、海外に展開しようとすると文字コードがネックになったりと不都合な点が多く、グローバルな情報共有ができなかったのです。そこで1998年にIT部門を設立するとともに、全社レベルでの情報共有を進めるためにLotus Notesを導入しました。
三浦Lotus Notesはどんなことに利用してきたのでしょうか。
原メール、社内の掲示板、ワークフローの3つが主な使い道ですね。今では申請書など多くの社内書式がLotus Notesのワークフローで処理されていますし、業務の情報も蓄積して、ほかの人も利用できるようになっています。
三浦かなり使い込んでいるんですね。さらに今回、Lotusソフトウェア製品であるIBM Lotus Quickrを新たに導入されたようですね。
原Lotus Notesの利用は国内に留まります。そこで、海外拠点も含めた情報や知識の水平展開を支援する環境として「RHEA(Roland Horizontal Enterprise Agora)」という場(Agoraはギリシャ語で広場を意味します)を構築することにしたのです。Lotus Notesは、形になる前の仕事よりも、はっきりと形になっている仕事を得意としています。そこで形になる前の段階の発想やアイデアを互いに共有し、仕事に活かせるようなSNS的なソリューションを導入できないかと考えたのです。2009年の秋のことです。ちょうどそのころ、IBMのセミナーでIBM Lotus Quickr(以下、Lotus Quickr)とIBM Connectionsを知りました。これこそ探しているソリューションではないかと思い、導入を検討し始めました。
海外のグループ企業も含めた展開が欠かせないローランドでは、今年2月にネットワーク型のコラボレーション・ツール「Lotus Quickr」を、7月には企業向けのソーシャル・ソフトウェア「IBM Connections」を導入し、社員間の情報共有化による仕事のレベルアップを支援している。 [画像のクリックで拡大表示]
ローランド株式会社
情報システム部長
原 浩二氏
三浦今年2月に、まずLotus Quickrを導入されたということですが、その理由をお聞かせください。
原形になっていないものを仕事に生かすといってもいきなりは難しいですから、プロジェクトという形態を管理できるLotus Quickrのほうが受け入れられやすいと考えました。最初に取り組んだのが新製品の発表プロジェクトで、販売業務に携わる営業・マーケティング部門を中心に200人弱が利用を開始しました。業務の進行管理はすべてLotus Quickr上で行い、営業展開するうえで必要な情報はここに来ればすべて揃うという状況を作り込んだのです。海外の販売拠点と製品の情報を早い段階から共有することで、製品の発表と併せて販売活動に必要となるWebサイト、ブローシャーなどを準備できるようにしました。
川地今回、Lotus Quickr 8.5という最新バーションがリリースされたタイミングで導入を決断されたので、まだ事例も少なく、製品の詳細な情報が不足していました。先駆けとしての導入ですから、多少の試行錯誤は覚悟していました。それよりも新しいことへの挑戦にやりがいを感じてプロジェクトに臨みました。
三浦他にも最新バーションにこだわった理由はありますか?
原やはりベストな性能を社員に提供したいという思いですね。たとえば、8.5では8.0と比べて動画のプレビュー機能が強化されています。動画の情報を駆使する場合、たとえば、新製品を先行して発表したエグジビションやショー会場の状況を共有するなど、社員の作業効率を考えたらプレビュー機能の有無は大きな違いになります。
三浦新製品の発表プロジェクトは世界各地で情報を共有しながら進められているんですね。コンテンツがすべて英語になっている理由がわかりました。
原先行して利用開始した200人弱のうち、約9割が海外の社員ということもあり、全員で共有するコンテンツはまず英語で制作します。そして各国が必要に応じてコンテンツを翻訳するのです。コンテンツは英語でも、RHEAのユーザー・インターフェイスは各国の言語で表現したかったのです。当初は言語固有の事情からメニューなどで多言語対応しきれていない箇所が一部ありましたが、IBM様に実現してもらいました。
川地日本での先進事例ということもあり、IBM様も導入のためのスペシャルチームを構成して積極的に対応してくれました。
三浦導入から約半年が経過しましたが、どのような効果がありましたか。
原従来はコンテンツ管理のシステムが3つもあり、どこに何があるのかわからないという状況が発生していました。担当者に依存する部分も多く、異動に伴い業務が中断されることもありました。それが「RHEA」により、どれが最新の情報なのかがすぐにわかり、プロジェクトの進行状況も把握でき、欲しい情報が手に入るようになり、グローバルレベルで信用を獲得しつつあります。このように業務の見える化が進み、打ち合わせの回数や時間が目に見えて減りました。また、グループ内で活用できるコンテンツが蓄積されてきましたから、さらなる効果が発揮されるのはこれからでしょう。現在の利用者はグローバルで約200人ですが、グローバルで約2800人いる全社員の9割くらいまでには広めたいですね。
海外とのやり取りが前提となるローランドでは、システムの多言語対応は必須。今は30を越えるプロジェクト、約10個のコミュニティーが立ち上がり、全世界での積極的な情報共有がなされている。 [画像のクリックで拡大表示]






