

前回紹介したように、タブレット端末は既に様々な業種・業態で活用され始めている。「売り上げ向上」「従業員の労働負荷軽減」「顧客の満足度アップ」など、具体的な効果を得ている企業もある。業務用途で活用する場合、セキュリティやソフトウエア活用の利便性といった心配材料もある。そこで今回は、これらの懸念を解決しつつ、タブレット端末の新たな可能性を拓く活用方法を紹介する。
タブレット端末の可能性を広げる上でカギを握るのがセキュリティだ。タブレット端末には有償、無償の膨大なアプリケーションが提供されており、これらを使えば端末の応用範囲も広がる。使い方次第ではPCと同じ機能を実現するが、PCと同様のリスクを抱えているともいえる。
トレンドマイクロの「インターネット脅威マンスリーレポート」によれば、2010年12月から2011年6月の半年間で、タブレット端末のOSとして広く普及しているAndroidをターゲットにした不正プログラムは約16倍に急増したという。セキュリティに関するリスクが急激に高まっているということだ。
もちろん解決策はある。タブレット端末向けに様々なセキュリティ・ソリューションが提供され始めている。
その1つが、タブレット端末に対応したセキュリティ対策ソフトだ。ネット上の脅威に対応した不正プログラム検知、不正なWebサイトへのアクセスをブロックする機能、設定した送信元からの電話着信やメールをブロックするフィルタリング機能などを搭載したソリューションが既に登場している。
タブレット端末内に重要な資料や顧客の個人情報などを保存している場合、盗難・紛失に伴う情報漏えいの懸念もある。使いやすさを損なわずに安全・安心なビジネス活用を実現するには、情報漏えいリスクへの対策も必要だ。こうした際に有効に機能するのが、モバイルデバイス管理システムの「MDM(Mobile Device Manager)」だ。
MDMとはモバイルデバイスのセキュリティ設定などを一元的に管理するソリューション。カメラ機能や外部デバイスの利用制限、使用するソフトウエアの種類やバージョンの統一など、会社の方針に沿ったセキュリティポリシーを集中して設定できる。リモート操作で端末を使えなくしたり、端末に保存したデータを消去することも可能だ(図1)。これにより、万一、盗難・紛失しても、第三者による不正利用や情報漏えいを防止できる。タブレット端末のGPS機能を活用すれば、紛失場所を確認したり、早期に発見できる可能性もある。
ネット上の脅威に対応したセキュリティ機能とMDMを合わせたソリューションもある。これなら、不正プログラム対策やデバイス管理を個別に行う必要がなく、効率よくタブレット端末のセキュリティレベルを高めることができる。

タブレット端末をさらに使いやすくするソリューションも登場している。その1つがオフィスのPCの遠隔操作を可能にするリモートデスクトップ・ソリューションだ。これは、タブレット端末のWebブラウザーからリモートで、接続先PCの電源をオン/オフしたり業務用アプリケーションやファイルを操作できるようにするもの(図2)。端末から接続先PCのデータを操作する仕組みなので、端末側にデータは残らない。タブレット端末へのファイル転送やコピー、印刷を禁止することもできる。こういった仕組みを活用すれば、場所を選ばずに、タブレット端末でオフィスと同じ業務環境を実現できる。
タブレット端末を使ったリモートデスクトップ環境は在宅勤務にも有効。災害時に事業を継続する場合にも威力を発揮するだろう。タブレット端末は価格が安いため、初期投資を比較的抑えつつ、いつでも、どこでも業務ができる環境を整備できるからだ。平時には外出や出張時の業務端末として利用することで、業務の効率化にも活用できる。

タブレット端末を使った業務が増えると、端末上でデータを入力したり、文書を作成する機会も増える。しかし、タブレット端末は画面上に表示したソフトキーボードによる入力がメインだ。画面上でのタイピングは、従来のキーボードを使った文字入力よりも不便。それだけに、画面上からの入力を補助するソリューションへのニーズも高まっている。
タブレット端末に対応した日本語入力ソフトもその1つ。これを使えば、一般的なQWERTY配列キーボード、携帯電話のキー配列、フリック入力などを、使用者の好みやスキルに合わせて選択できる。タッチパネルから指を離さずに文字を入力できるジェスチャー入力が可能なものもある。
業務用途を想定し、入力支援機能のカスタマイズに対応するものもある。例えば、医療業界の専門用語や頻出用語、製造業における部品の型番や形式などをあらかじめ変換候補に組み込んでおける。これにより、タブレット端末の日本語入力環境が改善され、活用できる業種や場所はさらに広がるだろう。
タブレット端末のビジネス利用を促進するには、これらのソリューションを適宜使い分けることが大切だ。しかし、これからタブレット端末の活用を考えている企業の中には「どこから手をつけていいか分からない」という場合もあるだろう。そうしたニーズに対応し、最適なタブレット端末の選定からキッティング、導入支援、様々な活用支援ソリューションの提案、運用サポートなどをトータルに提供するベンダーもある。こうしたベンダーのサポートがあれば、スムーズなビジネス利用が可能になる。
タブレット端末はPCの高機能とスマートフォンの携帯性を併せ持つ新しいデバイス。先進的な企業はビジネス利用を既に積極的に進めており、この傾向は今後も続くだろう。
市場の拡大に伴い、ここで紹介したようなタブレット端末の可能性を広げるソリューションも続々登場している。これらのソリューションを組み合わせ、自社のビジネスにどう取り込んでいくか――。これは今後のビジネスを考えるうえで、大きなテーマの1つだといえるだろう。






