


――これからの建築におけるガラスの役割をどのようにお考えでしょうか。
大野■最近打ち出される新しい技術やサービスというのは、一人でも受けられるものが多いですよね。今の日本で最も多い世帯形態は単身世帯で、これからも増えていくと予測されています。マーケットの論理に基づけば、最も厚い単身層をターゲットとするのは当然でしょうけれども、逆に一人でいることを助長してしまう危うさも内包しています。
そうした時代のなかで、これからの建築には、人と人との関係をどのように築いていくかが問われてくるし、そこにガラスの役目もあると思います。
――東京大学柏キャンパスの新領域環境棟では、大きな吹き抜けにファイアライトを使い、開放的な空間を創出していますね。
大野■この建物では、建築や土木や都市工学だけではなく、農学や理学、国際協力分野、化学工学、機械工学など、様々な分野の研究者が、環境学という新しい学問分野の開拓に向けた研究に取り組んでいます。分野ごとにフロアは分かれていますが、分野を横断した交流も促したいと考えて、各フロアに吹き抜けに面したラウンジを設け、互いの様子が垣間見られるような空間をつくりました。

(写真提供:川澄建築写真事務所)
吹き抜けに面した防火区画には、シャッターやガラスなどの特定防火設備を設けなければなりません。シャッター防火戸を設置する場合、火災時以外は空間を開放できますが、空調の制御に難点があります。また、平常時にシャッターを収納しておくボックスなどの設置が必要になるので、意匠的な納まりも難しくなります。
計画コンセプト・建築設計ディレクション:大野秀敏+東京大学大野研究室
設計者:日本設計・大成建設設計共同企業体

日本電気硝子の「ファイアライト」は、火にも水にも強い結晶化ガラス(ガラスセラミック)。乙種防火戸(現 防火設備)用ガラスとして、1988年に初めて製品化。その後、国内初のシースルー甲種防火戸(現 特定防火設備)の認定も取得した。火災時の消火作業中でも品質が保持できるかを確認する放水試験が義務付けられたUL規格※に適合するガラスとして、特に北米では高い評価を得ている。
製品ラインアップは、衝撃安全性を向上させるために特殊樹脂を挟み、合わせガラスとした「ファイアライト プラス」など。また、耐熱合わせガラスの新シリーズとして日常と火災時の安全を守る防火用ガラス「ファイアライト セーフティ」を2012年2月から発売する。より自然な透明感が得られるような色調整が可能となった。
※UL規格:米国の認証機関「Underwriters Laboratories, Inc.」が認定する規格。製品の安全性を保証するもので、米国に輸出・販売する製品には、認定取得が義務付けられている。






