2020.07.31
文=高山和良
昨年、ハウス内の環境や気流を精密にコントロールできる話題の最先端ハウス「プロファーム T-キューブ」(以下、Tキューブと略)の第1号機を導入され、農業関係者の間で注目を集めました。自動車部品大手のデンソーと農業資材のトヨタネ、ハウス大手の大仙が合弁会社を設立し、昨年市場に投下した最先端ハウスですが、大規模の先端ハウスと言えばオランダ製のものが多い中で、なぜこれを導入したのかを教えて下さい。
岡田社長(以下、敬称略):私たちはここでトマトの栽培を始めてまる10年経過しています。課題がいろいろある中でいかに生産性を上げていくかが重要です。特に、温暖な静岡県では温度が上がる夏場の環境制御は難しいところがあります。これに対してTキューブは強制換気による環境制御をしていくという新しい考え方があるハウスでしたので、これを使いたいと考えました。
別の角度から申し上げると、ベルファームは鈴与商事というエネルギーを扱う会社の関連会社でして、農業の中でいろいろなビジネスチャンスを広げていけないか、そこで供給できるエネルギーとして新たなものがないかを模索しています。こういうユニット型のハウスも、場合によっては私どもの商材になるかもしれないし、自らが使いながらコンサル的なサービスなども考えられるのではないかということがもう一つの大きな動機になっています。
日本国内で導入される先端のハウスはオランダ製の大型のものが多いと思っていましたが……。
岡田:そうですね。今回導入したものは20アール(1アールは100平方メートル)というサイズのものです。私どものこれまでのハウスは50アールのもので、それがたくさんあるという状態です。今回のTキューブを20アールというサイズのものにしたのはもちろん敷地的な事情もありますが、50アールのハウスで環境制御をするよりも、もう少し狭い方が制御しやすいと思っていたからです。ハウスのサイズが半分以下でも生産性が高ければ同等の収量にできるわけで、ユニット単位としては決して大きくないが20アールにしたということです。ただ、もともと50アールのハウスがたくさんあるのがベースで、そこに今回20アール分プラスした感じです。