隠れた絶品果実でヒット商品を創れ!

~UHA味覚糖×JA全農のWブランド戦略

UHA味覚糖とJA全農がWブランドで発売した期間限定商品コロロが人気だ。2020年1月の第1弾「完熟かぼす」味を皮切りに、「鶴姫レッド」味、「ハニーローザ」味を大手全国チェーンストアで販売。これまでになかったオリジナリティが受け、軒並み完売を続けている。JAグループの総合商社として役割を発揮するJA全農が消費者に近い食品メーカーや小売り流通とタッグを組み、いかに市場ニーズに合致した提案をしたのか。ヒットの現場を追った。

ヒット連発! UHA味覚糖×JA全農のWブランド商品コロロ

 UHA味覚糖のグミ「コロロ」は、従来のグミの1.5倍の水分含有量で、ジューシーで強い果実味が評判の人気商品だ。そんなコロロをさらに多くの消費者に届ける試みとして、UHA味覚糖はJA全農とタッグを組んだ。大手全国チェーンストアで販売する期間限定商品を共同開発。第一弾として2020年2月に販売した大分県産の「完熟かぼす」味は瞬く間に完売した。4月には山形県庄内産の赤肉メロン「鶴姫レッド」味、8月には熊本県玉東町の幻のすもも「ハニーローザ」味も完売となった。

UHA味覚糖 開発ディビジョン 開発Bセクション セクションリーダー 関口祐介 氏
UHA味覚糖 開発ディビジョン 開発Bセクション セクションリーダー 関口祐介 氏

 立て続けにヒットを飛ばしたことで、チェーンストアの反応も良いと、UHA味覚糖 開発ディビジョン 開発Bセクション セクションリーダー 関口祐介氏は語る。「商談は毎回とにかく盛り上がりますね。黄色い完熟かぼすやハニーローザなど、あまりなじみのない素材にはそれぞれストーリーがあり、小売り流通のお取引先とも深い話ができます」

 チェーンストアの期待も高く、商品は店頭棚に複数列で配置される等の目立つ扱いを受けた。

JA全農の情報力・提案力の高さに活路

 UHA味覚糖のJAグループとの取り組みは、JA山形おきたま とのデラウエアが最初だ。「山形県の地場のスーパーからの依頼がきっかけでした。当初は、可能性も未知数でそれほど乗り気ではありませんでした」と関口氏は告白する。だが、発売すると地元山形で驚くほど売れた。試しに大阪でも販売してみると、地元ほどではないが想像以上に売れる。「消費者は、全国各地の隠れた美味しいものを求めている」と再認識したという。これをきっかけに、各地のJAからも相談が届くようになった。しかしここで壁にぶつかる。待ちの姿勢では、グミにしたいと思う素材と必ずしも出会えるとは限らなかった。関口氏は、「グミにしづらい素材の依頼が届いてしまったり、逆に攻めの姿勢でJAに声を掛けるものの、求める希少品種に出会えなかったり、果汁探しで一時停滞しました」と語る。

 2019年秋、UHA味覚糖は、大手全国チェーンストアに売り込むための攻めの打ち手を考えていた。そのパートナーとして取引先から紹介されたのがJA全農だった。関口氏は東京・大手町のJA全農を訪問。その時の興奮が今でも忘れられないと語る。「JA全農の会議室(※一般者の立入りはできません)には全国の果汁ジュースを集めた自販機があります。そこでは見たこともない果汁ジュースがたくさんあり、珍しい果実を探し求めていた私にとっては夢のような光景でした。思わずたくさんジュースを買って帰りました」。その後、関口氏が抱いたJA全農の持つポテンシャルの高さへの予感は当たることになる。

動きだした巨大商社JA全農の新たな底力

 JA全農は、JAグループの中で農畜産物の販売や生産資材の供給といった経済事業を担う組織だ。全国規模で農畜産物を販売する卸機能に特化してきたが、消費者のニーズに柔軟かつ迅速に対応するため、2017年、新たに営業開発部を設置。販売先を起点とし、該当する部門、県本部、グループ会社などJA全農グループの総力を挙げて、商品開発、ブランディングを行う部隊である。営業開発部は当初10名強の組織だったが、現在では約30名に増員。同部 MD企画課 山田晋也氏は、MD部会の立ち上げから携わり、現在は主に販売先の求めに応じてチームを構築・運営し、国産の農畜産物を使った商品開発の提案を行っている。

JA全農 営業開発部 MD企画課 山田晋也 氏
JA全農 営業開発部 MD企画課 山田晋也 氏

 「JA全農は32都府県に県本部を持ち、各都府県のJAとも連携しています。そのため、全国の多種多様な農畜産物の情報が集まり、小売り流通・食品会社とのマッチングが可能です。販売チャネルも多く、単体のJAだけでは難しい販売規模の拡大やエリア展開が可能です」と語る。 2019年度だけで、ドライフルーツ、飲料、玄米パックご飯など開発した商品は61品目に及ぶ。

地域の隠れた名品で新たなアプローチを実現

 話をコロロプロジェクトに戻そう。

 UHA味覚糖とJA全農のWブランドのコロロの開発は、JA全農が全国の果汁をリストアップするところから始まる。その中からUHA味覚糖が商品化したい品目を選び、商品開発をしていく。並行してチェーンストアへの提案を進め、店頭発売に至るというプロセスだ。

 グミ市場は、定番のグレープやマスカットを始めシリーズ商品が多い。その中でヒットを飛ばすには、素材選定がカギを握る。開発のベースとなるJA全農からの果汁リストは、他社にはない魅力があると、関口氏は熱く語る。「日頃から珍しい果実にはアンテナを張っていますが、そんな私でも聞いたこともない果汁リストが、すごいスピード感で提案される。この早さでこれだけの提案は、他社からはまず出てきません」。

コロロは、水分含有量が多くてジューシーなのが特徴だ
コロロは、水分含有量が多くてジューシーなのが特徴だ

 とはいえUHA味覚糖の要求も並みではなかった。最初の商談で山田氏は、20~30種に及ぶ果汁リストを提出したが、満足してもらえなかったという。「とにかく尖った、消費者の誰もが驚く果汁が欲しいと言われ、当初はハードルが高いと思いました」と振り返る。

 山田氏は、JAグループの全国ネットワークを活かし、UHA味覚糖の求める隠れた名品を探し続けた。「情報収集や素材の発掘は現場がすべてです。地方に行けば産地をまわり、地元に密着した食品を買うことで、五感をフルに活用しています」(山田氏)。このような情報収集力とニーズをつかむ感性で、UHA味覚糖の求めるものが徐々にわかってきたという。今では、商品開発で提案する果汁リストの数は5種程度で、スムーズに商談が進むまで精度が上がってきたという。

 コロロプロジェクトはJAグループ内で認知されるようになり、JAや生産者の期待も高まっている。「全国のチェーンストアで商品として並ぶメリットは、地域に埋もれた農畜産物の認知を拡大する意味でも大きい。最近は各地のJAから、この果実は使えないかといった相談を受けることもあります」(山田氏)。期間限定のコロロは毎回20~30万個生産。全国の店舗で販売されるので、その露出効果は大きい。「20~30万枚のビラを配っているのと同じなので、そこに意義を感じてもらえれば」と話す(関口氏)。