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2017.10.25
21世紀は心不全の時代
「広島県心臓いきいき推進事業」が目指す
慢性期心不全患者に対する理想のサポート 第2回

広島大学大学院歯薬保健学研究科 循環器内科学教授 木原康樹 氏
取材:21世紀医療フォーラム取材班 竹林篤実 文責:同事務局長 阪田英也

第1回は、慢性期に移行した心不全患者のサポートの必要性、広島大学病院心不全センターの活動を中心に紹介した。連載2回の第2回では、サポート体制のあるべき姿や慢性期心不全患者が心がけるべきこと、さらには心不全予備軍である中高年者に向けて、将来の心不全発症を防ぐための心得などについて、引き続き、広島大学大学院歯薬保健学研究科 循環器内科学教授の木原康樹氏にお話を伺った。

木原康樹氏
木原康樹(きはら やすき)氏
1955年広島生まれ。1979年 京都大学医学部卒業、天理よろず相談所病院内科レジデント。1986年 京都大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士(京都大学)、米国ハーバード大学リサーチフェロー、同インストラクターを経て、1989年 富山医科薬科大学医学部助手。1995年 京都大学大学院部医学研究科講師。1999年 米国ケースウエスタン大学客員教授、米国ボストン大学ワイタッカー心臓血管研究所客員教授。2005年 神戸市立医療センター中央市民病院内科部長。2008年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授、京都大学医学部臨床系教授。2012年 米国スタンフォード大学客員研究員、広島大学病院心不全センター長。2014年 広島大学医学部長を経て、2016年より広島大学副学長(研究倫理担当)も務める
 
○所属学会
日本内科学会理事 日本循環器学会理事 日本心臓病学会理事 日本心不全学会理事ほか

患者の意識を
いかに変えられるか

心不全の患者に対して、どのようなことが求められますか。

木原 まず、なんでも医師にお任せといったパターなリズムの考え方からは脱して欲しいと思います。「先生の言いつけは何でも守りますから、早く良くしてください」というタイプの患者が多くおられます。これは裏を返せば、うまく治らないのは診てもらっている先生が悪いから、となりかねない。その結果、ドクターショッピングに走るケースも増えています。

ただ、心不全は難しい病態であり、完治することは望めない。患者には、自分が患っている病態についての理解を自ら深め、普段の生活の中で疾病を自己管理する必要性に気づいてもらいたい。いささか残酷な表現になるかもしれませんが、心不全は根治を望めない上、致死性の疾患です。まず、この事実を自覚してもらうことがスタートだと思っています。

自分の心不全の監督者・責任者は、自分しかいないのだと認識する。こうした考え方は、患者サイドはもちろん、私たち医療サイドでもまだまだ少数派です。こうした点でも、広島大学病院心不全センターの取り組みは、ようやく動き出したばかりというのが正直なところです。

しかし、厚生労働省も取り組み姿勢を変えていますね。

木原 5疾病5事業の見直しが行われ、急性心筋梗塞の医療提供体制における課題が明らかになりました。慢性心不全患者の約30%が、1年以内に再入院している現状を踏まえて、再入院予防の観点から見た、回復期及び慢性期を含めた対応の必要性が認識されました。

課題を解消する方策として、一貫した医療提供体制の構築が提唱されています。厚生労働省の第6回医療計画の見直し等に関する検討会では、急性期から回復期及び慢性期まで一貫した医療が提供されるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の活用等を含め、医療機関相互の連携を図ることとされました。画期的な施策と評価していますが、こうした対応を具体的にやっているケースは、まだ限られています。だから、広島の事例と北長野の事例がモデルとして取り上げられたと考えています。