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心不全って、どんな病気?

2. 急性心不全と慢性心不全は一連の経過で切り離せないもの

心不全診療ガイドラインを一本化
一般向け心不全の定義も提唱

 2018年3月、日本循環器学会と日本心不全学会が合同で作成した『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』では、従来、急性心不全と慢性心不全に分かれていた診療ガイドラインが一本化されました。

 これまで心不全は、経過の視点より急性心筋梗塞や過度なストレスなどにより、急激に心臓の働きが悪くなる「急性心不全」と、心不全の状態が慢性的に続く「慢性心不全」とに分けられていました。ところが、実際には慢性心不全が急激に悪化して急性心不全に陥るケースがほとんどであることから、急性期から慢性期まで、継ぎ目のない治療が必要であり、2つに分けられていたガイドラインも現実的ではないという認識がなされるようになりました。

 今回のガイドライン最大のポイントは、心不全を一連の経過と捉え、心不全の進展ステージを表したことです。心不全のステージについては、次回の心不全の基礎知識で詳しく紹介しますが、心不全のステージは、次の4つの段階に定義されます。

●心不全のステージ
ステージA 心臓病などはないがリスクを抱えたステージ
ステージB 心臓病などが存在するが症状はないリスクステージ
ステージC 心不全を発症したステージ
ステージD 心不全の末期ステージ

 これは、米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)が提唱していたものを踏襲しています。ステージを明らかにするポイントは、症状のない段階から予防や治療を始めることです。ステージC以降は、治療を受けて多くの場合、慢性心不全の状態になりますが、ステージCの段階まで来ると5年生存率は約60%と、少しずつ状態が悪化していきます。欧米では、心不全を発症していないステージA、軽症のステージBから早めに予防や治療することが一般的となっていますが、日本ではまだまだそこまで啓発が届いていません。

 また、啓発が重要であることから、今回のガイドライン改訂に合わせ、一般向けの心不全の定義も提唱しています。心不全は正確に言えば病気ではなく症候群、あるいは病態といったように、医療関係者でも様々な意見がありますが、それでは一般の人には理解が難しくなってしまいます。そこで、日本循環器学会は多少の正確性は犠牲にしても、一般の人がわかりやすい定義にすることにしました。それが、このサイトの中でも繰り返し紹介している心不全の定義です。

 「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」

 この定義を認識し、予防への意識を高めていきましょう。

(監修:広島大学大学院 薬保健学研究科 循環器内科学 教授 木原康樹先生)