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心不全の診断

1. 心不全と診断が下されるまでに医療機関で行う検査

自覚症状や既往歴、家族歴、身体所見を確認し、心電図、胸部X線を実施

 患者自身が心不全の可能性を疑う場合には、なんらかの自覚症状を感じて医療機関を受診するはずです。そして、医療機関は心不全と診断を下すために、患者の自覚症状や既往歴、家族歴、身体所見を確認した上で、心電図、胸部X線などを実施します。

 自覚症状とは、日常的な動作や作業を行う中での息切れ、起座呼吸(寝た状態で悪化し、座ると楽になる息切れ)、発作性夜間呼吸困難(夜中に突然生じる息切れ)などです。次に、既往歴とは、心不全発症の原因となる冠動脈疾患や高血圧、糖尿病、化学療法などのことで、家族歴では遺伝性疾患の有無などを確認します。

■心不全を疑わせる患者

1. 症状
・活動中の息切れ、体力低下
・起座呼吸、発作性夜間呼吸困難
・食欲不振
・手足の冷感
・青い口唇(チアノーゼ)
・便秘
・抑うつ感 など

2. 既往・患者背景
・冠動脈疾患、高血圧、糖尿病などの既往症
・心毒性(心臓に悪影響・副作用)のある薬剤使用歴
・放射線治療歴、利尿剤使用歴
・心疾患の家族歴(遺伝性疾患など)

3. 身体所見
・下肢のむくみ
・心雑音
・頸静脈怒張(右心房に直結した頸静脈が膨らんでいたら、全身から心臓に向かう血管、あるいは心臓内のどこかで血液の流れが悪くなっている可能性がある。特に座っている状態よりも高い姿勢で頸静脈怒張があれば、心不全が疑われる)など

 慢性心不全が疑われる場合、次に行う検査は血中BNP(あるいはNT-proBNP)の測定です。このBNPについては、別の章で詳しく紹介しますが、BNPとは「Brain Natriuretic Pepteids:脳性ナトリウム利尿ペプチド」のことで、心臓に負担がかかると心筋細胞から合成、分泌されるホルモンで、心臓病、特に心不全の重症度をみるために有用な検査です。

 心不全の疑いがある数値は、BNPで100 pg/mL以上、NT-proBNPでは400 pg/mLですが、軽度の心不全や極端な肥満状態の場合、この値を下回ることがあります。そのため、BNP 35~40 pg/mL、あるいは NT- proBNP 125 pg/mL 以上の数値が認められ、自覚症状や既往歴、患者背景、身体所見、心電図や胸部X線などによって心不全が疑われる場合は、心エコー検査を行い、心臓の形や働き具合を画像として評価します。

(監修:広島大学大学院 薬保健学研究科 循環器内科学 教授 木原康樹先生)