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ビッグデータはクラウドで操る!

クラウドを活用した柔軟なデータ分析環境

ビジネスの高速化をもたらすDBaaSのインパクト

データベース分野のクラウドサービスについては、セキュリティーや他システムとの連携などの観点で懸念を持つ企業もある。こうした懸念を払拭するのが、IBMの次世代型PaaS「Bluemix」と、Bluemix上で提供されるクラウド・データ・サービスである。そこにはオンプレミス、クラウドの両方で幅広い技術、ノウハウを持つIBMの強みが生かされている。クラウド・データ・サービスを活用して価値を生み出す企業の事例も増えている。

価値創造のリードタイムを圧倒的に短縮するBluemix

 クラウド市場は急速に拡大している。同時に、オンプレミスからクラウドへの移行を検討、実行する企業も増えている。
 このような大きな変化に、IBMは正面から向き合っている。IBMのトーマス・オコネル氏は「クラウドに対してIBMは本気です。そのために多大な投資を行い、お客様に価値をもたらすサービスの拡充を進めています」と強調する。

IBM Corporation
IBM Analytics, Cloud Data Services, Vice President of Sales
トーマス・オコネル

 IBMが注力するクラウドサービス、その代表的な領域としてDBaaS(DataBase as a Service)がある。データベースをクラウドサービスとして活用することで、ユーザー企業はさまざまなメリットを享受することができる。

 ただ、DBaaSには課題もあった。セキュリティー、オンプレミスからの移行、他システムとの連携などについて心配する企業は少なくない。こうした声に対するIBMの解答が、次世代クラウドプラットフォーム「Bluemix」(図1)と、BluemixというPaaS上で提供される多様なクラウド・データ・サービスである。

 「Bluemixの最大のメリットは、お客様が価値を創出するまでのリードタイムを大幅に短縮できること。企業内でシステムを構築する場合、デプロイメントなどで数週間かかるケースも少なくありません。Bluemixの環境なら同じことを数分間で実行できます」とオコネル氏はいう。

 Bluemix上のクラウド・データ・サービスの特長は大きく3つある。第1に、最先端の技術やOSSとの緊密な連携をベースに、包括的なプラットフォームを24時間365日の体制で提供している。第2に、すべてのクラウド・データ・サービスがシームレスにつながり、統合されたエクスペリエンスを実現する。第3に、ハイブリッド・クラウド実装環境のサポートなど、実装環境において高い柔軟性を有することである。

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ハイブリッド・クラウドを構成するすべての分野で豊富な技術とノウハウ

 クラウド・データ・サービスにはさまざまなタイプがある。モバイルとSoE(Systems of Engagement)をサポートするオペレーショナル・データストア「Cloudant」、分析に強みを持つインメモリ型のデータウェアハウス「dashDB」、クラウド上で稼働するHadoop「BigInsights on Cloud」、クラウド上でホストされたデータベース「DB2 on Cloud」、完全に管理されたSaaSとしての「Apache Spark」などである。

 豊富なラインナップの中から、ユーザー企業は最適なクラウド・データ・サービスを選択できる。図2は構造化データ/非構造化データ、分析/トランザクションという2軸でワークロードの特性を分類し、それに対応するサービスを配置したものである。

 「ほとんどのお客様は、複数のサービスを組み合わせて活用しています。ポイントは、これらすべてのクラウド・データ・サービスが統合されていること。クラウド上にデータベースをお客様ご自身で構築するのは決して簡単なことではありません。その難しい部分はIBMが引き受けて、お客様の工数を最小化するとともに、価値実現のスピードアップにも寄与する。それがクラウド・データ・サービスの目指すところです」(オコネル氏)

 クラウド・データ・サービスは、すでに多くのユーザー企業を獲得している。ユーザー企業にとって比較的敷居が低いのは、Webアプリケーションとモバイル・アプリケーションの領域だろう。基幹系のアプリケーションについては、二の足を踏む企業も少なくない。

 基幹系アプリケーションを全面的に特定のクラウドに集約するのは、おそらく多くの企業にとって現実的な方法ではない。法規制やビジネスニーズにより、オンプレミスのシステムは残るだろう。また、すでに利用しているパブリッククラウド上の他システムとの連携を考慮する必要もある。とすれば、多くの企業はハイブリッド・クラウドを目指すはずだ。IBMのクラウド・データ・サービスはそんなニーズを想定している。

 「オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドというすべてのIT環境において、先端のテクノロジーを提供できるのがIBMです」とオコネル氏。これらすべての分野で豊富な経験とノウハウを持つことが、IBMの大きな強み。その強みはサービスに反映され、多くのユーザー企業のビジネス価値につながっている。以下は、そんな価値を実現した企業の事例である。

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拡張性、可用性、セキュリティー、さまざまな観点でDBaaSを選んだ先進企業

 米国の自動車メーカーA社は、ロンドンで駐車場アプリケーションを提供している。 「ドライバーは駐車場を探すために、多くの時間と燃料をムダに費やしています。そこでA社は駐車場情報を提供するモバイルアプリを開発。どこの駐車場が空いているか、何分くらいで到着できるかといった情報をダッシュボードに表示する仕組みです。DBaaSとして採用されたのがCloudantです」とオコネル氏は説明する。

 ユーザーはクルマを運転しているので、アプリはモバイル接続のできない場所でも機能しなければならない。そこで大きな役割を果たしているのが、Cloudantのレプリケーション機能と同期機能。データはクラウドとデバイスの両方に存在しており、オンライン、オフラインどちらでも違和感なく使える環境を実現している。

 次に、モバイル・デバイスを提供するメーカーB社の事例。このデバイスで音楽ストリーミングの新規アプリを開発したB社は音楽データの管理について検討した。

 「ユーザーは世界中のどこにいても、常に自分の音楽にアクセスしたいと思うでしょう。アプリケーション環境全体とのシームレスな連携は欠かせません。また、いずれは10億人のユーザーをサポートできるよう、システムのスケーラビリティーが必須条件でした。こうした条件を満たしていたのがCloudantです」(オコネル氏)

 Webゲームとモバイル・ゲームを開発・提供しているHothead Games(カナダ)にとっても、DBaaS選びの第1の条件はスケーラビリティーだった。ゲームがヒットするとユーザーからのアクセスは一気に増え、システム負荷は増大する。もしシステムがダウンすれば大きな機会損失につながるだけに、スムーズに拡張できるクラウドサービスでなければならない。

 「Hothead Gamesが開発したゲームは予想以上のヒットになりました。しかし、同社には専任のデータベース管理者がいません。そこで、管理者なしでも高水準の可用性と拡張性を実現できるデータベースのサービスを探しました。選ばれたのがCloudantです。同社はこのマネージド・ソリューションを活用したことで、データベース管理者を採用する必要はなくなりました」とオコネル氏は語る。

 最後に、金融投資サービス企業、フィデリティの事例である。同社は顧客の機密文書をセキュアに管理するシステムを求めていた。

 「たとえば、ご主人が亡くなった後、ご主人が管理していた財務関係の書類が見つからず、奥さんが途方に暮れるといったことがよくあります。同社はクラウドによってこうした課題を解決できると考えました。クラウド上に保管しておけば、万一のことがあっても関係書類に適切にアクセスすることができます」

 フィデリティはCloudantを用いて顧客に対してデジタル・セーフティ・ボックスの提供を始めた。すでに500万人がこのサービスを利用しており、同社は2000万ユーザーへの拡張を視野に入れているという。

 すでに多くの先進企業がDBaaSを活用して新しいサービスを立ち上げている。あるいは、既存環境をDBaaSに移行して競争力のさらなる向上に結び付けている。こうした動きは今後も一層加速するとオコネル氏は考えている。

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